#89 『正しいフォームを重視』:持久系アスリートに対してレジスタンストレーニングを処方したり指導したりする時のフィロソフィー④

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またまた続きです。

 

 

第4条「正しいフォームを重視」

これは当たり前の事かもしれませんが、結構おろそかにされている事が多いのではないでしょうか。

「より重い重さを持ちあげたい」というアスリートあるいはコーチのエゴによって、可動域がだんだん狭くなったり、補償動作が見られたり、不必要な反動やチーティングを使ったり、という事がよくあります(ちなみにパーシャル可動域でのトレーニングや反動・チーティングを使うのも目的を持ってたま〜に使う分にはアリだと思いますが、この話についてはまた別の機会にします)。

「より重い重さを持ちあげたい」という気持ち自体を否定するつもりは一切ありませんが、「重い重さを持ち上げる」のは筋力や爆発的パワーを向上させるという目的を達成するための手段であって、それが目的になってしまうと色々よろしくないことがでてくる気がします。

パワーリフティングやウエイトリフティングではより重い重さを持ち上げるのが競技の目的なので、ルールが許す範囲内でその目的を達成するためにできることをやればよいと思います。一方、持久系アスリートがレジスタンストレーニングを実施する目的は筋力や爆発的パワーを向上させる事であって、重いものを持ち上げるのはそのための手段なので、そこを忘れないようにする事が重要です。

 

私自身、アスリートのトレーニング指導をする時は、正しいフォームでトレーニングをするように口が酸っぱくなるほど注意しています。

多分、アスリートは「しつこいな〜」と思って聞いている事でしょう。実際、一部のアスリートからは「フォームポリス」なるあだ名を付けられました。これは私にとっては名誉な事です。私が正しいフォームでのトレーニングを重視している事がアスリートに浸透している証拠だからです。

 

ただし、実際に全てのエクササイズの全てのレップをパーフェクトなフォームで実施できるのかと言えば、それは現実的に無理でしょう。逆に、パーフェクトなフォームを意識しすぎてしまうと、いつまでたっても挙上重量が伸びずにず~っと軽い重量でトレーニングをする事になり、一向に筋力や筋パワーが向上しないという事にもなりかねません。

なので、パーフェクトなフォームを目標としつつも、実際のフォームがgood enoughだったらどんどん挙上重量を上げていくというくらいが良いでしょう。ここで問題になるのが、good enoughなフォームとアウトなフォームのラインをどこに引くのかという事になりますが、これこそS&Cコーチの腕の見せ所です。知識と経験をもとに判断してください。

 

以上、第4条でした。続きはまた次回。

 

 

追記(2012/12/4):

書き忘れましたが、ウォームアップセットで軽い重量を扱っている時にも、正しいフォームを意識するのが重要です。例えばベンチプレスのメインセットで100KGを挙げる予定の日に40KGでウォームアップを実施する場合にも、軽いからといって適当にセットをやるのではなくて、最初のセットアップの部分から100KGを挙げるのと同じ気持ちで正しいフォームで実施する必要があります。

 

 

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