#121 Consistency:トレーニングにおいてエクササイズ選択・レップ数・セット数とか期分けとかよりも重要な要素・・・

公開日: : 最終更新日:2016/03/21 S&Cコーチとしての思考


 

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長期のトレーニング計画を練るのは楽しいものです。この時期にはこんなトレーニングをして、その次の時期にはあんなトレーニングをして、この試合にピークを合わせよう・・・と考えるのはS&Cコーチの仕事の醍醐味でもあります。

 

トレーニング計画立案におけるスケジュール的問題

しかし、最近はどの競技も特にトップレベルにおいて年間の試合数が増えており、いわゆるトレーニングと練習に専念できる「オフシーズン」という期間が短くなっています。また、たとえオフシーズン中であっても、例えば合宿遠征等に出てしまうとその間は施設の関係でS&Cトレーニングができなかったり(特に雪上のウインタースポーツで雪山にこもって合宿するとそこにはトレーニングジムがないとか)、競技コーチの意向で合宿中は練習試合がメインとなりほとんどS&Cトレーニングができない(特に対人競技ではそういう機会に普段対戦する事のないタイプの相手と練習試合を数多くこなしたいという事情がある)という事もあります。

さらに、シーズンが近づくと競技コーチが競技練習に時間を割きたがる傾向があるため、S&Cトレーニングに費やすことのできる時間がさらに限られることも多いです。一方で、長期化したシーズン中は試合に向けて疲労を残さずコンディションを整えたいという選手・コーチの意向もあり、トレーニングに割ける時間が短くなりがちです。

・・・といった事情を考えながら、実際にS&Cトレーニングをどの程度の頻度で実施できるのかを数えてみると、驚くほど少ない事に気付いたりします。

そんな場合には「エクササイズ選択・レップ数・セット数等のトレーニング変数をどうしようか」とか「どの期分け方法を使おうか」といった事はそれほど重要ではありません(言い過ぎかもしれないけど)。だって、たとえどんなに完璧な週3回実施(DAY1、DAY2、DAY3)の4ヶ月のS&Cプログラム(週3✕4週間✕4ヶ月≒48回のセッション)を作り上げたとしても、上に挙げたような事情で実際に実施できるS&Cセッションの数が予定の3分の2とか半分とかに減ってしまったら、もともとそのプログラムを作った時に狙ったトレーニング適応を引き起こす事が難しくなるのですから。

 

じゃあどうすりゃいいのさ?

そういう現実を考えた時に何が重要なのかと考えると「consistency(一貫性、継続性)」が挙げられると思います。しょっちゅうトレーニング中断期間があったり、トレーニングができる時期でも頻度が著しく低かったりした場合、まずはトレーニングセッションの時間や頻度を確保してできるだけ一貫してトレーニングを継続できるように努力する事が、完璧なトレーニングプログラムを作るよりも重要だったりします。

S&Cコーチとしてのアスリートやチームに対する関わり方や立場によって、このconsistencyを確保するのにどの程度影響を与える事ができるかは異なります。場合によってはどうする事もできず「これだけの頻度で(かなり少ない頻度)トレーニングの時間を設けるのでその条件でプログラムを作って指導をしてほしい」と頼まれる事もあるでしょう。その場合はどうしようもないので、「その条件では無理です」と言って断るか、その条件の範囲内でできることをやるかしかないでしょう。

一方、競技コーチやアスリートに対して、全体のスケジュールについてS&Cコーチとして意見を述べる事ができる立場にあるのであれば、トレーニングを継続して実施する事の意義をしっかりと説明して、トレーニング頻度を確保する事を何よりも優先するべきです。この場合に重要なのはコミュニケーション能力です。どんなに完璧なトレーニングプログラムを作る能力があってもコミュニケーション能力が足りないとそのプログラムを実行する事ができないのですから。

また、そういった事情において、consistencyを確保するためにコーチとコミュニケーションを図りS&Cセッションの数を確保してもらうように説得する事が素晴らしいプログラムを作る事よりも重要であるという事に気づいて最優先する事のできる能力も大切です。

そう考えるとS&Cコーチに求められる能力って色々あるもんですね。プログラム作ってエクササイズ指導してればいいってもんじゃありません。

 

まとめ

トレーニング変数を操作してプログラムを作ったり期分けをしたりする方法について教科書等から学ぶのは重要ですが、現実世界では理想とするプログラムをそのまま実行できる事のほうが少ないと言っても過言ではないでしょう。S&Cコーチとして現場で活動していくためには、そういった理想とは異なる状況でS&Cの効果を最大限に高めるためには何が必要なのかを見極めて優先順位をつける能力を身に付ける必要があります。

私の経験上、consistencyを確保する事が非常に重要なキーになる事が多いので、そのためにもコーチやアスリートを説得できるコミュニケーション能力やらプレゼンテーション能力やらが重要になってきます。この状況は実際、私が現在経験している事で、コーチとコミュニケーションを図りできるだけS&Cセッションの数を確保しようと努力しています。

ガッツリとトレーニングする時間がない場合は、競技練習の最後に20分くらいだけ時間をもらってトレーニングをするという事もお願いしています。そんな短時間では体力を向上する事は難しいかもしれませんが、維持する事には貢献するはずです(この議論についてはコチラ)し、何もしなかったら体力が低下するだけです。みなさんも色々努力してconsistencyの確保を狙ってみて下さい。

 

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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