ファンクショナルトレーニング vs. 従来の筋力トレーニング
「ファンクショナルトレーニング」という言葉をよく耳にします。
何を「ファンクショナルトレーニング」と呼ぶかは人によって異なりますが、一般的には、外的な負荷をかけることよりも「姿勢」や「動き」を強調したものを「ファンクショナルトレーニング」と呼ぶ傾向があります。
「ファンクショナルトレーニング」なるコンセプトを掲げている方の多くは、いわゆる「従来の筋力トレーニング」と呼ばれるようなベーシックなウエイトトレーニングの有効性に疑問を呈して、それに代わるものとして「ファンクショナルトレーニング」なるものを提案しているんだろうと思います。
その一方で、「従来の筋力トレーニング」と競技パフォーマンスを繋げる手段として「ファンクショナルトレーニング」を位置づけている場合もあります。
つまり、「従来の筋力トレーニング」に代わるものとしてではなく、「従来の筋力トレーニング」と共存して異なる役割を担うものとして「ファンクショナルトレーニング」を捉えている方もいるということです。
「『従来の筋力トレーニング』で向上した筋力や爆発的パワーを競技の動きの中で使えるようにするために『ファンクショナルトレーニング』をやればいい」「どちらが正しいとかの話ではなく両方やればいい」みたいな発言をされている場合は、後者のカテゴリーに分類できるでしょう。
目的とファンクショナル
後者の考え方は、一見バランスがとれていて、合理的に聞こえなくもありませんが、私から言わせると、目的を指定せずに特定のトレーニング方法を「ファンクショナル」と呼んでしまっている時点でアウトです。
以前のブログでも書きましたが、改めて説明すると、「ファンクショナル(functional)」という英語は、日本語に翻訳すると「機能的な」という意味合いがあります。
そして、「機能的」という日本語を辞書で調べてみると「目的を満足させるのに十分な機能を備えて、無駄がないさま」という説明があります。
つまり、特定のトレーニングがファンクショナルかどうかは、目的によるということです。
あらゆるすべての目的に対してファンクショナルなトレーニングなんてありえないのです。
別の言い方をすると、ファンクショナルというのは相対的なものであって絶対的なものではないのです。
たとえば、バーベル(またはダンベル)カールというエクササイズがあります。
おそらく「ファンクショナルトレーニング」派の方から言わせると「非ファンクショナル」と分類されてしまう可能性が高いでしょう。
しかし、目的が上腕二頭筋の肥大であれば、十分にファンクショナルなエクササイズであると考えることができます。
つまり、最適な手段は目的によって変わるということです。
目的が何であるかを明確にすることなく、特定のトレーニングがファンクショナルかどうかなんて言っていることが、そもそもナンセンスなのです。
これと同様の主旨の発言をMike Boyle氏がされたとのツイッターを目にしました。
Function is purpose. When we ask what an items “function” is, we want to know it’s purpose. @mboyle1959 #BarçaPerformance pic.twitter.com/C9I5RLW0ye
— Barça Universitas (@BarcaUniversita)
このMike Boyle氏は2000年代初めに「Functional Training for Sports」というタイトルの本を出版して、ある意味「ファンクショナルトレーニング」なるコンセプトを世の中に広めた一人です。
そんな人が、ファンクションについて語る時にまずは目的を知る必要があると発言をされているのは、非常に興味深いです。
まとめ
何度も言いますが、特定のトレーニングがファンクショナルかどうかは、目的によります。
まったく同じトレーニングでも、目的によってファンクショナルにも非ファンクショナルにもなりうるということです。
それなのに、特定のやり方を「ファンクショナルトレーニング」と売り出してしまうのは
- そういうことを理解できていない
- 理解できているのに商業目的でそんなキャッチコピーを使っている
のどちらかでしょう。
どちらにしろ、そういう人は疑ってかかったほうが良いでしょう。
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】
RSSリーダーをFeedlyからInoreaderに変えようか検討中です。