#115 【論文レビュー】ローテーターカフのエクササイズは軽い負荷を使わないとダメ?

公開日: : 最終更新日:2015/08/07 傷害リスク低減, 論文レビュー


 

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ローテーターカフ特に肩の外旋筋をトレーニングするエクササイズは、一般的に軽い負荷を用いて実施するよう推奨されています。重い負荷を用いると、ローテーターカフではなくてその周りの大きな筋群が動員されてしまい、ターゲットとするローテーターカフをトレーニングできなくなるからという理由が挙げられています。でも、本当にそうなのでしょうか?

 

研究結果の紹介

Darkら(2007)によると、肩の内・外旋エクササイズにおける負荷を低(10-20%max)→中(45-55%max)→高(60-70%max)と増やした時に、ローテーターカフもその周りの大きな筋群(三角筋、大胸筋、広背筋)も負荷の増大に比例して筋活動レベルが増大したと報告しています。

つまり、負荷を増やしたからといって、ローテーターカフの筋活動量だけが選択的に減って、その周りの大きな筋群の活動レベルが選択的に増えるという減少は発見されなかったという事です。どちらも負荷の増大に比例して同じだけ筋活動量が増えたのです。

 

研究結果を現場に応用すると

したがって、ローテーターカフをトレーニングする時は、軽い負荷に限定する必要はなく、筋力がUPするにしたがってトレーニング負荷も増やしていくのが適切であると言えるでしょう。ようするに、他の部位のトレーニングと同じように「漸進性過負荷の原則」にのっとってトレーニングを進めればよいのです。ローテーターカフだって大腿四頭筋やら上腕二頭筋等と同じ筋肉なので、特別な事は必要ないはずです。

ただし、ローテーターカフは非常に小さい筋群なので、最初は軽い負荷からトレーニングを始めるのが適切ですし、筋力向上のスピード(扱える負荷の向上率)は他の大きな筋肉と比べると遅いはずです。なので、例えば一気に2KGのダンベルから5KGのダンベルに負荷を増やすというのは危険です。この場合、ローテーターカフとその周囲の筋群だけでなく、全身の勢いも使ってダンベルを持ち上げてしまう可能性があり、ローテーターカフに適切なトレーニング刺激を与えられない可能性があります。

こうした問題を避けるには、できれば少ないジャンプ(例:2KGから3KG)で負荷を増やしていくほうがいいでしょう。場合によっては1KGのジャンプでも大きすぎる場合があるかもしれませんが、ダンベルだと1KG単位で揃えられているのが普通なので、1KGよりも小さい単位(例:0.5KG)で負荷をジャンプさせるのは現実的に無理でしょう。そういう場合は例えば2KGで20レップできるようになったら負荷を3KGに増やしてレップ数を10レップから始めて徐々にレップ数を増やしていく等の工夫が必要でしょう。

 

まとめ

ローテーターカフのエクササイズではずーっと同じ軽い負荷を使うべきとか負荷を増やすとローテーターカフにトレーニング刺激を与えられなくなるというのはナンセンスです。他の筋群と同様、漸進性過負荷の原則に基づいて、筋力UPに応じてトレーニング負荷も増やしていくべきです。ただし、ローテーターカフの筋群は非常に小さいので、結果としてトレーニングで使用する負荷はそれほど重くなる事はないでしょう。しかし、軽い負荷の範囲内においても、筋力UPに応じて負荷を小さいジャンプで増やしていくべきです。みなさんはどう思われますか?

 

参考文献

Dark A, Ginn KA, Halaki M. Shoulder muscle recruitment patterns during commonly used rotator cuff exercises: an electromyographic study. Phys Ther. 2007;87(8):1039-46.

 

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Comment

  1. t-bou より:

    こんばんは、初めまして。
    「ローテーターカフのトレーニングに軽い負荷を用いるのはなぜ?」
    「全か無かの法則を考えると、重い負荷だと外側ばかりが働いて内側が働かないなんてことはないのでは?」と疑問に思っていたところ、こちらの記事をみつけました。

    やはりローテーターカフだからといって特別なことはないのですね。お陰さまですっきりいたしました。ありがとうございます。

    こちらのブログには為になる記事がたくさんありますので、今後も参考にさせていただきたいと思います。

  2. Naoki Kawamori より:

    t-bouさん、コメントありがとうございます。
    一般的に「正しい」として受け入れられていることでも、論理的に考えてオカシイと思ったら突き詰めて考えてみるという姿勢は非常に重要だと思います。

  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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