#392 「普通」のトレーニングをやらせる勇気

 

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最近、SNS上で話題にのぼっていたネット記事を読んで共感したので紹介します↓

岡田隆 柔道代表チーム合流と当たり前のトレーニングとの葛藤 #3

 

 

普通のことを当たり前にやるのがベスト

私も、トップレベルのアスリートのトレーニング指導を担当させてもらったり、他のアスリートがトレーニングをしている様子を観察したりしていて、そもそも基本的な部分ができていないアスリートが多い(というかほとんど)という印象を持っています。

だから、私がアスリートにやらせる内容も、基本的なもの、つまり「普通」で「当たり前」なものがメインとなります。それが一番効果があるからです。

たとえ、その競技においてトップレベルの選手であっても、トレーニング歴・レベルが低いのであれば、基礎的なトレーニングをやらせます。「競技レベル」と「トレーニングレベル」は別物だと割り切って、トレーニングにおいては後者に応じて適切なものを提供すればいいんです。

別にオリンピックに出場するような選手だからといって「上級レベルの複雑なトレーニングをやらせないと!」なんて思う必要はまったくありません。多くの日本人アスリートの場合、トレーニング歴・レベルはあまり高くないので(オリンピアンであっても)、基礎的なトレーニングをやらせることが最も効果的であることがほとんどです。

 

 

普通のことをやらせる勇気

それなのに、普通のことをやることが普通ではない状況があります。

上記の記事でも、岡田先生が「普通のことを普通におこなっただけなので、かえって面白くてメディアが注目してくれたんだと思いますよ」とご発言されているように、普通にやることが逆に目新しいみたいな現状があるんです。

なぜ、普通のことをやらせない人が多いのでしょうか?

一言で言うと「普通のことをやらせる勇気がない」ということでしょう。で、この「勇気がない」というのには2つのパターンがあると思います。

 

①自身でやっていないから勇気がない

基本的なトレーニングを自身でやったことがなかったり、それを指導するための勉強をしてこなかった人たちは、そもそも普通のことをやらせる勇気はないはずなので、目新しいことに逃げてごまかす傾向があります。

岡田先生が言うように「ガリッガリでも分けわかんないトリッキーなものをやったら、「あっ見たことないわ。なんか凄そうだわ。」って現場の先生達は思うんですよ。なんか新しいものを持ってきてくれたなって。それで許されるんですよ。」という状況があるので、残念ながら、ごまかすことはできるんです。でも、それではアスリートにとってプラスになりません。

このパターンで勇気を持てない場合の解決策は、岡田先生がおっしゃるように、自ら実践することです。自分でやるしかないんです。選手にキツいことやらせるんだったら、自分の身体で経験しないといけません。それがS&Cコーチとしての責任感です。

それができないのであれば、ぜひとも転職してください。アスリートにとってはいい迷惑です。

 

②普通のことが一番効果があると自信を持って言えるだけの知識を持っていないから勇気がない

もう1つのバターンがこれです。

普通のこと、つまり基礎的なトレーニングがアスリートにとってはベストであることがほとんどなんですが、そのようなトレーニングは地味で、キツくて、つまらないと思われがちです。だから、トリッキーで目新しいことをやらせたほうが、選手やコーチのウケは良いという現実が(残念ながら)あります。

さらに面倒なことに、そのようなトリッキーで目新しいトレーニングはメディアの大好物なので、取り上げられることも多く、結果として選手やコーチの目に入ります。そうすると、それらを観た選手やコーチから「体幹トレ教えてください」とか「ファンクショナルトレ教えてください」とか依頼される機会も多くなります。

そのような現状においては、普通のことを普通にやるには強い心が求められます。勇気がいるんです。私も前職においては、そのようなプレッシャーを感じることもありました。

じゃあ、そのようなプレッシャーをはねのけて、普通のことをやらせる勇気を持つにはどうすればいいのか?

それは、「普通のことをやるのがベストな方法だ!」と自信を持って言えるだけの圧倒的な知識を身に付けることです。そして、「普通のことだけやっていて大丈夫なのか?」と疑いを持たれた時に、しっかりと説明をできるだけの理屈を持っておくことです。

そのためには、専門家として継続教育をやり続けること、そして、常に己の脳ミソを使って、自分がアスリートにやらせるトレーニングについて考え続けることが重要になります。

 

 

まとめ

勇気を持って「普通」のトレーニングをやらせましょう。それがアスリートのためになるのですから。そして、そうした勇気を持つために、S&Cコーチとして責任ある行動を取りましょう。

 

 

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【編集後記】

今週は役所めぐりです。退職後には色々な手続きが必要になるものですね。待ち時間も長いですが、本を読んだりして継続学習の時間にあてています。