先日、以下のようなツイートをしました:
トップレベルのフェンシング選手の話を聞いていると、国際大会で海外選手と対戦するようになって初めて、体力的な差を感じて、トレーニングの必要性に気づくようです。国内だと通用していたものが通用しないらしい。
日本代表レベルを目指すフェンサーは早くからトレーニングやっておいたほうがいい。
— 河森直紀 Naoki Kawamori (@kawamorinaoki)
フェンシングについて書いたツイートですが、他の競技にも当てはまることです。
反響が大きかったのでブログで深堀りしてみます。
より上のレベルを見据えてスポーツをしているなら、早くからトレーニングやっておいたほうがいい
私はアスリートはみんなトレーニングをやるべきだだと考えています。
そして、できれば若いときから、競技練習だけでなくトレーニングにも取り組んでおくことが重要だと考えています。
ウエイトトレーニングに関して言うと、高校生くらいから取り組み始めるのが望ましいです。
ただし、これは、将来的により上のレベルで競技を続けたいというアスリートにのみ当てはまるお話です。
目の前の大会で活躍することだけを考えたら、トレーニングなんてしないで練習ばかりやったほうが、効率よく勝つ確率を高めることができるかもしれません。
べつに将来、世界的に活躍したいとか、プロのレベルで競技を続けたいという希望がないのであれば、ここからのお話は無視してください。
世界の舞台で海外選手と対戦して初めて体力的な差を感じて、トレーニングの必要性に気づくアスリートたち
私は国立スポーツ科学センターに勤務していたこともあり、日本代表として世界の舞台で活躍するアスリートのトレーニング指導に携わる機会がありました。
そんな選手たちと話をする中で、冒頭のツイートでも紹介したように、国際大会で海外選手と対戦するようになって初めて体力的な差を感じて、トレーニングの必要性に気づいた、という経験をするアスリートが多いことに気づきました。
ツイートではフェンシング選手を例として取り上げましたが、他の競技でも似たような経験をしているアスリートは多い印象です。
とくに、国内での競技人口が少ないスポーツにおいては、生まれつき才能があるアスリートはトレーニングなんて一切しなくても国内では無双状態になりがちですが、世界の舞台にでた途端に、壁にぶち当たることが多いようです。
できれば若いときからトレーニングに取り組んでほしい
必要性に気づいてトレーニングに真剣に取り組むようになるのは良いことです。
しかし、それに気づくタイミングが競技人生の中盤から終盤になってしまうようでは遅いしもったいない、というのが私の感想です。
もちろん、トレーニングはいつ始めても効果は出ます。適切なやり方でやれば。それは間違いないです。
とはいえ、早くからトレーニングを始めたほうが、より高い体力レベルに到達できる可能性は高まります。
逆に言うと、トレーニングを開始する年齢が遅くなると、到達できる体力レベルが低くなってしまう恐れがあるということです。
自分の持っているポテンシャルを最大限引き出せずに競技人生を終えてしまいかねないのです。
あえてトレーニングを開始するタイミングや年齢を遅らせる必要はない、というのが私の持論です。
» 参考:ウエイトトレーニングを若くから始めてしまうと、大人になってからのパフォーマンスの伸びしろを狭めてしまうのか?
若いうちからトレーニングを開始することを個人に頼らず組織の方針としてやるべき
スポーツによっては、育成年代から国際大会が催されていて、若いうちから世界のレベルを体感できたりします。
そこで体力の差を感じた場合、若いうちからトレーニングに取り組むモチベーションを得ることはできるかもしれません。
しかし、そのような経験ができるスポーツは限られています。
また、仮にそのような機会があったとしても、それを経験できるのは育成年代において日本代表レベルの実力を持っているアスリート、つまり早熟なアスリートに限られます。
遅咲きタイプのアスリートの場合、若い時はまだ芽が出ていないので、育成年代の日本代表に選ばれて世界レベルを体感する機会はないでしょう。
そのような遅咲きタイプのアスリートの場合、海外選手と対戦して体力的な差を感じるタイミングが遅くなってしまいます。
さらには、育成年代においては、海外選手もまだ身体ができていない(体力が低い)ケースもあり、体力差をそれほど感じないかもしれません。
あるいは、若い段階ですでに海外の選手との間に体力的な差が存在していたとしても、日本人選手がそれ以上に技術面で優れていて十分勝ててしまうというケースもあるでしょう。
そのようなケースにおいては、たとえ若い段階で海外選手と対戦する機会があったとしても、トレーニングの必要性を実感することができないかもしれません。
つまり、アスリート個人が世界の舞台で体力的な差を感じてトレーニングに真剣に取り組み始める、というのに頼っているようではダメなのです。
そんな、いつ起こるかもわからない、起こるかどうかさえわからないようなことに依存しているようでは、そのスポーツの国際競技力を高めるのは不可能です。
だからこそ、競技団体が音頭を取って、若いときからトレーニングを実施する必要性を啓蒙することが大切です。
また、若いときから自分で専門家にお金を払ってトレーニング指導を受けられるアスリートなんて、裕福な家庭に生まれたほんの一握りのアスリートに限られます。
したがって、ただトレーニングの必要性を啓蒙するだけでなく、若いうちから専門家からトレーニング指導を受けることができる環境づくりに投資するのも、競技団体の使命だと思います。
まとめ
海外選手と対戦して体力的な差を感じて初めて、トレーニングの必要性を実感するというのでは遅い、もったいない、と考えていたので、それを文章にしてみました。
できれば、育成方針を決める責任のある競技団体の担当者とか、ユースチームを抱えるプロチームの責任者とかに知ってもらいたい情報です。
とはいえ、若いうちからトレーニングをする環境が整うのを待っていたら間に合わないケースが多いと思うので、アスリートはそんなのを待たずに、自ら若いうちからトレーニングに取り組んでほしいです。
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
普段通っているジムが再開して、久しぶりにデッドリフトをやりました。バーが当たってスネが赤くなりました。この感じ久しぶりだな〜なんて思っています。
で、ふと気づいたのですが、すね毛が以前より濃くなっていました。
デッドリフトとかやっているとバーがスネを削るので、すね毛が抜けてしまってツルツルになっているのがデフォルトだったのですが、しばらく自粛により床からバーを引けていなかったせいで、すね毛が生えてきたようです。
おそらく、徐々に抜けていって、再びツルツルのすねに戻ることでしょう。#バーベル脱毛