#98 【論文レビュー】コンプレックストレーニングは実用的?

 

Jump

 

しばらく更新が滞ってしまいました。少し私事で忙しかったもので・・・。

さて、旧ソ連の科学者Verkhoshanskyが提唱したとされる「コンプレックストレーニング」というトレーニング方法があります。簡単に説明すると「高負荷のレジスタンスエクササイズを実施した後にプライオメトリクスorパワー系エクササイズを実施すると後者のパフォーマンスが向上し、結果としてより高いトレーニング刺激が得られる」という理論です。例を挙げると、スクワットを5RMに近い重さで5レップやった後にボックスジャンプを5レップ実施するとジャンプ高が向上する、という感じです。

このプライオメトリクスorパワー系エクササイズのパフォーマンスが向上するという現象は一般的にpost-activation potentiationと呼ばれており、神経系の活性化やミオシン軽鎖のリン酸化等の生理学的な要因が関係していると考えられています。

じゃあ、実際に高負荷のレジスタンスエクササイズを実施した後にジャンプ等を実施したらパフォーマンスが向上するのか?という研究はここ10-15年間の間に数多く実施されています。レジスタンスエクササイズを実施した後は、「post-activation potentiation」というプラスの影響だけでなく「疲労」というマイナスの影響も存在しているので、レジスタンスエクササイズ実施後にどのくらい休息時間を取るのかという点が、その後のプライオメトリクスorパワー系エクササイズのパフォーマンスがどうなるのかに大きな影響を与えるものと考えられます。じゃあどのくらいの休息時間を取るのがベストなのかという研究結果をまとめてメタ分析をした論文を今日は紹介します。

 

The effects of rest intervals on jumping performance: A meta-analysis on post-activation potentiation studies

 

論文内容のまとめ

  • レジスタンスエクササイズ実施後、0-3分の休息時間の後にジャンプを実施した場合、ジャンプ高は低下する傾向がある→effect size = -0.25(effect sizeは効果の大きさを表す指標)
  • レジスタンスエクササイズ実施後、4-7分の休息時間の後にジャンプを実施した場合、ジャンプ高は増加する傾向がある→effect size = 0.15
  • レジスタンスエクササイズ実施後、8-12分の休息時間の後にジャンプを実施した場合、ジャンプ高は増加する傾向がある→effect size = 0.24
  • レジスタンスエクササイズ実施後、16分以上の休息時間の後にジャンプを実施した場合、ジャンプ高にはあまり変化がない→effect size = 0.01

 

個人的な感想

トレーニングを取り入れる時は、レジスタンスエクササイズ実施後にプライオメトリクスorパワー系エクササイズを実施するまでの休息時間を考慮に入れる必要があるんだな〜という感じです。特に、レジスタンスエクササイズ実施直後(0-3分後)にプライオメトリクスorパワー系エクササイズを実施すると、疲労の影響が大きくて逆にパフォーマンスが低下するようなので、スクワットを1セットやった直後にジャンプとかやる意味はあるのでしょうか?

その一方で、post-activation potentiationの効果を最大限に利用するなら8-12分の休息時間がベストという事ですが、そんなに長い時間休まないといけないとなると、それだけでめちゃめちゃ時間がかかっちゃうな〜とも思います。そう考えると、post-activation potentiationを利用してより高いトレーニング効果を得る事を目的として実施するには、コンプレックストレーニングはあまり実用的ではないような気がします。post-activation potentiationを利用しようとせずに別の目的を持って、高負荷レジスタンスエクササイズとプライオメトリクスorパワー系エクササイズを組み合わせるという事であればアリだと思いますが。

ちなみにコンプレックストレーニングを考える時は、今回フォーカスして取り上げた休息時間だけでなく、レジスタンスエクササイズの負荷設定やレップ数等他にもいろいろな要因が関係してくるので、実際にはもっともっと複雑な問題だという事を認識する必要があるでしょう。

※この記事を読んで興味を持った方は、論文のPDFを手に入れて自分で全文読んでみて下さい。

 

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2 件のコメント

  • レジスタンストレーニングを①スクワット、プライオメトリクストレーニングを②スクワットジャンプと仮定します。
    これを    ①⇒②⇒①⇒②⇒①⇒②    の順序でやるのと、
            ①⇒①⇒①⇒②⇒②⇒②    の順序でやるのでは、ジャンプ力に対する効果に違いがあると思いますか?
               お答え頂けたら嬉しいです。

  • tatさん

    違いはあると思います。が、レスト時間や使用重量やレップ数などの条件によって事情が変わってくるので、一概にどう違うとは言えません。

    河森