アスリートに対してウエイトトレーニング指導をするうえで、必ず抑えておかないといけないことの1つが「体重を増やしてもOKなのか、NGなのか」という点です。
OKであれば、筋肥大をさせて体重を増やしながら、筋力や爆発的パワーの向上を目指すことになるでしょう。
一方、NGであれば、できるだけ筋肥大はさせずに、筋力や爆発的パワーだけを向上させることが求められます。
目的が異なれば、適切な手段(=トレーニングのやり方)も変わります。
したがって、ウエイトトレーニングの長期計画を立てたり、プログラムデザインをする前の段階で、「体重を増やしてもOKなのか、NGなのか」を確認しておくことはマストです。
「体重を増やしてもOKなのか、NGなのか」にはいろいろな要因が影響を及ぼしえます。
たとえば、競技特性とかポジション特性とかアスリート個人の課題とか・・・。
今日はその中でも「競技特性」に注目して、体重をできるだけ増やしたくないスポーツ競技の分類について解説していきます。
体重をできるだけ増やしたくないスポーツ競技の分類
私はこれまでさまざまな競技のアスリートに対してトレーニング指導を提供してきました。
その中には、体重をできるだけ増やしたくない、という競技もありました。
具体的にどの競技においては体重を増やすのがNGなのか、について、私の頭の中を整理する機会がこれまでありませんでした。
しかし、下記のブログ記事(外部サイト)を読んでインスピレーションをもらい、一度「体重をできるだけ増やしたくないスポーツ競技の分類」をしておこうかと考えました。
参考 Making Weight in Sportmysportscience私自身にとって参考になるはずだし、読者の皆さんにも参考になるかと思います。
ちなみに、以下の分類は、体重を増やしたいかどうか、という観点で私が個人的に作り上げたものである、という点はご了承ください。
- ①体重階級制スポーツ
- ②持久系スポーツ
- ③跳ぶ系スポーツ
- ④芸術系スポーツ
①体重階級制スポーツ
主に格闘技系スポーツ、それ以外にはボートの軽量級やウエイトリフティング等が当てはまります。
試合当日または前日等に計量が実施され、失敗すると失格になってしまいます。
ウエイトトレーニングで筋肥大をさせて体重が増えてしまうと、たとえ減量をしても計量を失敗してしまうリスクが高まります。
したがって、できるだけ筋肥大を避けて、体重を増やさないようにしながら、相対的な(体重あたりの)筋力や爆発的パワーを向上させることが求められます。
※例外として、体重階級制スポーツであっても、階級を上げるようなケースにおいては、積極的に筋肥大をして増量することが求められる場合もあるでしょう。
参考 体重階級制競技のウエイトコントロールガイドブック
②持久系スポーツ
持久系スポーツ、とくに地面上で実施されるような競技が当てはまります。
持久系スポーツにおいては、自分の身体を長い距離運ばないといけないので、体重が軽いほうが一般的には有利です。
逆に、たとえば、競泳の長距離種目を専門とするような場合は、そこまで体重が軽いことがメリットになるかどうかはわかりません。
私もこれまで、自転車・トライアスロン・スキークロスカントリー等の持久系アスリートにトレーニング指導を提供してきましたが、「体重を増やしたいです」と言われたことはほとんどなく、基本的には「体重はできるだけ増やしたくない」とリクエストされることがほとんどです。
客観的に考えても、積極的に筋肥大をさせて体重を増やすメリットはないだろうなと感じます。
ただし、持久系アスリートであっても、あまりにも細すぎて筋力が全然ない場合は、多少は筋量を増やしたほうがいいんじゃないかと思われる例外も存在します。
③跳ぶ系スポーツ
高くジャンプすることが競技成績に大きく影響するようなスポーツにおいては、体重はできるだけ増やさないほうがいいでしょう。
走り高跳び・走り幅跳び・三段跳び等の陸上競技種目やフィギュアスケート、スキージャンプ等が当てはまります。
スキージャンプの場合は、跳ぶ時だけでなく空中で風を受けて滞空時間を長くするためにも、体重が軽いほうが有利なはずです。
④芸術系スポーツ
新体操等の芸術系スポーツにおいては、機能面というより見た目のために、体重を増やしすぎないことが求められます。
まとめ
今回のブログ記事は、1つの資料として使っていただく目的で執筆しました。
体重をできるだけ増やしたくないスポーツ競技が存在し、それらはどのようなカテゴリーに分類できるのか。
カテゴリーによって、体重を増やしたくない理由が異なります。
理由によっては、絶対に体重を増やしたらダメ!というものもあれば、少しは筋肥大をさせて筋力UPしたほうが、そのメリットが増量のデメリットを上回る、という場合もあるでしょう。
その辺を考える上での1つの参考になれば幸いです。
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【編集後記】
帯状疱疹なるものにかかりました。
もう治ったのですが、子供の頃に水疱瘡になったことのある人は、誰でもなる可能性があるらしいです。
50歳を超えたらワクチンを打てるそうですが、それまでは、気づいたら早めに病院を受診するくらいしか対処の仕様がありません。
皆さまもお気をつけください。