#635 ウエイトトレーニングの「筋肥大期」に爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやるべきか否か

※本ブログはアフィリエイト広告を利用しています

 

Incredible hulk 1710710 1280

 

私が担当しているアスリートが、2週間の「筋肥大期」のウエイトトレーニングを終えました。

ここで言う「『筋肥大期』のウエイトトレーニング」とは、1セットあたり8-10レップ程度の量の多めのプログラムのことを指します。

こなすのもキツいし、筋肉痛にもなるし、疲労もたまるし、アスリートは大変だったと思います。

ウエイトトレーニングだけやっていればいいわけではなく、競技の練習もやらないといけないわけですから。

しかし、この時期にこのようなトレーニングをやっておくことの重要性を説明して納得してもらい、積極的に取り組んでもらいました。

 

2週間という比較的短い期間で「筋肥大期」のウエイトトレーニングをやってもらった背景を簡単に説明しておきます。

11月から7月まで続く長いシーズンの途中に、1ヶ月ほど試合のない期間があったので(4月にあたります)、シーズン後半に向けてもう一度土台を築き上げる・フィットネスを高めておく、という意味合いで、「筋肥大期」的な量の多めのトレーニングをやってもらいました。

1ヶ月まるまる「筋肥大期」のウエイトトレーニングをやってしまうと、疲労が抜けきらずに次の試合(5月上旬)に悪影響が及んでしまうので、2週間にとどめておきました。

来週からは、1セットあたり5レップ程度の「筋力向上期」的なトレーニングに移行する予定です。

 

 

筋肥大期と爆発的パワー

さて、前置きが長くなりましたが、シーズン中に試合がない時期があったので、シーズン後半に向けてフィットネスを高めるために量が多めの「筋肥大期」的なウエイトトレーニングをやってもらったということです。

MEMO

一応「筋肥大期」とは呼んでいますが、2週間という短い時間で筋量が一気にUPするとは思っていません。どちらかというと、量の多いトレーニングをしておいて土台を作っておくというイメージです。

 

ここで、筋肥大期のウエイトトレーニングプログラムを作るときに私が「どうしようか?」と悩んだことがあります。

それは「爆発的パワーを鍛えるエクササイズをプログラムに加えるか否か?」ということです。

 

以前にブログで書きましたが、筋肥大期的なウエイトトレーニングをやると、RFD(rate of force development)、つまり素早く力を立ち上げる能力が一時的に低下する(あるいは向上が停滞する)と言われています。

#368 【論文レビュー】「筋肥大期」的な量の多いウエイトトレーニングを実施すると一時的にRFDが低下する

 

必ずしも「爆発的パワー=RFD」ではないですが、後者は前者を構成する1要素なので、筋肥大期には爆発的パワーも一時的に低下すると予想するのが妥当でしょう。

これはある意味しょうがないです。

そういうマイナス面があるからこそ、あえて試合のない時期(試合に悪影響を与えない時期)を狙って、筋肥大期的なウエイトトレーニングを取り入れるわけです。

たとえば、筋肥大期的なウエイトトレーニングを実施する最も典型的な時期が、オフシーズンの序盤です。

シーズン開始まで時間があるので、「一時的なRFDの低下」というデメリットがそれほどデメリットにはならない時期だからです。

 

 

筋肥大期に爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやるべきか?

そういった事情を踏まえて、じゃあ、筋肥大期のウエイトトレーニングのプログラムに爆発的パワーを鍛えるエクササイズを含めるか?という疑問に戻ります。

基本的には二者択一問題なので、可能性は2つです:

  • ①筋肥大期は爆発的パワーを鍛えるエクササイズはやらない
  • ②筋肥大期でも爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやる

それぞれの選択肢の背景にある「考え方」について、詳しく見ていきましょう。

 

①筋肥大期は爆発的パワーを鍛えるエクササイズはやらない

どうせ、筋肥大期には爆発的パワーを向上させるのが難しいんだから、そもそも筋肥大期には爆発的パワーを鍛えるエクササイズはやらない!

なかなか潔い決断です。

ある程度まとまった準備期間(例:4ヶ月以上)のあるオフシーズンであれば、「ペリオダイゼーション(期分け)」という形で、筋肥大期のあとは徐々に筋力・爆発的パワーを向上させるようなプログラム内容にシフトしていくはずです。

そうであるならば、筋肥大期には爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやらずに、筋肥大や土台を築き上げることにエネルギーを集中するというのは、悪い選択ではありません。

同時期に、筋肥大も筋力向上も筋持久力向上も爆発的パワー向上も全部狙いたい!と思っても難しく、逆にそれを狙ってしまうとトレーニング刺激が分散してしまい、結局どの目標も達成できずに終わってしまう可能性が高まります。

だからこそ、期分けをして、特定の体力要素を向上することに集中する時期を作り、それを戦略的な順番で組み合わせていく「ペリオダイゼーション」というアプローチを取り入れるわけです。

 

 

②筋肥大期でも爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやる

実は、私は、今回の2週間の筋肥大期のプログラムには、爆発的パワーを鍛えるエクササイズを組み込みました。

結構、量的にもガッツリやってもらいました。

そういうエクササイズをやったとしても、この時期に爆発的パワーを向上させるのが難しいことはわかっていました。

しかし、向上させるためではなく、できるだけ維持するため、もしくは、低下をできるだけおさえるために、筋肥大期であっても、あえて爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやってもらいました。

今回、そのような選択をした大きな理由は、「シーズン中だったから」です。

1ヶ月の試合のない時期が終わったら、すぐにシーズンの後半戦が始まる、という状況だったので、爆発的パワーをできるだけ維持をしたかったという考えがあります。

 

では、ある程度まとまった準備期間(例:4ヶ月以上)のあるオフシーズンの序盤に筋肥大期的なウエイトトレーニングをやる場合はどうでしょうか?

そのような状況では、爆発的パワーを鍛えるエクササイズを一切やらずに、筋肥大もしくは土台づくりに集中してもOKだと思います。

まだまだシーズン開始までは時間があるので、この時期にあえて爆発的パワーを維持したり低下をおさえることを目指す必要性はそれほど大きくないでしょう。

 

その一方で、筋肥大期が終わって、筋力や爆発的パワーを向上させるようなプログラム内容にシフトしたときに、スムーズに爆発的パワー向上のためのエクササイズを実施できるように、量は少なくても、筋肥大期にも爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやっておくというのも、またアリだと思います。

たとえば、「筋肥大期が終わったら、ウエイトリフティング系のエクササイズ(クリーン、スナッチ、ジャーク)をガシガシやって爆発的パワーを鍛えるぞ!」と思っていても、それらのエクササイズを適切なフォームで実施できる準備が整っていないと、なかなか爆発的パワーを向上させることは難しいでしょう。

であるならば、筋肥大期にもウエイトリフティング系のエクササイズをやっておいて、フォームを習得しておくのは良い考え方だと思います。

もちろん、重量は軽くてもOKだし、量もそれほどやらなくてもいいでしょう。

 

 

まとめ

ちょっとまとまりのない文章になりましたが、要するに、筋肥大期に爆発的パワーを鍛えるエクササイズをやるべきか否かは、場合によるということです。

絶対的な「正解」はありません。

目の前の状況と、今やることが未来へ及ぼす影響を見極めたうえで、その時にベストな選択をするしかありません。

常に自分の頭で考えながら、ベストの選択肢を探し続けるのが、S&Cコーチの責任だと思います。

 

 

||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||

【編集後記】

昨日は、出版社の方と打ち合わせ。2冊目の本の執筆プロジェクトがスタートしました。