#177 S&Cコーチとスキル練習

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つい先日、ツイッターで「コーチの要望を叶えるためにS&Cだけでは足りない場合、スキル練習の領域に口を出すのも必要でしょう。あくまでも信頼関係の存在が前提条件ですが」という発言をしました。少し勘違いを招きかねない表現だったので、補足をしておきます。

 

 

スキル練習の領域に口を出す?

ここで言う「スキル練習の領域に口を出す」というのが指しているのは、例えば「アスリートのこの動きが遅いから、それを改善するようなトレーニングをしてほしい」という要望をされた時に、「じゃあその動きのスキル練習は1日に何回、週に何セッションやっていますか?」と尋ねたら「いや、特別その動きを取り出してフォーカスした練習はあまりやっていない」と言われたら、「S&Cトレーニングで筋力や筋パワーを向上させる事はできるけど、それをパフォーマンス向上につなげるためには、向上した筋力や筋パワーを使いこなせるようになる必要があるから、もっとたくさん練習をしてほしい」と伝えることです。

あるいは、「シーズンが開幕して、競技練習にもっと多くの時間を割きたいから、S&Cセッションの頻度を減らしたい」とコーチから要望された時に、「了解しました。しかし、S&Cセッションの頻度を減らしても体力(特に持久力)を落とさないために、週に何回かは量が多めの競技練習をするようにしてください。そうすれば持久力の低下を避けられるし、S&Cトレーニングで培った一般的な持久力を競技に特異的な持久力につなげることも可能です」と伝えることを指しています。

ここで挙げた例のように、「たくさん練習をしてほしい」とか「量が多めの競技練習をするように」とこちらから伝えるのは、S&Cトレーニングの効果が実際の競技力向上に結びついてほしいからです。

「S&Cトレーニングで体力を向上させることはできるけど、それを競技成績に反映できるかどうかはコーチやアスリート次第だ」と割り切ることもできますし、実際そうなんですけど、もしコーチやアスリートとの信頼関係があってこちらの意見を聞いてもらえるのであれば、S&Cトレーニングの効果を実際の競技に反映させるためのヒントを伝えるのは悪いことではないと思います。

この「S&Cトレーニングの効果を実際の競技に反映させるためのヒントを伝える」ことを、先日のツイッターのつぶやきで「スキル練習の領域に口を出す」という言い回しで表現したつもりでした。

 

 

まとめ

ちなみに、私がS&Cコーチとして伝えるのは「たくさん練習をしてほしい」とか「量が多めの競技練習をするように」程度のことで、「じゃあ実際どのようなスキル練習をしたらいいか」とか「どのようにして競技練習の量を増やすか」といった部分については、完全に競技コーチの仕事の領域なので、一切口を出すことはありません。

また、S&Cセッション中に競技スキルの練習をさせたり、競技の動きについて指導をしたりすることも絶対にありません。S&Cコーチがそんなことをしてはいけないと思いますし、もしやりたいのであれば競技コーチに転職して1から修行をし直すべきです。S&Cコーチという立場ではやるべきではありません。

ツイッターで使った「スキル練習の領域に口を出す」という表現が、こちらの意味合いで受け取られて誤解を受ける恐れがあったので、今回のブログでは私の意図をはっきりと説明しました。以上。

 

 

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【編集後記】

ソチ五輪が近づいてきて、代表選手のトレーニングの様子をメディアで見る機会も増えてきましたが、残念ながら「なんだそりゃ!?」と思うことのほうが多いです。ま、一部の映像だけを見て判断するのはフェアではありませんし、メディアは珍しいものや見栄えの良いものを取り上げる傾向があるので、放送されなかった部分ではちゃんとしたトレーニングをしているのかもしれませんが、それにしても・・・と思ってしまいます。トップレベルのアスリートがやっているトレーニングが必ずしもトップレベルのトレーニングとは限りません。トップレベルのアスリートを指導しているS&Cコーチが必ずしもトップレベルのS&Cコーチとは限りません。気を付けましょう。