先日、職場内の勉強会でプレゼンをしました。その時の内容の一部を再利用してブログを書きます。
チーム競技、ラケット競技、格闘技など、多くのスポーツにおいて求められるコンディショニングは「間欠的持久力」の向上です。間欠的持久力は「高強度の運動を低・中強度の運動と休息を間に挟みながら繰り返す持久力」と定義することができます。もちろん、高強度の運動とそれ以外(低・中強度運動、休息)のそれぞれの継続時間、発生頻度、トータルの試合時間などは競技によって異なります。でも、間欠的持久力を向上させるためのコンディショニング戦略のイメージというものは共通点が多いと思います。今日はそんなイメージを図を使いながら説明してみます。
①高強度運動の質(=パワー出力)の低下率を抑える
このグラフの棒の1本1本が1回1回の高強度運動を表しています。棒の高さが高強度運動の質(=パワー出力)です。そして、上の青いグラフがコンディショニング前、下の赤いグラフがコンディショニングによって間欠的持久力が向上した状態です。まず、上の青いグラフを見てもらうと、高強度運動を繰り返すにつれて疲労が蓄積して質(=パワー出力)が低下しているのがわかると思います。下の赤いグラフを見ると、同じように高強度運動を繰り返すと質(=パワー出力)は低下していますが、その低下率が小さくなっています。これは、実際の競技の試合の特に後半においても、高強度運動の質(=パワー出力)をそれほど低下させずに高い水準を維持できるようになった状態です。
②高強度運動の頻度を上げる(=高強度運動間のリカバリー時間の短縮)
さて、次のイメージにおいては、高強度運動の質(=パワー出力)の低下率はコンディショニング前・後で変化はありません。しかし、コンディショニングを実施したことによって高強度運動を実施できる頻度が向上しているのがわかると思います。例えば、上のコンディショニング前のグラフにおいては、高強度運動と次の高強度運動の間に20秒のリカバリー時間が必要だったのに、下のコンディショニング後のグラフにおいてはリカバリー時間が10秒と短縮されているといった具合です。①とは種類の異なるコンディショニング効果であると言えますが、こうした適応により①とは異なるメカニズムによって間欠的持久力の向上につながると考えられます。
③高強度運動の質(=パワー出力)の低下率を抑える+高強度運動の頻度を上げる(=高強度運動間のリカバリー時間の短縮)
そして最後のイメージは、①と②を組み合わせたもので、ようするに、質(=パワー出力)の低下をできるだけ抑えつつもより頻繁に高強度運動を実施できるようにするということです。間欠的持久力向上のためのコンディショニングとして目指すものとしては理想に近い形だと思います。
まとめ
今回は間欠的持久力向上のためのコンディショニングを考える時に、どのような形を目指してやっていけば良いのかというイメージをグラフで紹介してみました。「だから何だ」と思われるかもしれませんが、なんとな〜く漠然と間欠的持久力向上のためのコンディショニングを考えている方がいたら、こうしたイメージを持つことによって目指す方向が少しハッキリして、「じゃあそれぞれのイメージを実現するためには具体的に何をしたら良いのか?」という次のステップに進みやすくなるのかな〜と思います。
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【編集後記】
最近、ランジ系エクササイズ(フォワードランジ、リバースランジ、スプリットスクワット)において、体幹を少し前傾させるやり方(keep the shoulders over the knees)を試しています。これまではできるだけ上体をまっすぐキープするよう(stay upright)アスリートにも指導してきたのですが、とある研究で上体を前傾させたほうが股関節周りの発揮トルクが増大するという報告を読んでから、なんで上体をまっすぐキープしないといけないってこれまで指導してきたんだろう・・・と考えはじめました。まだ、どっちのほうが良いのか検討中の段階なので、ある程度の結論が出たら、詳しい内容を正式にブログ記事にしたいと思います。