アスリートが筋トレ(=ウエイトトレーニング)をすることのメリットは大きくわけて2つあります:
- メリット①:体力が向上してアスリートとしてのポテンシャルもUPする
- メリット②:ケガをしづらい身体を作る
とくにメリット①に関連して、「競技における選択肢が増える」という考え方を今日は紹介します。
勉強すれば人生の選択肢が増える
先日、YouTubeで島田紳助さんが「なんのために勉強するのか」について語っている動画をみました。
勉強ばかりしている高校2年生の娘さんに「勉強ばっかりして何になるねん?」と言ったら「人生の選択肢が増える」という答えが返ってきたとのこと。
「勉強しなさい」ではなく「勉強ばっかりして何になるねん?」と親が言うのも面白いですが、娘さんの答えも衝撃的でした。
私も学生のときは勉強をよくしたほうですが、「良い大学に入って、良い会社に入社して、良い給料をもらって、幸せな人生を送るため」という漠然としたイメージしかありませんでした。
「人生の選択肢が増える」なんて考えたこともありませんでした。
しかし、実際のところ、私は学生の頃は一生懸命勉強をしたほうですが、現在は大会社に務めることもなくフリーランスとして活動をしています。
だからといって、学生のときに勉強していたことが無駄だったとも思わないし、確かに勉強していたことで人生の選択肢は増えたのかな〜と思います。
海外の大学院までいって勉強・研究をして博士号まで取りましたが、中学・高校でちゃんと勉強していなかったら実現できなかったでしょう。
そして、「博士号を持っている」というのが武器となって、今の働き方ができていると思うので、すべてがある意味繋がっているのです。
とはいえ、それは今になって振り返ってみるからそう思えることであって、まだ学生で勉強をしている高校2年生の娘さんがそれに気づいているってスゴイな〜と感心してしまいました。
筋トレをして筋力や柔軟性が向上すると、競技における選択肢が増える
上で紹介した動画をみたときに、「中高生が勉強をすると人生の選択肢が増える」という考え方は、アスリートにも当てはまると感じました。
具体的に言うと、「ウエイトトレーニングをして筋力や柔軟性が向上すると、競技における選択肢が増える」ということです。
特定の「技術」を習得しようとしても、筋力や柔軟性の不足がボトルネックになって、どれだけ練習をしても習得することができないという場合があります。
そういうケースでは、ウエイトトレーニングを実施して筋力や柔軟性を向上することさえできれば、その「技術」を身につける準備を整えることができます。
もちろん、そのうえで十分な質と量の練習をする前提でのお話ですが。
たとえば、フィギュアスケーターが4回転ジャンプを習得しようとしても、そもそも4回転するのに必要な滞空時間を得るだけのジャンプ力がなければ、どれだけ練習をしても4回転ジャンプという技術を身につけることはできないでしょう。
そこで、ウエイトトレーニングを実施してジャンプ力を向上することさえできれば、あとは練習を積めば4回転ジャンプを習得できるようになる可能性が高まります。
しかし、4回転ジャンプするのに必要なジャンプ力が身に付いたからといって、必ずしも4回転ジャンプに挑戦しないといけないわけではありません。
4回転ジャンプをするのに十分なジャンプ力を持った上で、あえて4回転ジャンプは跳ばずに、余裕を持って3回転ジャンプとか3回転半ジャンプを綺麗に跳ぶという選択をすることもできます。
もちろん、4回転ジャンプに挑戦するという選択をすることも可能です。
まさに「競技における選択肢が増える」わけです。
つまり、体力が低い状態では、その限られた体力の中でできることを模索せざるを得ない、つまり選択肢が限定されるのです。
そこで、ウエイトトレーニングを実施して、筋力や柔軟性といった体力を高めることができれば、選択肢が増えるわけです。
新しく手に入れた選択肢に縛られる必要はない
しかし、ここで重要なのは、選択肢が増えたからといって、その新しく手に入れた選択肢を選ばないといけないわけではないということです。
勉強をがんばって良い大学に入ったからといって、その高学歴を活かした仕事に就かないといけないわけではありません。
上で紹介した動画で、京都大学を卒業してマッサージ師として働かれている方のお話がでてきましたが、一般的には「京都大学までいったのにマッサージなんてやってるの!?」と思われるかもしれません。
しかし、勉強をがんばって良い大学に入って人生の選択肢を広げた上で、最終的に自分がやりたいと思って選ぶ選択肢が、高学歴を必要としていないものであっても、それはOKなんです。
人生の選択肢を増やすために勉強をして高学歴を手に入れたのに、その高学歴に縛られてしまうようでは、逆に選択肢が狭まってしまいます。
フィギュアスケーターの例でいうと、4回転ジャンプをできるだけのジャンプ力を手に入れたからといって、4回転ジャンプに挑戦しないといけないわけではないのです。
「4回転ジャンプを跳ばないと」という呪縛にとらわれる必要はないのです。
あくまでも選択肢の1つにすぎないのですから。
よくアンチ・ウエイトトレーニング派の人達が、「ウエイトトレーニングやって筋力がついたら、リラックスができなくなって動きが固くなっちゃうよ!」といった趣旨の発言をすることがあります。
べつに筋力が向上したからといって、その向上した筋力を常に競技の中で使わないといけないわけではありません。
筋力を向上させたうえで、リラックスが必要な場面ではリラックスすればいいんです。
で、大きな筋力発揮が必要な場面では、それを使えばいいんです。
それこそが「選択肢が広がる」ということです。
マッチョの人達がみんなリラックスできずにカクカクとした動きで歩いたりしているわけじゃないでしょう?
まとめ
アスリートには、競技における選択肢を増やすという視点をもって、ウエイトトレーニングに取り組んでいただければと思います。
そのうえで、「せっかくの向上した体力を使わないといけない」という考え方に拘って、逆に選択肢が狭まらないように注意していただければ。
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【編集後記】
将棋の羽生さんの著書「決断力」を読んでいます。深いです。