短いブログを書きます。
アジリティの定義の見直し論
「アジリティ(agility)」という言葉があります。
一般的に、S&C業界で「アジリティ」という言葉を聞くと、ラダーを使ってちょこちょこと足を素早く動かしたり、床に置かれた複数のコーンを使用して素早く方向転換したりするトレーニングや測定のことを思い浮かべる方が多いと思います。
しかし、この10年ほどの間、特にオーストラリアの研究者やS&Cコーチを中心に「アジリティ」という言葉の定義を見直そうとする動きが出てきました。
どういう事かと言うと、いわゆる昔からアジリティと呼ばれていた能力は「方向転換(COD: change of direction)能力」と呼び、外的な刺激に反応して適切な方向に方向転換する能力を「アジリティ」と呼びましょうということです。
例えば、プロアジリティテストのような動きは、いつ・どの方向に方向転換をするのか事前にわかっている(pre-planned)ので、「アジリティ」ではなく「方向転換(COD)能力」であるということになります。
一方、実際の競技のシチュエーションでは、相手の動きに応じて(知覚:perception)こちらの動きを決定する(意思決定:decision making)という過程をへてから方向転換動作が行われることから、この知覚と意思決定までを含めて「アジリティ」と呼びましょうという流れになっています。
つまり:
「知覚&意思決定」+「方向転換(COD)能力」=「アジリティ」
ということです。
※方向転換(COD)能力とわかりやすく区別するため、「アジリティ」のことを「reactive agility」と呼ぶ場合もあります。
まとめ
今回は「アジリティ」と「方向転換(COD)能力」を区別しましょう、という流れがあることを紹介しました。
参考文献
Young W, Farrow D. A review of agility: Practical applications for strength and conditioning. Strength Cond J. 2006: 28(5): 24-29.
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【編集後記】