#18 正しいエクササイズフォーム(テクニック)へのこだわり

 

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私、正しいフォーム(テクニック)でウエイトトレーニングのエクササイズを実施する事にこだわりがあります。アスリートのトレーニングを指導する時も正しいフォームでエクササイズを実施する事を強調しています。その結果、「フォームポリス」なるあだ名でアスリートから呼ばれる事もあります。私にとっては褒め言葉です。

間違ったフォームでエクササイズを実施しても意味ないと思いますし、怪我や痛みにつながる可能性だってあります。間違ったフォームでエクササイズを実施しているアスリートを見るとムズムズします。ある意味、病気かもしれません。

私がこれまでいろいろな国や場所でいろいろなレベルのアスリートのエクササイズフォームを観察していて気付いたパターンがあります。今日はそれについて紹介してみたいと思います。

 

 

正しいフォームでエクササイズを実施できていない

正しいフォームでエクササイズを実施できていないアスリートの割合が想像以上に多いのが現状です。その理由はいろいろ考えられます。

 

①我流でエクササイズを覚えた

まず1つ目の理由は、生まれて一度もS&Cコーチからの指導を受けた事がなくて、我流でエクササイズのやり方を覚えた場合。日本では、S&Cコーチから指導を受けられるアスリートの数は限られているため、このパターンに当てはまるアスリート数は多いのではないかと予測できます。これだと正しいエクササイズフォームを覚えるのは難しいかもしれません。

 

②能力不足のS&Cコーチに教わった

2つ目の理由は、S&Cコーチから指導を受けているけど、そのS&Cコーチが正しいエクササイズフォームを教える能力が無い場合。こんなの言語道断だと思いますが、残念ながら結構あります。

以前にも紹介したこちらのブログで「米国内でまともなS&Cコーチは20〜30%です」とう辛口発言がありましたが、正しいエクササイズフォームを指導できるS&Cコーチの割合もこのくらいかもしれません(国によらず)。YouTubeでアスリートのエクササイズ動画をいろいろ見てみればわかると思います(アメリカのNCAA Division1に属する有名大学のアメフト選手のエクササイズ動画とかを見ていると、結構な確率でムズムズしてきます)。

 

③挙上重量を優先してしまう(アスリートが)

3つ目の理由としては、より重い重量を持ち上げる事が優先されて、正しいエクササイズフォームがおざなりにされている場合。このパターンの割合も結構多いと思います。

まず、アスリート(特に男子)はより重い重量を持ち上げたいという本能があるので、S&Cコーチが静止しないと、どんどんウエイトプレートをバーベルに追加していく傾向があります。この行動には、「ただ単純に重いものを持ち上げたい」「他のチームメートより重いものを持ち上げたい」「がんばってトレーニングしたから先週よりも20KG重いバーベルでベンチプレスできるはずだ」等の(我々S&Cコーチから見たら無茶過ぎる)プライドが影響しているものと考えられます。 

まあ、全然一生懸命トレーニングしないアスリートに比べれば、こういうプライドのあるアスリートはトレーニングに対するモチベーションが高いとも言えるので、そのモチベーションを生かしつつ、無茶な重量でのトレーニングをさせないように、適切な重量選択の仕方を教えるのがS&Cコーチの腕の見せ所なんですが。

 

④挙上重量を優先してしまう(S&Cコーチが)

4つ目の理由は、上記3つ目の理由の派生系で、より重い重量を持ち上げる事が優先されて、正しいエクササイズフォームがおざなりにされている場合です。ただしこの場合、3つ目の理由とは異なり、主語が「アスリート」ではなくて「S&Cコーチ」となります。つまり、S&Cコーチが「俺の指導しているアスリートは全員200KG以上でスクワットできて、30回以上懸垂ができるぜ〜!!」と吹聴したいがために、無茶苦茶なフォームを使って能力以上の重量でアスリートにトレーニングさせているのです。

こんなの完全にS&Cコーチのエゴで、犯罪ものです。こんな事言ってるS&Cコーチの指導しているアスリートは99%の確率で、お尻を軽く振っているかのように見えるくらい浅いスクワットをしていて、懸垂バーがしなりまくるような反動付きの懸垂をしている事でしょう。

