#881 特異性と過負荷はトレードオフの関係ではない!!

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最近は発信が疎かになっていました・・・

アスリートの競技力向上のためのトレーニングにおいて、「特異性の原則」を誤って解釈したり活用したりしているケースが非常に多いです。

ざっくり説明すると、「トレーニングの動きを競技動作に近づけたほうが、トレーニングによる体力向上効果が競技力向上に直結しやすい」という誤りです。

私はそのような誤りについて、日本で最も警鐘を鳴らしてきた人間である、と自負しています。

少なくとも、インターネットやSNSにおいて、誤った特異性について私以上に指摘している人は見たことがありません。

 

これまでは、主にブログにおいて、警鐘を鳴らすような発信をしてきました。

そして、その集大成として書き上げたのが、拙著「競技力向上のためのウエイトトレーニングの考え方」です↓↓

この一冊をお読みいただければ、「トレーニングの動きを競技動作に近づけたほうが、体力向上効果が競技力向上に直結しやすい」という考えがいかに誤っているのか、しっかりと理解してもらえるはず。

自信をもってそう言えるような出来に仕上がっています。

 

とはいえ、その自信のせいで、「この本を読んでもらえば、流石にわかってもらえるだろう」なんて余裕をぶっこいてしまい、最近は発信が疎かになっていました。

でも、そんなのは勘違い、もしくは幻想である、と気づきました。

そもそも、拙著を読んでくれる人なんてほんの一部にすぎません。

何十万部も売れているベストセラーなわけでもないし。

したがって、拙著を読んでいない大多数の人には、まだまだ「トレーニングの動きを競技動作に近づけたほうが、体力向上効果が競技力向上に直結しやすい」という考え方は誤っている、という事実は浸透していないはずです。

やはり、定期的に、継続して、繰り返し発信し続けるのが重要だな〜と反省しました。

 

 

特異性と過負荷はトレードオフの関係ではない!!

最近、特異性についての発信が足りていなかったな・・・と反省するキッカケになったのが、こちらのX投稿です↓↓

引用元の動画の方は、おそらく日本人ではないので、拙著を読んでいるはずもないし、私の日本語の発信が届いているはずもありません。

まあ、私は基本的には日本語で発信していて、海外の方は対象外なので、彼が特異性を誤って解釈しているからといって「まだまだ俺の発信が足りないんだ」なんて反省する気持ちはありません。

 

ただ、「特異性の原則」を誤って解釈したり活用したりすることは、日本だけでなく世界中で起こっている普遍的な(陥りやすい)誤りなんだな〜と気付かされたのです。

私なんかが本を一冊書いたくらいで、解決されるような問題じゃないんです!

だから、「もう問題は解決済みだ」なんて勘違いせず、繰り返し伝え続ける必要があるな〜と改めて気付かされたのです。

 

で、引用元の動画の何が問題なのかというと、「特異性と過負荷はトレードオフの関係にある」と主張している点です。

これは完全に間違いです!

そもそも「トレードオフ」という言葉は、一方を追求するともう一方を犠牲にしなければならないという、二律背反の状態のことを指します。

引用元の動画においては、矢印を使って、左に行けば行くほど特異性は高くなるけど過負荷は低くなり、右に行けば行くほど過負荷は高くなるけど特異性は低くなる、という主張をしています。

つまり、特異性と過負荷は両立しない、と言っているのです。

なんでやねん!!

これは完全に「特異性(の原則)」を誤って解釈している考え方です。

 

おそらく、引用元の動画の方は、「特異性というのはトレーニングの動きがどれだけ競技動作に似ているかを指していて、似ていれば似ているほど(特異性が高いほど)トレーニングによる体力向上効果が競技力向上に直結しやすい」と考えてしまっていると思われます。

しかし、「特異性の原則」というのは、本来、「トレーニング刺激の大きさや種類に対して特異的な適応が起こる」という現象を説明しているものです。

トレーニングの動きと競技動作が似ているかどうかなんて、まったく関係ありません。

 

引用元の動画の矢印の最も右にあるようなバーベルを使ったトレーニングをしたら、その刺激に特異的な適応が起こります。筋肥大とか筋力向上とか。

つまり、過負荷をかけたら、それに特異的な適応が起こるわけです。

過負荷をかけたら特異性が低下するなんてことはありません。

特異性と過負荷は両立するんです。

トレードオフでも二律背反でもないんです。

そもそも、同じ矢印の両端に特異性と過負荷を乗せるのがナンセンスです。

 

繰り返しになりますが、トレーニングの動きと競技動作が似ているかどうかなんて、まったく関係ありません。

重要なのは、トレーニングをすることで引き起こされる特異的な適応が、競技力向上に貢献するかどうか、これだけです!

見た目が競技動作にまったく似ていないトレーニングであっても、それによって引き起こされる特異的な適応が競技力向上に繋がるのであれば、それは効果的なトレーニングなのです。

 

 

まとめ

特異性の原則の誤った解釈や活用については、今後も繰り返し発信して行こうと決意を新たにしました。

もし、本ブログを読んでも、私の主張がいまいち理解できない場合は、ぜひ拙著をお読みください。

読んでいただければ、私がブログやSNSで言っていることがより深くご理解いただけるはずです。

 

 

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【編集後記】

次の総理大臣が石破さんになりましたね。

どうなることか・・・。

とりあえず、社会保険料を安くしてくれ!!