#249 S&Cコーチの能力を評価するのが難しい理由

公開日: : 最終更新日:2017/02/28 S&Cコーチとしての思考


  

Personal trainer showing a client how to exercise the right way and educating them along the way

 

S&Cコーチの能力を評価するのは難しいです。特に、S&Cの専門家ではないアスリートや競技コーチがS&Cコーチの能力を評価するのは、至難の業でしょう。その理由を考えてみました。

 

 

S&Cコーチの能力を評価するのが難しい理由

①トレーニング効果が見えてくるまで時間がかかる

最近のブログで、S&Cコーチの仕事を美容師さんの例を使って説明しました(コチラ)。結構わかりやすい例だと思うので、また使います。

美容師さんの能力を評価しようとしたら、すぐにできます。一度、カットをしてもらって、その髪型を自分が気に入るか気に入らないか、です。それだけです。シンプルです。そしてクイックです。

一方、S&Cコーチの能力を評価するには、時間がかかります。トレーニング効果(あるいは効果の欠如や悪影響)が見えてくるのに時間がかかるからです。S&Cコーチの仕事の結果は数ヶ月または数年単位で見えてくるものです。

 

②トレーニング効果が競技成績に直結するとは限らない

トレーニング効果には大きく分けて「傷害リスクの低減」と「体力向上」が挙げられます。

前者に関しては、S&Cコーチが就任する前と就任した後のケガ発生率等を比較することで、ある程度評価することができるでしょう。しかし、それほどしっかりとケガ発生率を記録しているチームは少ないですし、個人のアスリートを指導している場合、ケガ発生率の変化を比較するのは困難です。

一方で、体力向上効果そのものを体力測定等により評価することは可能ですが、それが競技成績に直結するとは限りません。競技成績が向上あるいは悪化しても、そのうちどの程度がトレーニング効果によるものなのかを評価することはほぼ不可能です。メチャメチャなトレーニングをやっていても勝つアスリートやチームもいますし、最高のトレーニングをやっていても勝てるとは限りません。

もう競技成績からS&Cコーチの能力を評価するのはムリだと諦めて、S&Cコーチ自身としては体力測定を実施してそれを向上させることだけを目指す、というアプローチもあるかもしれません。

しかし、このような体力向上至上主義にはリスクが伴います。体力測定結果の向上だけを追求すると、疲労等による練習への悪影響を無視して過剰なトレーニングをアスリートに課す可能性があり、結果として競技成績を低下させてしまいかねません(もちろん、そこは直結しないから、競技成績にはそれほど反映されない可能性もあります)。でも、それは倫理観のあるS&Cコーチがやるべきことではないでしょう。

だから、S&Cコーチを雇う側の立場の人(チーム経営者とかGMとか競技団体の強化担当者)がこのブログを読んでいたら、S&Cコーチに対して「オマエの仕事の成果を、体力測定の数字・データとして示してみろ!!」なんて言わないほうがいいですよ。体力測定の成績は伸びるかもしれないけど、競技成績にはマイナスになる可能性がありますから。

 

 

じゃあどうすりゃいいのか?

S&Cコーチの仕事の成果を評価するのは時間がかかるし難しいのは間違いありません。じゃあ、どうすりゃいいのか、という話になります。

評価される側のS&Cコーチとしての私の立場から言うと、できるだけ科学的根拠にもとづいた、理の通った指導をする、ということしかないと思います。つまり、それを評価する側の立場から考えると、出口(=結果)から評価するのが難しいなら、入口の部分で評価しちゃいましょう、ということです。

ちなみに私が他のS&Cコーチの能力を評価するなら

  1. その人が指導しているアスリートのエクササイズテクニックを観察する
  2. その人が作ったトレーニングプログラムを見せてもらう
  3. その人のトレーニング哲学について話してもらう

という3つのステップを取ると思います。それでだいたいの能力を評価できる自信があります。

でも、S&Cの専門家ではない人たち(アスリート、コーチ、チームや競技団体の強化担当者、etc)が、この3つからS&Cコーチの能力を評価するのは難しいでしょう。

じゃあ、非専門家がどうやってS&Cコーチの能力を評価すれば良いのか?残念ながら、現時点で私は答えを持ち合わせていません。ちょっと時間をかけて考えてみたいと思います。そして、答えが見つかったら、このブログでシェアをしたいと思います。

 

 

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【編集後記】

アシックスのランニングシューズが自分の足にフィットして、めちゃめちゃ履きやすいです。でも、私服として街中でランニングシューズを履くのはちょっとな〜という気持ちがあり、オニツカタイガーのスニーカーを昨年購入しました。で、オニツカタイガーのスニーカーも履きやすいのですが、足裏が非常に薄くて、ランニングシューズの履き心地とはちょっと違います。アシックスのランニングシューズの履き心地を備えつつ、街中で履いてもファッションとしてイケてるスニーカーがあったらいいな〜と思っていたら、ありました!その名もアシックスタイガーという、アシックスとオニツカタイガーの中間みたいなやつです。早速、買いました。履きやすいです!そしてファッションとしてもイケてます!良い買い物をしました。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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