#88 『エクササイズの漸進性:ProgressionとRegression』:持久系アスリートに対してレジスタンストレーニングを処方したり指導したりする時のフィロソフィー③

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シリーズ第3弾です。

 

 

第3条「エクササイズの漸進性:ProgressionとRegression」

トレーニングの原則にはいろいろありますが、私が一番重要だと考えているのが「漸進性過負荷の原則」です。

スクワットやデッドリフト、ベンチプレス等のバーベルエクササイズにおいては、負荷を2.5KG単位で漸進的に上げていく事が可能なので(小さいプレート等を用いれば1KG単位でも可)、この原則を適用するのが比較的容易です。それがバーベルエクササイズの利点の1つでもあります。

一方、腕立て伏せや懸垂等の主に自体重を負荷として用いるエクササイズにおいては、負荷を徐々に上げていくというのが比較的難しい部分があります。また、負荷をどう上げるかという問題(これをprogressionと言います)だけでなく、負荷をどう下げるかという問題(これをregressionと言います)も自体重エクササイズにはつきまといます。

特に女性アスリートや筋力の弱いアスリートは、自体重で懸垂や腕立て伏せを正しいフォームでできない場合がありますが、負荷を下げるために自体重を軽くするわけにはいきません(あんな所やこんな所をちょん切るわけにはいきません)。

そこで、これらのエクササイズにおいて「漸進性過負荷の原則」を適用するためには、ただ単純に「重量」の上下(あるいは調節)に頼るのではなくて、同じ動作パターンだけど「難易度」の異なるエクササイズを用意しておいて、アスリートの筋力レベルに応じて適切なエクササイズを処方するという事が重要です。

 

例えば腕立て伏せという上半身の押す動作パターンにおけるregressionとprogressionの例を挙げると:

斜め腕立て伏せ<腕立て伏せ<足を台に乗せて腕立て伏せ

というものが考えられます。これはあくまでも一例なので、他にもいろいろなエクササイズが考えられます。

 

要するに、何が重要なのかというと:

  1. 同じ動作パターンにおいて、難易度の異なるエクササイズのリストを用意しておく
  2. アスリートのレベルに応じて、適切な難易度のエクササイズをリストから選択して処方する
  3. 処方されたエクササイズでトレーニングを続けて筋力がアップしてそのエクササイズでは過負荷刺激を与えるのが難しくなってきたら、1ランク難易度の高いエクササイズに移行する 

という事です。

 

このエクササイズにおける漸進性は、自体重エクササイズ以外にも活用できるコンセプトです。例えば、片脚エクササイズとしてフォワードランジをやらせたいと考えた場合、いきなりフォワードランジをやらせても適切なフォームで実施できるだけのスキルも筋力もないアスリートの場合は、以下の様なprogressionを用いることができます:

スプリットスクワット<リバースランジ<フォワードランジ

これらのエクササイズは一般的にバーベルやダンベルを用いて実施するので、「重量」の上下によって「漸進性過負荷の原則」を適用する事も可能ですが、ここで紹介したように同じ動作パターンにおけるエクササイズの「難易度」を変化させる事によって「漸進性過負荷の原則」を適用する事もできます。

いきなりフォワードランジをやらせて適切なフォームで実施するのが難しいという場合は、比較的フォーム習得が容易なスプリットスクワットから始めて徐々にエクササイズの難易度をアップさせていくという方法が良いのではないかと個人的には思います。

 

 

まとめ 

という事で、以上第3条でした。続きはまた次回。 

 

 

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