Greg Nuckolsという人のコメントをネット上のどこかで見てインスパイアされてブログを書いてみます。
スクワットのフォームの多様性
ウエイトトレーニングの中でも「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれるスクワット。
下半身の筋力を鍛えるのに非常に有効なエクササイズです。
しかし、ひとことでスクワットと言っても、そのやり方(=フォーム)は無数に存在します。
YouTubeで「スクワット」と検索してみると、いろいろなフォームでスクワットをしている動画を見ることができるはずです。
また、インターネット上では、正しいスクワットのフォームについての議論をたびたび目にします。
Ass to Grass(ATG)スクワットとも言われるように、お尻が床や踵に着くぐらいまで深くしゃがむフルスクワットこそ正しいやり方だ、と主張する人もいれば、競技中にはそんなにしゃがまないから、しゃがむ深さは競技中の膝関節角度に合わせてクウォータースクワットくらいでやるのが正しいんだ、と主張する人もいます。
また、バーを担ぐポジションも、大きくわけてハイバーポジションとローバーポジションの2つのやり方が存在し、それぞれを推奨する人たちがいます。
さらには、スクワット中の重心の位置(あるいは床を押す位置)をつま先側にするのか、足の中央にするのか、踵側にするのか、足裏全体にするのか、という点でもさまざまな主張が存在します。
目的を明確にしてから手段について議論すべし
そのような議論を見ていると、たまに「あ〜、不毛な議論をしているな・・・」と思ってしまうことがあります。
それは、そもそもなぜスクワットをしているのか、つまりスクワットをする目的をお互いに明確にしないまま議論を進めているのを目にした時です。
たとえば、一方はパワーリフティングという競技において、ルールの範囲内でできるだけ重い重量を挙げるためのスクワットのフォームについて議論しているのに、もう一方は、パワーリフターではない一般のアスリート(例:野球選手)がその競技のパフォーマンスUPに繋げるためのスクワットのフォームについて議論をしているような場合です。
そもそもスクワットをやる目的が異なるので、どれだけ議論をしたところで、平行線をたどったままで、どこにも行き着かないでしょう。
議論をするだけ時間の無駄です。
というのも、「正しいスクワットのフォーム」というのは、スクワットの目的によって変わるはずだからです。
あなたがパワーリフターであれば、ルールの範囲内でできるだけ重い重量を挙げられるフォームでスクワットをすればいいんです。
あなたが野球選手であれば、野球のパフォーマンスUPに繋がるようなフォームでスクワットをすればいいんです(注:スクワットを野球の動きに近づける、という意味ではありません)。
あなたがボディビルダーであれば、自分が太くしたい筋肉を刺激して肥大させることができるようなフォームでスクワットをすればいいんです。
したがって、「正しいスクワットのフォームって何?」って議論を始める前に、そもそも何を目的にスクワットをするのかを明確にしたほうが良いでしょう。
適切な手段(=正しいスクワットのフォーム)は目的によって決まるのですから。
まとめ
ということで、正しいスクワットのフォームについて議論する前に、スクワットをする目的を明確にしましょう、というのが今回のブログの趣旨です。
適切な手段は目的によって決まるということです。
そこを明確にしたうえで、たとえば、じゃあ野球のパフォーマンスUPに繋がるようなスクワットのフォームはどういうものなのか?という議論をするのは意味があることだと思います。
また、どちらが正しいかを議論するのではなく、異なる目的でスクワットをしている人の意見を聞くのは参考になることもあります。
たとえば、一般のアスリートのパフォーマンスUPに繋げる目的でスクワットを指導している私のようなS&Cコーチが、パワーリフターやボディビルダーのように、異なる目的でスクワットを実施している人たちの考え方を聞くことで、勉強になることもあります。
べつに正しいスクワットのフォームについて議論することは全て不毛だと言っているわけではなく、また、スクワットを実施する目的が異なる人たちのことは完全に無視すべしと主張しているわけでもありません。
議論するのであれば、スクワットを実施する目的が同じ人とするべきだし、目的が異なる人からは「コレは使えるな」というところを盗むくらいの気持ちで意見を聞けばいいんです。
これはスクワットのフォームに限定される話ではなく、一般論として、目的と手段というところを常に意識しておくことが大切ですよ、というお話です。
手段と目的がごっちゃになっている人が結構多いんだよな・・・。
参考記事
「手段であって目的じゃない」 GS Performanceブログ
2017/12/1追記:以下のツイートのリンク先にある動画を見ると、私が言わんとしていることが、何となくビジュアル的に理解できます
「スクワット」と名のついた運動に関して、少し述べました。https://t.co/VMOUQPg8ab
— GS Performance Yohei Kaga (@gs_performance)
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【編集後記】
最近、iPhoneの指紋認証の精度が低いです。
私の指が汗ばんでいるせいか、指紋がすり減ってきたせいか、そろそろ顔認証のIPhone Xに買い換えろという天からのお告げか・・・。