ペリオダイゼーション(期分け)は、トレーニング論の勉強をしていれば必ず習う概念です。
世の中には様々な種類のペリオダイゼーションのモデルが存在し、色々な人が独自の方法を提唱しています。
私も本を読んだり、論文を読んだり、学校でトレーニング論の授業を取ったりして、ペリオダイゼーションについて一生懸命勉強したものです。
特に、アメリカ留学中に私が師事したDr. Greg Haffの師匠がDr. Mike Stoneという西欧圏でのペリオダイゼーションの大家だったので、Dr. Haffを通じてMike Stoneモデルのペリオダイゼーションについては深く知る機会がありました。
ペリオダイゼーションは実用的?
しかし、実際にアスリートのトレーニング指導を担当するようになって最近思うのは、あまり学校や書籍で習ったペリオダイゼーションをそのまま使える機会が少ないということです。
それにはいくつか理由があると思います:
- ペリオダイゼーションモデルの多くが構築された時代は、オフシーズンが長くて年間の試合数も少なく、年に数回の重要な試合に向けてピークを作るようなモデルが適していたが、現在は明確なオフシーズンがない状態で年間を通して試合があるケースが多く、しかも試合結果に基いてポイントを獲得するようなランキング制を採用している種目も多いため、従来のペリオダイゼーションモデルが当てはまらない
- ペリオダイゼーションモデルの多くは、陸上・水泳・ウエイトリフティング等の個人種目(特に身体能力が直接、競技成績に影響する種目)向けに構築されたものであり、それ以外の種目(チーム競技や個人競技でも技術や戦術の重要性が大きい種目)にそのまま当てはめることが難しい
したがって、多くの場合は、自分の担当するアスリートやチームの試合スケジュールや練習スケジュールを考慮しながら、各ケースに合わせてトレーニング計画をするという事になります。
あのペリオダイゼーションモデルを使いたいな〜とか思っても、自分に与えられたトレーニングセッションの回数やら頻度やら期間やらを考えると、そんなの使ってる場合じゃないよ〜という事が多いです。
じゃあ、ペリオダイゼーションについて学ぶ必要がないのかというと、そうは思いません。
ペリオダイゼーションモデルをそのまま使う事ができなくても、ペリオダイゼーションモデルの背景にある「考え方」について理解しておけば、その「考え方」を自分の状況に応じて活用する事ができるからです。
でも、ただ表面的にモデルの形だけを知っているのではダメです。
なぜそのようなモデルを構築したのかという背景まで深く理解していないと、異なる状況においてその「考え方」を応用することはできません。
まとめ
なので結論を言うと、ペリオダイゼーションをそのまま使える機会は少ないけど、ペリオダイゼーションの背景にある「考え方」を深く理解しておけば、役に立つという事です。以上。
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【編集後記】
年があけて、担当しているアスリートがシーズンインしたり、ソチ五輪代表選出に向けて重要な試合を迎えたり、という状況になってきました。一生懸命トレーニングをしてきた成果を発揮して、是非とも良い成績を残してほしいものです。ただし、成績の良し悪しが必ずしもトレーニングの良し悪しを反映するわけではありません。アスリートの成績に一喜一憂せずに、結果を冷静に分析をして、トレーニングの質を上げるよう努めたいと思いますし、そのような客観的な視点・姿勢を忘れないように気をつけたいです。