#34 ハードルモビリティドリルは好きだけど欠点もある事に気づいた


今日は短めの記事です。

股関節のモビリティはパフォーマンス向上や傷害予防という点で非常に重要です。股関節モビリティ向上エクササイズの1つにハードルを利用した「ハードルモビリティドリル」があります。ハードルの上を跨いで超えたり、ハードルの下を潜ってくぐり抜けたり、いろいろなバリエーションが考えられます。どういうものか分からない方は下のビデオを参考までご覧ください:

個人的にこのようなハードルモビリティドリルは好きです。「体幹を安定させて、股関節からしっかり動かす」という事を意識して実施すれば、股関節のモビリティ向上につながる有用なエクササイズだと思います(逆に言うと、この点を意識できない場合は効果がありません)。

しかし、最近こちらのブログ記事を読んで、ハードルモビリティドリルにも欠点がある事に気づきました。どういう事かというと、身長(や脚の長さ)の異なる複数のアスリートを一緒にトレーニングする時にまったく同じ高さのハードルを利用してハードルモビリティドリルを実施すると、そのハードルの高さが全てのアスリートにとって適切なものとはならないという事です。身長180cmのアスリートが跨いで超えるのに調度良いハードルの高さは、身長165cmのアスリートにとっては高すぎます。逆に後者のアスリートが潜ってくぐり抜けるのに調度良いハードルの高さは、前者のアスリートにとっては低すぎます。

ハードルの高さが適切でない場合、股関節の動きだけではハードルを超えたりくぐり抜けたりする事ができず、結果として骨盤や腰椎(体幹の一部)が必要以上に動く事につながり、股関節のモビリティ向上エクササイズとしては適切で無くなってしまう恐れがあります。「股関節のモビリティ」と「体幹の安定(コアスタビリティ)」は切っても切り離せないものなので、後者が危うくなってしまうと股関節のモビリティドリルとしてはあまりよろしゅうございません。

解決策としては、複数のアスリートを同時にトレーニングする時は、身長(や脚の長さ)がだいたい同じアスリート毎にいくつかのグループを作って、それぞれのグループ向けにハードルの高さを合わせたコースをグループの数のぶん用意するという事が考えられます。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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