#135 肩の痛みが消えた経験から考えたこと

公開日: : 最終更新日:2016/09/27 S&Cコーチとしての思考, 傷害リスク低減


 

Airman doing pushup

 

私事ですが、昨年末に変な体勢で寝て左肩を痛めてしまい、その後、痛みを我慢してベンチプレスやら(オーバーヘッド)プレスやらをやって悪化させてしまいました。

それ以来、上半身の押す系のエクササイズに関しては、足を台に乗せての腕立て伏せだけを4ヶ月ほど続けてきました(このエクササイズは肩の痛みが出ずにガシガシ実施できました)。

また、それと並行して、肩後部や大胸筋・小胸筋へのセルフ筋膜リリースや、ゴムバンドやダンベルを用いてのローテーターカフ・肩甲骨まわりの筋群の強化等を続けて来ましたが、一向に痛みが改善されませんでした。

そこで試しに(オーバーヘッド)プレスをバーのみ(20kg)で高レップ数実施してみました。多少の傷みを感じましたが、なんとか我慢出来る程度だったので、このアプローチを数週間続けてみました。すると、痛みが無くなってきたため、レップ数を1セットあたり5回まで下げてトレーニングをして重量も徐々に上げていき、今では50kgで3セット✕5回できるまで回復しました。肩を痛める前と比べるとだいぶ重量は落ちていますが、痛みなくプレスができる喜びを噛み締めています。

 

 

肩を痛めた経験から学んだこと

この経験から私が学んだことをリストで挙げて行きたいと思います。

  • 足を台に上げての腕立て伏せは肩に負担をかけずに実施できる→負担をかけないと言っても、肩甲骨まわりの筋肉への刺激がないというわけでなく、むしろ前鋸筋等の筋活動レベルは普通の腕立て伏せよりも高いという報告もあります(Lear and Gross)
  • いわゆるコレクティブエクササイズ的な細々としたドリルを続けても痛みが消えるとは限らない→ただし私がやっていた事が私の症状に合っていなかった可能性もあります
  • プレスはそれ自体がコレクティブな働きがある可能性がある→ただし、それまでやっていた細々としたドリルや足を台に上げての腕立て伏せの効果が出てきた時期とプレスを再びやり始めた時期がたまたま重なっただけで、肩の痛みが消えたのはプレスのおかげじゃない可能性もあります

結局、ハッキリと言えるのは上記リストの1番目だけって事になりますね。

 

 

個人の経験をアスリートの指導に活かす?

S&Cコーチとしてアスリートを指導する際に、自分自身がトレーニングをして色々と経験をする事は重要だと思いますが、あまり深く考えずに個人の経験にたよるのは危険です。

たとえば今回の経験をあまり深く考えずに良い方に解釈しようとすると、「肩が痛かったらプレスをやればよい、コレクティブエクササイズやら腕立て伏せはあまり意味が無い」って事になりかねませんが、実際にはコレクティブエクササイズやら腕立て伏せやらを4ヶ月近く続けた効果が出てきた時期とプレスを始めた時期がたまたま重なっただけかもしれないのです。

あるいは、コレクティブエクササイズやら腕立て伏せをしばらくやったうえで、プレスを取り入れるという「順序」が良かったのかもしれません。

 

 

まとめ

したがって、個人の経験はもちろん重要なデータ(エビデンス)ではありますが、データ(エビデンス)としての強さというかレベルという意味ではあまり高くないと言えるのではないでしょうか。

 

 

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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