#418 Frans Bosch氏の影響を受けたスプリント動作に特化したストレングストレーニングがなんとも・・・

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100m women Golden League 2007 in Zurich

  

ツイッターで下記の動画を目にしました:

 

動画内で紹介されているエクササイズは、Frans Bosch氏の影響を受けたもので、スプリント動作に特化したトレーニングらしいです。

 

 

スプリント動作に特化したエクササイズ?

私も少し興味があってBosch氏の著書「Strength Training and Coordination: An Integrative Approach」を読んでみたことがあるのですが、動作学習についての説明はなかなか興味深く、動きを覚えるための練習という観点では非常に勉強になりました。

Attractor vs. Fluctuationとかいうコンセプトは「なるほどな〜」と思いました。

 

しかし、その動作学習の理論をストレングストレーニングに無理やり当てはめようとしている時点で、「いや、違うだろ!」とツッコミを入れざるをえませんでした。

そもそもストレングストレーニングをやるのはなぜか?という本質の部分が理解できていないのではないかと感じました。

ストレングストレーニングは動作学習じゃないでしょ!

 

あまり論理的に考えずとも、たとえば上の動画の最初のエクササイズ(Single-leg snatch to box)をパッと見ただけでも、こんなのがスプリント能力向上に結びつくとはとても思えないんですよね。

普通のスナッチと比べたら出力が圧倒的に小さいし、出力の方向も実際に走っている時の出力の方向とはあきらかに異なります。

爆発的パワーの向上という観点で考えると効果は低そうだし、スプリントの動作に特異的でもないという、中途半端なシロモノにしか見えないんです。

 

だったら、ウエイトトレーニングにおいては、大きな力やパワーを発揮して負荷をかけやすい通常のスナッチを実施して出力の向上を図っておいて(そっちのほうが安全だし)、それをスプリント動作でうまく使えるようにするためには、スプリントの練習を別にやるほうが、はるかに効果的だと思うんです。

 

 

まとめ

Bosch氏の動作学習についての理論は非常に面白いので、たとえば私が学んでいるムーブメントトレーニング(加速、減速、方向転換)に使えそうです。

とくに、基本的な動き方をある程度マスターしてもらった後に、バリエーションをつけながら色々なパターンにおける動きの練習をしてもらう時には、役に立つ理論だと感じます。

その一方で、Bosch氏の提唱するストレングストレーニングの理論については、私には理解ができません。

非常に成功をおさめた2015年ラグビーW杯の日本代表チームにBosch氏が関わっていたこともあり、彼の理論やメソッドは大きな注目を集めている状況があると感じますが、だからと言って、彼の主張がすべて正しいと盲目的に信じるのは危険じゃないかと思います。

 

そもそもストレングストレーニングをやるのはなぜか?という本質の部分について学びたい方は、ぜひ拙著をお読みください。

Bosch氏の著書と合わせて読むと、考え方の対比をみることができて面白いはずです。

 

 

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【編集後記】

昔は焼肉行くとカルビばっかり食べてましたが、年齢とともにハラミが好きになってきました。