#279 前額面のパフォーマンスUPのために、まずは矢状面メインのエクササイズで筋力を上げてみる、という考え方

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CJ Fair dribbling

 

前額面における動き、つまり横方向の移動能力が重要な競技は多いです。

じゃあ、前額面におけるパフォーマンスを向上させるため、ウエイトトレーニングにおいてもサイドランジ等の前額面メインのエクササイズをガシガシやらせるのかというと、私はそうでもありません。

むしろ、矢状面メインのエクササイズ(例:スクワット、デッドリフト)をガシガシやって、筋力を上げておく戦略を取ります。

そのうえで、前額面の動きを直接鍛える時は、横方向のジャンプ系エクササイズを用いてパワーを鍛えたり、スライドボードを用いて持久力を鍛えたり、ムーブメントトレーニングで横への動きを鍛えたりという形で、向上させた筋力を前額面での動きに転化させていくイメージでトレーニング計画を立てています。

 

今回のブログでは、「なぜ、前額面のパフォーマンスUPのために、サイドランジのような前額面メインのエクササイズをガシガシやらせないのか?」について考えてみます。

 

 

前額面メインのエクササイズをガシガシやらない理由

  • ①筋力向上のポテンシャルという点で矢状面メインのエクササイズより劣る
  • ②横方向の移動は股関節外転よりも股関節伸展がメインの動き
  • ③力の発揮方向&負荷がかかる方向が異なる

 

①筋力向上のポテンシャルという点で矢状面メインのエクササイズより劣る

サイドランジ等のエクササイズは、横方向の動きに似ているから効果が高いと感じる方が多いかもしれません。

しかし、スクワットやデッドリフト等の矢状面メインのエクササイズと比べると、扱える重量や可動域が圧倒的に小さいため、単純な筋力向上効果という意味でのポテンシャルで大きく劣ります。

だったら、筋力向上に適したスクワットやデッドリフトをガシガシやって筋力を上げておいたほうが、はるかに効果的だし有効な時間とエネルギーの使い方だと私は考えます。

 

 

②横方向の移動は股関節外転よりも股関節伸展がメインの動き

先日もTwitterでつぶやいたのですが、横方向の移動はパッと見、股関節外転が重要そうに見えます。

そこで、前額面メインのサイドランジ等のエクササイズを実施して股関節外転の筋力やパワーを直接的に鍛えれば、パフォーマンスUPに直結しそうな感じがします。

 

しかし、横方向の移動は実際には股関節伸展がメインの動きなんです。

そのような考え方をサポートする研究データも存在します(例えばコレとかコレ)。

2023/1/15追記;関連論文をレビューした記事も書いたので、そちらも合わせてお読みください↓

#533 【論文レビュー】横方向に素早く移動するサイドステップ動作においては、股関節外転よりも股関節伸展の出力が重要

 

ということは、筋力向上効果のポテンシャルがはるかに高い矢状面メインのスクワットやデッドリフトを使って股関節伸展の筋力を向上させることが、前額面でのパフォーマンス向上に繋がりうるということです。

つまり、見た目が似ていない矢状面エクササイズを用いることで、前額面でのパフォーマンスUPを達成できる可能性があるのです。

これまでも私は、見た目が似ているかどうかはトレーニング効果とは関係ないという主張をしてきましたが、前額面でのパフォーマンスUPというテーマについても、あまり見た目の特異性とか類似性にこだわりすぎるのはどうなのかしら?と思うのであります。

 

 

③力の発揮方向&負荷がかかる方向が異なる

横方向に移動する場合、地面に対して発揮する力のベクトルをできるだけ寝かせて、水平成分を大きくしてあげることが重要です(もちろん、自体重を支えたりするのに必要な最低限の力を垂直方向に発揮したうえでの話です)。

しかし、サイドランジ等で負荷を増やすためにバーベル等の重量を担いでしまうと、水平方向よりも垂直方向の負荷が増してしまいます。

その結果として、見た目(kinematics)が似ていたとしても、力の発揮方向(kinetics)は実際の動きからはドンドン離れてしまいます。

 

したがって、実際の前額面のパフォーマンスとの動きの類似性を根拠にサイドランジのような前額面メインのエクササイズを選択するのは、ナンセンスです。

だってkineticsが異なるのですから。

それも、負荷を増やせば増やすほどkineticsが変わってしまうのです。

動きの類似性という理屈が失われてしまったならば、筋力向上効果のポテンシャルで劣る前額面メインのエクササイズをスクワットやデッドリフトよりも優先する理由は見当たりません。

※ちなみに、「ケーブルやスレッド(そり)等を用いて水平方向に負荷を加える前額面でのエクササイズを採用すれば良いのでは?」という考えもあるでしょう。個人的には、それだったらまだ考える余地はあるかなと思います。例えば下の動画みたいなやつとか。それでも、やはり①で指摘した問題点は変わらないですが。

 

 

まとめ

ということで、私が前額面でのパフォーマンスUPのために用いる戦略は:

  • 矢状面メインのエクササイズをガシガシやって筋力を鍛える
  • 横方向のジャンプやスライドボードを用いて、筋力を前額面でのパワー等に転化させる
  • さらに、横方向のムーブメントトレーニングを実施し、直接前額面の動きを鍛える

ということに今のところは落ち着いています。

いかがでしょうか?

 

 

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【編集後記】

腰痛は思ったほどひどくなく、RDLみたいに上体を前傾させるエクササイズ以外は、そこそこやれています。

腰に負担のかからないエクササイズを選択する時に頭に入れているキーワードは「モーメントアーム」です。

モーメントアームについても将来、ブログで解説できればと考えていますが、まだどんな感じで書こうか自分の中でまとまり切っていないので、もうしばらくこのネタは寝かせておこうと思います。