#77 【論文レビュー】レジスタンストレーニングは持久系種目のラストスパートを向上させる?

公開日: : 最終更新日:2015/12/26 持久力・持久系アスリート, 論文レビュー


 

Medium 8047891986

 

最近はSPORTEC 2012でのプレゼン(詳しくはコチラ)に向けて、持久系アスリートに対するレジスタンストレーニング効果に関する論文を読みまくっています。その中から、レジスタンストレーニングが持久系種目のラストスパートを向上させる可能性を示した論文を紹介したいと思います。

Strength training improves 5-min all-out performance following 185 min of cycling

 

論文内容のまとめ

  • 被験者はwell-trained cyclist(実験前のVO2maxの平均は66 ml/kg/min前後)で、過去6ヶ月の間にレジスタンストレーニングをやっていない状態 
  • 被験者を2つのグループに分けて、一方のグループは通常の自転車トレーニングのみを12週間継続(Eグループ)、もう一方のグループは通常の自転車トレーニングに加えて週2回のレジスタンストレーニングも実施(E+Sグループ)
  • E+Sグループが実施したレジスタンストレーニングのエクササイズは、①スミスマシンを利用したハーフスクワット、②片脚レッグプレス、③片脚ヒップフレクション、④トウレイズの4つで、各エクササイズを3セット×4-10RM実施し、さらにコンセントリック局面は最大限加速させるように指示された
  • 12週間のトレーニング後、E+Sグループは185分間の最大下強度の自転車こぎの後の5分間の全力(all-out)スプリント中の平均パワーを7.2%向上させたが、Eグループでは変化が見られず、変化率はE+SグループのほうがEグループよりも有意に大きかった 

 

個人的な感想

レジスタンストレーニングが持久系アスリートのパフォーマンスにどう影響するかを調べた研究はいろいろありますが、ラストスパートに注目して調べた研究は私の知る限り今回紹介した論文だけであり、着眼点が面白いなと感じました。

持久系アスリートがレジスタンストレーニングを実施するbenefitをアスリートやコーチに説明する場合、タイプIIA筋線維の割合が増えるとか筋腱スティフネスが増えるとかいう生理学的な変化を説明しても話が専門的になりすぎて伝わらない可能性があります。一方、「レジスタンストレーニングをするとラストスパート能力が向上する」というのは非常に分かりやすく強烈なメッセージとしてアスリートやコーチに伝わると思います。

もちろん、今回紹介した論文で調べたのは自転車選手なので、他の種類の持久系アスリート(マラソン、競泳、スキー、スケート)には当てはまらない可能性も十分あります。そういったlimitationを頭の片隅に入れた上で、レジスタンストレーニングがラストスパート能力を向上させる可能性をサポートする1つのエビデンスとして今回の論文を知っておくとなにかと便利かなと思いました。

 

 

※もし記事がお役に立てたら、facebookで「いいね」を押したりtwitterでつぶやいたりして頂けるとうれしいです(^_^) 

関連記事

#48 【論文レビュー】トレーニングによる筋力UPは、やり方によっては競技力UPにも競技力DOWNにもつながりますよって事をコンピューターシミュレーション研究の結果をもとに考えてみる

  恐らくこれまでのブログで一番長いタイトルです。どうやら短くてわかりやすいタイトルを付ける才能が私

記事を読む

#114 【論文レビュー】 ウォームアップで静的ストレッチをしたらパフォーマンスが一時的に低下するけど、その後に動的ストレッチや競技特異的なドリルをしたらマイナス効果が無くなるのか?

    以前のブログで、過去の研究をまとめてメタ分析を実施した論文を紹介し、静的ストレッチを

記事を読む

#182 【論文レビュー予告】私が大学院博士課程でやった研究について

    オーストラリア留学時代に大学院博士課程でやった3つの実験結果が、ようやく全て論文という形で

記事を読む

#337 【論文レビュー】プレシーズンの練習やトレーニングを欠席せずにしっかり参加しておくと、シーズン中の傷害予防に繋がる!

    久しぶりに論文レビューをします。      論文の内容 Windt et a

記事を読む

#241 【論文レビュー】睡眠時間が8時間未満だとケガのリスクが高まる

    論文レビューです。睡眠時間と傷害発生率についてアンケート調査をした論文を紹介します。

記事を読む

#22 【論文レビュー】スクワットの深さがジャンプパフォーマンスに与える影響

    表題の疑問について調べた研究をThe Journal of Strength and

記事を読む

#87 『Stress is additive』:持久系アスリートに対してレジスタンストレーニングを処方したり指導したりする時のフィロソフィー②

    前回の続きです。     第2条「Stress is additive」 な

記事を読む

#274 【論文レビュー】両足を横一直線に揃えた状態からスプリントを開始する場合、そのまま前に一歩踏み出した方が速いのか、一度ステップバックした方が速いのか?

    先日、職場の同僚から本記事のタイトルに関連した質問をされたので、今回はそれを調べた研

記事を読む

#148 ブログ紹介:高強度そり引き走トレーニングでスプリント加速能力を向上させる

      今日は非常に素晴らしいブログを紹介します。 Heavy Sled Towing Tru

記事を読む

#139 【高強度インターバルトレーニング】必読のレビュー論文←無料ダウンロード可能!!

     高強度インターバルトレーニングは比較的短時間でエネルギー供給系の能力(無酸素だけで

記事を読む

  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

    • 563今日の訪問者数:
    • 716昨日の訪問者数:
PAGE TOP ↑