トレーニング指導時に、エクササイズのやり方やカラダの使い方を説明するために用いる合図やら声掛けの事を英語でcue(キュー)と言います。日本語でうまく当てはまる言葉が思い浮かばなかったので、そのままキューと呼ぶことにします。
お尻の筋肉に力を入れるキュー
アスリートにいろいろなエクササイズを指導していると、お尻の筋肉(特に大殿筋)をうまく使えないアスリートが多い事に気が付きます。
例えば、股関節をしっかり伸展したいのに、お尻の筋肉が使えず、代わりに腰が反ってしまうというパターン。こうした現象はglute amnesia(お尻の記憶喪失)と呼ばれる事もあり、比較的メジャーな問題点だと思います。
股関節屈筋群の柔軟性の低下等が影響する場合もありますが、とりあえず今回はお尻の筋肉に力を入れるように指導する時に用いるコーチングキューについて、私が使っているものをいくつかご紹介します。
割り箸!!
個人的に一番よく使うのが「割り箸!!」というキューです。テレビのお笑い番組等で見たことがあるかもしれませんが、下着のパンツをTバック状態にした上で、そこに水平に割り箸を差し込み、お尻に力を入れる事により割り箸を割るという伝統芸能(?)が存在します。何を言ってるのか理解できない場合はこちらの動画をご参照ください(注意:あまり見ていて気持ちの良いものではありません)。場合によっては折れた割り箸がお尻に突き刺さる事もある非常に危険な芸当です。
この伝統芸能についてアスリートに説明したうえで「割り箸を割るような気持ちでお尻に力を入れるように」と指導するとお尻の筋肉の使い方があっという間にうまくなります。まさに割り箸マジック!!
さらにこのキューの素晴らしい点は、最初にこの伝統芸能についての説明をしてアスリートが理解さえしていれば、その後はエクササイズ中にお尻に力を入れて欲しい時は「割り箸!!」という短いフレーズを繰り出すだけで良いという点です。個人的にはキューは短くてシンプルなものがベストだと思います。
ちなみに、最近の若いアスリートにこのキューを使おうとしても、そもそもお尻で割り箸を割る宴会芸を知らないアスリートが多いと感じます。まさにジェネレーションギャップ!!そんな時は、代わりに以下のキューを使ってみてください。
くるみ!!
くるみって固いですよね。そんなくるみをお尻の割れ目に押し込んで、お尻の筋肉を収縮させる事によって砕いてみせる・・・。そんな芸当をアスリートに説明しておいて、エクササイズ中は「くるみ!!」と叫べば、お尻に力を入れるキューの出来上がりです。
ダイアモンド!!
最近、導入を始めたのがこのキュー。上記のくるみバージョンと同様に、石炭をお尻の割れ目に押し込む事をアスリートに想像させます。その上で「お尻に力を入れて石炭をつぶすように圧力をかけることで、石炭をダイアモンドに変えてみせろ〜」という説明を事前にしておけば、エクササイズ中は「ダイアモンド!!」という短いキューを用いるだけでアスリートが反応してくれるはずです。
番外編
他のキューのように声をかけるわけではなく、人差し指でお尻をツンツンとつつくのも一つのキューです。それぞれ聴覚キューと触覚キューと分類できるのかもしれません。
お尻をツンツンとつつくと、アスリートはお尻に力を入れる事を思い出したり意識しやすくなり、S&Cコーチとしてはお尻の筋肉を使えているかどうかが確認できるので一石二鳥です。
ただし気をつけたいのは、お尻ツンツンはアスリートとの信頼関係が築けてからやったほうが良いという事です。また、異性のアスリートに対して(特に男のS&Cコーチが女子アスリートに対して)お尻ツンツンをやるのは控えたほうが賢明です。そして、お尻ツンツンをあまり勢いよくやり過ぎると、人差し指を突き指する事もあるので手加減しましょう。
まとめ
以上、私が個人的に使っている「お尻の筋肉をうまく使うためのコーチングキュー」についてご紹介しました。お尻バンザイ!!
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