ちなみにこの4つ目の理由に当てはまるS&Cコーチは、上記2つ目の理由(正しいエクササイズフォームを指導する能力がない)も併発している可能性大です。こんなS&Cコーチの指導を受けているアスリートを見ているとかわいそうになりますが、自分が指導しているわけでもないので何もできず、ムズムズしている事しかできません。もどかしい。。。 

 

⑤きめ細かい指導が受けられない

5つ目の理由は、1人のS&Cコーチが指導するアスリート数が多すぎて、きめ細かい指導をするのが難しい場合。これだと、少人数のグループ相手には正しいエクササイズフォームを教える能力のあるS&Cコーチでも、大人数に対して同様に指導するのが難しいかもしれません。

この場合は、いろいろな工夫が必要になるでしょう。例えば、トレーニングプログラムを作成する際に、比較的フォーム指導が容易なエクササイズを中心にプログラムを組み立てるとか、(学生アスリートを指導する時は)すでに正しいフォームを身につけた上級生が下級生を指導する体制を作り上げるとか。

 

 

正しいフォームを重要視するあまり使用重量が軽いOR増えない

割合で言えば、不適切なフォームでエクササイズを実施しているアスリートよりも全然少ないですが、こういうアスリートも時々目にします。その多くの場合は、メディカル系のバックグラウンドを持った指導者が1対1あるいは少人数でつきっきりで指導をしている、というのが私の印象です。我流でエクササイズを覚えたアスリートがこのパターンになるのは珍しいでしょう。

間違ったフォームでエクササイズを続けると怪我をしたり痛みが出る可能性があるので、それと比べるとこのパターンは無害と言えるのかもしれません。しかも、そういった指導者はアスリートの事を考えて指導されているので(エゴはない)、このタイプの指導者に対して個人的に悪い感情は持ちたくないのですが、やはりトレーニングでの挙上重量はある程度重いものを用いて徐々に増やしていく(つまり漸増的過負荷の原則に従う)必要があるので、それができていない指導者はアスリートがより良いアスリートになるチャンスを潰しているということで、やはり正当化することはできないというのが本音です。

 

 

まとめ

ということで、今回はちょっと勇気を出して、少し辛口なコメントもしてみました。辛口コメントをすると、それを読んで機嫌を損ねる方もいるかもしれませんし、反論等もされる可能性があり怖いのですが、こうすることでより勉強せねばという自分へのプレッシャーにもなりますし、波風たたないようなコメントばかりしていても面白くないですもんね(と自分に言い聞かせてみる)。

結局、何が言いたいのかというと、「正しいエクササイズフォームを優先しながら、より重い重量を挙上する」という事です。もう少し詳しく説明すると、エクササイズフォームがgreatあるいはperfectではなくてもgood enoughであれば段階的に負荷を増やしていく、ただしwrongまたはbadなエクササイズフォームは容認せずにしっかり指導・修正をするという事です。

wrong/bad → good enough → great/perfect

ウォームアップ等の比較的軽い重量を用いたセットではgreat/perfectなフォームを目指し、RM(repetition max)に近いような重いセットではgood enoughなフォームを目指しましょう。もしそのRMに近い重さのセットでのフォームがgreat/perfectだった場合は、重さが足りないかもしれないので、時々はもっと重量を増やしてトレーニングしてみましょう。ただし、どんな場合もwrong/badなエクササイズフォームは許さないという強い気持ちを持つのが重要だと私は思います。この辺の線引きを一度なあなあにしてしまうと、後で直すのが難しくなります。アスリートはS&Cコーチの指導の矛盾というか一貫して無い点に対して敏感ですから。

4 件のコメント

  • 河森さん
    前の記事へのコメント失礼します。

    私も同じようにフォームテクニックでムズムズするときがあります(笑)

    この記事を読ませていただいて、ウエイトトレーニングは正義の味方にも悪の大王にも、指導1つでなってしまうのだなと改めて自分の中で感じました。
    それは私がメインで指導している一般の方々だけでなく、アスリートにも言えますよね。(主にアスリートの方々に指導している河森さんに失礼と承知の上で。。。すみません)