7/29(日)論文の読み方入門セミナー

#6 特異的なエクササイズ? その2

 

Fitball Group Fitness Class

 

前回に続いて、特異的なエクササイズが効果的でない可能性がある理由をまとめます。

 

④不必要な負荷やストレスによって痛みや怪我を引き起こす可能性が高まる

例えば、野球のピッチャーの特異的なエクササイズとして、普通のボールよりも重いボールを投げさせるようなトレーニングを実施するとします。普段アスリートが慣れているよりも高負荷が体にかかるためストレスが大きくなり、結果として痛みや怪我を引き起こす可能性が高まると考えられます。

その高負荷に対して、より効率的な体の使い方を覚えることによってストレスを軽減することは可能かもしれませんが、そのようにして獲得された体の使い方は実際の競技動作(ピッチャーの例で言えば投球動作)においては非効率なものかもしれず、結果として運動制御に悪影響を与えてパフォーマンスの低下につながる可能性もあります。

 

⑤負荷のかけ方が最適でない場合がある

例えば短い距離のスプリント能力(スプリント加速能力)を向上させようとして、ウエイトベストを着て走るトレーニングを実施するとします。この場合、ウエイトベストによってもたらされる負荷には2種類あります。それはウエイトベストの質量と重力(引力)です。前者はスプリントで水平方向に加速する際に必要とされる力が増えるという点では、負荷としては最適かもしれません。しかし、後者は鉛直方向にのみかかる負荷なので、水平方向に力を発揮して体を水平方向に加速させることが重要な加速局面のスプリント能力の向上には適した負荷のかけ方ではないと考えられます。実際にはこの両者の組み合わせが負荷となり、おそらく後者(重力)の影響の方が大きいので、力発揮としては水平方向よりも鉛直方向への過負荷が大きくなり、加速局面のトレーニングとしては最適な負荷のかけ方ではない可能性が高いと思います。

このように、とりあえず競技動作に重りを加えれば特異的なエクササイズになり、パフォーマンス向上に直結するだろうという安易な考えでトレーニングをすることは非常に危険であり、かえってパフォーマンス低下や怪我のリスクが高まる結果になるでしょう。

 

まとめ

以上、いわゆる「特異的なエクササイズ」が効果がない可能性をいくつか考えてみました。個人的には「特異的なエクササイズ」のすべてが悪いとは考えておらず、ひとつひとつのエクササイズの特徴を考えた上でケースバイケースで判断する必要があると思います。ただ私の経験上、基本的なエクササイズをないがしろにして、即座の結果を求めて「特異的なエクササイズ」に走るS&Cコーチを多く目にしてきたので、それには注意が必要でしょう。