#24 ウォームアップドリルの分類と順番

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Pistons players warm up

 

S&Cトレーニング前のウォームアップでは、複数のモビリティドリルやアクチベーションドリルを組み合わせると思います。それらのドリルの分類と配列の方法についてEric Cresseyのアイデアが面白かったので紹介します。

 

ウォームアップドリルの分類と順番

1. Ground Based

床やストレッチマットの上で寝た状態・座った状態・膝立ち状態で実施するドリルの分類です。例えば、胸椎のモビリティドリルの1つであるSide-Lying Windmill。

 

2. Standing, Stationary

その場で立った状態で実施するドリルの分類です。例えば、胸椎と股関節のモビリティドリルであるSquat to Stand with Reach。

 

3. Standing, Moving

移動しながら実施するドリルの分類です。例えば、いろんな部位のモビリティを組み合わせたドリルであるHigh Knee Walk to Spiderman with Hip Lift and Overhead Reach。

 

私がこの分類・配列方法を気に入ったのは、難易度が徐々に上がっていくという理由とロジスティクス的な理由からです。難易度が上がるというのは、バランスやスタビリティ能力の要求度が「床→その場立ち→移動」という順番で増えていくという事です。トレーニングする状態に徐々に身体(特に神経系)を持っていくという意味ではウォームアップとして最適な配列だと思います。またロジスティクス的な理由というのは、ウォームアップのフローが流れるように進むという事です。まずはストレッチマット等の上で、1番目の分類のドリルを全て実施して、その後その場で立ち上がって2番目の分類のドリルを全て実施する。そして、ストレッチマットを片付けてからスペースのある場所に移動して3番目の分類のドリルを実施するという流れは美しいと思いませんか?この順番を守れば、アスリートはあっち行ったりこっち行ったりする必要もなくなりますし、特に複数のアスリートやグループを指導する時にはジム内の混乱が少なくて済みます。

 

その他の注意点 

上記のウォームアップの配列はフローが美しいと述べました。あっち行ったりこっち行ったりする必要がないので、1つのドリルが終わったらすぐに次のドリルを実施する事ができます。ここでオススメなのはドリル間に休憩を取らないという事です。せっかく美しいフローを手に入れたのにドリル間で休んでしまうのはもったいないです。ドリル間の休憩を無くし、次から次へとドリルを実施する事によって、ウォームアップ全体にかかる時間を短縮できます(ウォームアップの効率化)し、さらには体温向上という効果も期待できます。

また、せっかくモビリティドリルを実施して動的な関節可動域が広がったとしても、その新しい可動域での動きをコントロールする筋力が無ければ意味がありません。だから、しっかりと全可動域を用いて筋力トレーニングを実施しましょう(最近こればっか言っているような気がしますが・・・)。逆に言うと、ストレッチやモビリティドリルによって関節可動域が広がっても、その新たな可動域での筋力向上が伴わなければ、逆にケガの危険性が上がってしまうと思います。このあたりの考え方をうまく表しているのはCharlie Weingroffが提唱している「Get long, get strong」というコンセプトだと思います。

 

まとめ

最後に、上記の順番でウォームアップドリルを実施した後、バーベル等を用いてウエイトトレーニングエクササイズを実施する際には、しっかりと軽い重さからウォームアップセットを始めましょう。つまり、S&Cプログラム前に実施するウォームアップドリルとは別に、各ウエイトエクササイズ前にはウォームアップセットが必要だと言う事です。個人的には、バーベルのみ(20KG)からウォームアップセットを始めるのが私の主義です。たとえその日のメインセットが150KGとかだったとしても。ウォームアップセットを軽視して、いきなりメインセットの重さになるまでバーベルにプレートを付けてエクササイズを実施するというアスリートがあまりにも多いと思います。

#42 バーのみからウォームアップセットを開始する