先日、以下のようなツイートをしました:
ダルビッシュ選手は頭がいい!イチロー選手の発言を否定しないように配慮しつつ、自分の主張をしっかり・わかりやすく説明している。「最近はシマウマもウエイトトレーニングして強くなってる」ってたとえ話、使わせていただこう(笑) https://t.co/6Ih0fFRBQK
— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki)
ダルビッシュ選手の説明の仕方がわかりやすすぎて感動したので、取り上げてみます。
トラとかライオンはウエイトトレーニングしない
以前にも筋トレ業界で話題になったイチロー選手の発言があります:
トラとかライオンはウエイトトレーニングしない
イチロー選手は「身体を大きくするようなウエイトトレーニング」に否定的なようで、筋肉を太くして体重を増やしすぎると、本来自分が持っている身体のバランスが崩れる旨の発言をされています。
そうした主張をわかりやすく説明するために、トラやライオンを使った例え話をされたのだと思います。
トラやライオンはウエイトトレーニングなんてしなくても強いだろう!ということなんでしょう。
「あれだけ実績のあるイチロー選手がこう言ってるんだから、アスリートにウエイトトレーニングは必要ないだろう!」という形で、アンチ筋トレ派の方々の背中を強く押したエピソードになったと記憶しております。
実際には、イチロー選手もマシンを使った初動負荷トレーニングをやられているので、あくまでも「身体を大きくするようなウエイトトレーニング」に否定的なんだろうと思います。
このあたりのトピックについて議論する場合は、「ウエイトトレーニング」が何を指しているのかが人によって異なる場合があるので、そこを明確にしないと混乱してしまう恐れがありますね。
ダルビッシュ選手の上手な説明
上記のようなイチロー選手の発言について尋ねられたダルビッシュ選手の反応が、冒頭で紹介したツイートにある動画です。
ご存知のとおり、ダルビッシュ選手はウエイトトレーニングにガッツリ取り組まれています。
そんなダルビッシュ選手の反応を私なりにまとめてみます:
- 昔は野球選手もウエイトトレーニングをしなかったから、トラとかライオン(=生まれつき身体能力が高い野球選手のたとえ)が生き残って、シマウマ(=生まれつき身体能力が低い野球選手のたとえ)は生き残れなかった
- 今はシマウマがウエイトトレーニングを始めて、トラとかライオンよりも強くなっている
- だから、トラとかライオンもウエイトトレーニングしないといけなくなってきた
- イチロー選手は頭のいいライオンだから、ウエイトトレーニングしなくても生き残って多くの餌をとってこれた
なんて100点満点の模範的な回答なんでしょうか!
これであれば、イチロー選手の理論は否定しないように配慮しつつ、ウエイトトレーニングの必要性もわかりやすく説明することができています。
さらに言うと、なぜウエイトトレーニングに否定的で実践していないイチロー選手が、あれだけ活躍できているのかも、上手に説明できてしまっています。
私だったら、「トラとかライオンは野球もしないでしょ!」と反論してしまうところです。
実際そうなんですけど、それだと議論はそこで終了してしまい、アンチ筋トレ派の方々をさらに怒らせるだけの結果になってしまいます。
一方、ダルビッシュ選手のような説明の仕方であれば、そこから議論を発展させることも可能だし、アンチ筋トレ派の方々をも包み込むような優しい回答になっています。
ウエイトトレーニングは絶対に必要?
振り返って考えてみると、私にも「アスリートはウエイトトレーニングを絶対にやらないとダメ!」という信念はありません。
競技アスリートの究極の目的は「勝つこと」なので、ウエイトトレーニングをやらなくても勝てるのであれば、やる必要はないと考えています。
たとえばイチロー選手の場合は、やらなくてもあれだけ活躍されたわけですから、それだったら無理にやらなくてもいいと思います。
しかし、他の多くのアスリートにとっては、ウエイトトレーニングを取り入れたほうが「勝つ」確率が高まるのが現実でしょう。
すべてのアスリートが生まれつき強いトラやライオンではないので。
したがって、シマウマが勝つようになるためには、ウエイトトレーニングは必須だと思います。
もちろん、ウエイトトレーニングのやり方を間違えれば、マイナスになるリスクはあるので、正しいやり方を追い求めるのは前提条件ですが。
また、生まれつき強いトラやライオンであっても、ウエイトトレーニングをしてさらに強くなることは可能だと思います。
ただ、何もしなくても生まれつき強い場合、ウエイトトレーニングの必要性を感じることがないのかもしれませんが・・・。
まとめ
イチロー選手のようにずば抜けた実績があるアスリートが、ウエイトトレーニングを実践しておらず、その必要性を否定する発言をされると影響力が大きいです。
「あれだけのスーパースターが言ってるんだから、ウエイトトレーニングなんてやらないでいいんだ」と多くのアスリートが思ってしまうかもしれません。
しかし、イチロー選手は特別な存在(頭のいいライオン)であり、それと同じことをやっていても大多数の一般のアスリート(シマウマ)が同じような活躍ができる可能性は低いでしょう。
そのあたりの話をわかりやすく説明しているダルビッシュ選手のインタビュー動画は、多くのアスリートに観てもらいたいです。
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【編集後記】
東京オリンピックのチケット抽選の申込みをしました。
とりあえずフェンシングとバスケを。
ウエイトリフティングも申し込もうかと考え中ですが、どの階級を見に行くか決めかねています。