先日、ドームアスリートハウス主催のセミナーに参加して来ました。講師は友岡和彦さん、テーマは「動作のスクリーニングとそれに基づいたコレクティブエクササイズ」について、形式は講義と実技でした。スクリーニングにはFunctional Movement Screen (FMS) が使われました。個人的には、1年ほど前からFMSに興味を持って色々な文献を読んだりしてはいましたが、なかなか実際に使うメリットというかその結果をどう活かしていくのかが見えない状態でした。しかし、ここ最近になって何となくFMSの位置づけや活用の仕方が自分の中で見えてきた事もあり、実戦投入してみようかと検討を始めていた所に、丁度良く上記のセミナーが開催される事を知り、参加したという経緯がありました。講義中に書いたメモやプレゼンスライドの中からいくつか参考になった項目を紹介したいと思います。
- 筋力を鍛えることによって、必ずしも稼働タイミングやパターンを向上させることにはならない
- スクリーニングはクルマの車検のようなもの
- 足首のモビリティが股関節の動きに影響を及ぼす事が多い→足首の可動域向上がパフォーマンスに影響を与える可能性がある
- コレクティブエクササイズのアプローチ順序は「モビリティ→スタビリティ」
- コレクティブエクササイズでは個々の筋肉に注目しすぎず、動作パターンにアプローチする
- 安定性(=スタビリティ)≠ 筋力、安定性 = 運動制御
これらの内容は、FMSを作ったGray CookやFMSを活用しているCharlie Weingroffらが言っている内容ともほぼ一致しているという印象を受けました。自分なりにFMS関連の文献を読んで勉強していたこともあって、すんなり私の中に入って来ました。事前知識がゼロだったら「どういうこと???」という感じだったかもしれません。
FMSを実際に長年使ってこられた方のお話や活用方法をお聞きして、非常に参考になりました。自分も実践投入していこうという決意ができました。これから実践していく中で私の考え方にも変化が出てくるだろうとは思いますが、現時点での私の中でのFMSの位置づけというか役割を書き残しておこうと思います。
- FMSの結果にもとづいて各アスリートに必要なコレクティブエクササイズを選択する
- コレクティブエクササイズはウォームアップやクールダウンに含めたり、あるいはレジスタンストレーニングエクササイズと組み合わせて(スーパーセットのような形でセット間に)実施したりする
- FMSの結果はあくまでもコレクティブエクササイズ選択に用いるだけであって、レジスタンストレーニングのエクササイズ選択等の決断には影響を及ぼさない(レジスタンストレーニングのエクササイズ選択等は、アスリートの目標やニーズに基づいて決定するものである)
こんなところでしょうか。ま、とりあえず試してみる価値はあるな〜というところまで私の考え方が変わってきたので、実践してみようと思います。使っていく中でいろいろ感じるところも出てくるでしょう。
※ちなみに、スクリーニングを実施するのにFMSという特定の方法を用いることを推奨しているわけではありません。他の方法や自分なりのやり方をお持ちの方はそれで良いと思います。私はそのようなスキルをこれまで学んで来なかったので、FMSのように既に体系化されたメソッドを取り入れるのが手っ取り早いと判断しただけです。また、スクリーニング自体もやらないといけないと思っているわけではありません。アスリートの姿勢や歩く姿、スクワット等のエクササイズを実施する様子を見るだけでそのアスリートの動きの癖を見つけて、必要な修正方法を見つけ出す事ができるという「目」をお持ちのコーチにとっては、改めてスクリーニングをする必要はないかもしれません。私自身、ある意味毎日のトレーニング指導がスクリーニングだと思ってアスリートには接しているつもりです。でも、はじめに包括的なスクリーニングをして早い段階で動きの癖を炙りだしておく事にメリットを感じたという事です。
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