#450 アスリートの傷害予防は適切なトレーニングが9割:◯◯予防トレーニングというパッケージ化の問題点

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メディカル系の学術雑誌を読んでいると、過去の研究結果をレビューしてまとめたうえで「◯◯予防トレーニング」みたいなパッケージが提案されたりしています。

◯◯には特定のケガの名前が入ります。

足関節捻挫とか前十字靭帯損傷とかハムストリング肉離れとか。

そのようなパッケージは、科学的根拠にもとづいて作られているはずなので、特定のケガのリスクを低減させる効果は確かにあるのでしょう。

われわれS&Cコーチが、ケガのしづらい身体を作るためにトレーニングプログラムを計画するうえでも、ある程度参考になることは間違いありません。

 

 

パッケージ化の問題点

しかし、そのような「パッケージ化」という方向性には問題点もあります。

ケガの種類はたくさんあるので、すべてのケガのリスクを下げようと思ったら、◯◯予防トレーニング+△△予防トレーニング+☆☆予防トレーニング・・・という形で、たくさんのパッケージをこなさないといけなくなるのです。

そんなことをやっていたら、キリがないです。

 

仮に、発生率の高いケガを3つくらいに絞って、その予防のためのパッケージを3つだけやるとしても、1つのパッケージ内にエクササイズやドリルが5個ずつ含まれていたとしたら、全部で15個もやらないといけなくなります。

めちゃくちゃ時間がかかります。

 

そして、それらのパッケージはあくまでも特定のケガを予防する目的で実施するものなので、それとは別に、パフォーマンス向上に繋げるために、筋力や柔軟性、持久力等の体力要素を鍛えるようなトレーニングも別途やらないといけません。

これでは、効率が悪いです。

アスリートには時間がないんですから、そんなにアレもコレもやっている余裕なんてありません。

 

 

S&Cコーチ的アプローチ

足関節捻挫予防トレーニングのパッケージをやって、前十字靭帯損傷予防トレーニングのパッケージをやって、ハムストリング肉離れ予防トレーニングのパッケージをやって・・・という形で、細かいものをコツコツ積み上げていくという思考法は、S&Cコーチの私の頭の中にはありません。

バランス良く適切なトレーニングを普通に実施して、適切な部位に筋力や柔軟性をつけてあげたり、一般的な持久力を向上させてあげたりすれば、それだけでケガのしづらい身体づくりは9割完了するものと思っています。

売れそうな本のタイトル風に表現すると「アスリートの傷害予防は適切なトレーニングが9割」なのです。

実際に、◯◯予防トレーニングのパッケージの内容を見ると、「そんなの適切なトレーニングやっていればカバーできちゃうよ」というのが9割くらいです。

 

そして、このS&Cコーチ的アプローチの利点は、パフォーマンス向上に繋げるための強化とケガのしづらい身体づくりを同時にできてしまうことです。

一石二鳥なんです。効率がいいんです。

 

もちろん、強化を目的とした適切なトレーニングをやっているだけではカバーできないような、傷害予防に必要なものも1割くらいあります。

そういう場合は、その足りない1割の部分を、トレーニングとは重複しないドリルをパッケージの中から選んで、実施すればいいのです。

イメージとしては、まずは強化を狙ったトレーニングをドカンとやっておいて、足りない部分だけをパッケージを活用して補うといったところです。

1つ1つのパッケージを積み上げるのとは逆の発想です。

 

ただし、このようなアプローチが成功する前提として、強化のためのトレーニングが「適切」でないといけません。

多くの傷害予防トレーニングのパッケージに共通して含まれているのは

  • 柔軟性の向上
  • 筋力(特にエキセントリック筋力)の強化
  • 胴体部分のスタビリティ強化

といったものです。

いわゆる私が考える適切なトレーニング(特にウエイトトレーニング)では、可動域を大きく使い、エキセントリック局面をコントロールし、フリーウエイト中心に胴体部分を安定させた状態で股関節や肩関節で大きな出力をするようなやり方をするので、自然にケガのしづらい身体づくりにも繋がります。

しかし、狭い可動域だけしか使わなかったり、エキセントリック局面はまったくコントロールしないで重力にまかせて自由落下させたり、胴体部分を自ら安定させる必要のないマシンエクササイズばかりやらせたり、といったトレーニングをやっていては、傷害予防効果はそれほど臨めないかもしれません。

 

 

まとめ

まずは適切なトレーニングを実施して、足りない部分だけを予防パッケージから必要なドリルを拝借して補う、というアプローチがベストだと私は信じています。

「強化」と「ケガのしづらい身体づくり」を同時に行えて一石二鳥(=効率的)なので、時間の限られているアスリートには最適です。

また、時間効率という利点を抜きにして、単純に「ケガのしづらい身体づくり」の効果だけで比べたとしても、そのようなアプローチのほうが、1つ1つの傷害予防パッケージを積み重ねるアプローチよりも優れていると私は思います。

そのような比較をした研究は知らないので、あくまでも私の主観でしかないですけど。

 

 

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【編集後記】

悩んでいるPC選びですが、ほぼ決心がつきました。

本日、日本時間深夜におこなわれるApple Special Eventが終了したら、明日以降、購入しようと思います。

今回はiPhone関連の新しい製品の発表がメインで、MacBook関連には新しいことは起きないと思いますが。