ウエイトトレーニングに対してネガティブな印象をお持ちのコーチやアスリートはまだまだ多いと思います。
ウエイトトレーニングをやると動きが遅くなるとか、カラダが重くなるとか、かたくなるとか。
S&Cコーチとしては、そのような意見を聞くと「何言ってんの〜、わかってないな〜」と感情的に反応してしまいがちです。
ウエイトトレーニングがパフォーマンス低下につながる可能性
しかし、冷静に考えてみると、ウエイトトレーニングがパフォーマンス低下につながる可能性は、残念ながら実際にあることに気づきます。
いくつかの例を挙げてみます:
- ①不適切なトレーニングをやっている
- ②筋力やパワーは向上したけど、それを使いこなす新たな技術をまだ身に付けていないため、一時的にパフォーマンスが低下している
- ③ウエイトトレーニングをやりすぎている
①不適切なウエイトトレーニングをやっている
ウエイトトレーニング自体がパフォーマンスに悪影響を与えるわけではなくても、不適切なやり方でやればパフォーマンス低下に繋がる恐れはあります。
たとえて言うなら、適切に使えば効果のある薬であっても、服用方法を間違えれば効果が出ないどころか悪影響を与えてしまうのと似ています。
たとえば、可動域が狭かったり、マシンばっかり使ったり、単関節エクササイズばっかりやったり、めちゃめちゃなフォームでトレーニングしたり、ファンクショナル云々とかわけわからないことやったり等々すればパフォーマンスにネガティブな影響を与える可能性はあります。
②筋力やパワーは向上したけど、それを使いこなす新たな技術をまだ身に付けていないため、一時的にパフォーマンスが低下している
適切なウエイトトレーニングを実施して体力が向上しても、それがすぐにパフォーマンス向上に結びつくわけではありません。
向上した新しい体力を使いこなす能力を身につけ直す作業が必要になります。
その作業が進んでいない状態のときには、一時的にパフォーマンスの低下を経験する可能性があります。
以前のブログ(コレとかコレ)でもご紹介した「トレーニング効果の転移」という概念をおさえておけば、この可能性があることは理解できます。
③ウエイトトレーニングをやりすぎている
必要以上にウエイトトレーニングに時間を割いて量をやりすぎてしまうと
- 競技練習の時間が減る
- 疲労がたまって競技練習の質が低下する
- フィットネス(=体力のポテンシャル)が向上しても疲労により隠れてしまう
等の理由により、パフォーマンスに悪影響を及ぼすリスクがあります。
なんでもやればやるほどいいわけではなく、適切な量というものが存在するのです。
まとめ
S&Cコーチの立場としては、以上のような可能性を頭に入れながら、そうならないようにS&C指導をしたいものです。
逆に言うと、適切なウエイトトレーニングを実施して、向上した筋力やパワーを使いこなす新たな技術を身に付けて、ウエイトトレーニングをやりすぎないように気をつければ、パフォーマンス向上につながるとも言えます。
ウエイトトレーニングに対してネガティブな印象を持っているコーチやアスリートに出会ったら、上記のようなことが起こればパフォーマンスが低下する可能性はあるけど、そうならないように適切な指導をするから大丈夫です、と論理的に説明をして不安を取り除いてあげるのが大切だと思います。
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【編集後記】
最近読んでいる本は「High-Performance Training for Sports」です。
いろいろな人がいろいろなトピックについて1章ずつ書いています。
我が恩師、Dr. Haffもピーキングについて書いています。
オススメです!