アスリート自身が、トレーニングを指導してもらうパーソナルトレーナーを自分で選んで契約するケースは多くはないかもしれません。
しかし、もし選べる自由があるのであれば、十分に吟味して選んでもらいたいものです。
自分のアスリート人生に大きく関わる決断ですから。
また、プロスポーツや部活動において、S&Cコーチを雇ったり指導をお願いしたりするケースもあるでしょう。
プロスポーツであればチーム編成の担当者、部活動であれば顧問の先生がS&Cコーチを選ぶことになるはずです。
そういうケースにおいても、十分に吟味して選ぶことが大切です。
パーソナルトレーナーやS&Cコーチを選ぶ時の基準はいろいろあると思いますが、今回のブログでは:
- (自分がやっている)競技についての知識
- (一般的な)トレーニング指導能力
という2つの視点から考えてみます。
選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
4つのタイプ
世の中のパーソナルトレーナーやS&Cコーチを、「競技についての知識」と「トレーニング指導能力」という観点で分析すると、大雑把に4つのタイプにわけることができます(上の四分割表を参照):
- ①競技についての知識が深く、トレーニング指導能力も兼ね備えている人
- ②競技についての知識は浅いが、トレーニング指導能力は高い人
- ③競技についての知識が浅く、トレーニング指導能力も低い人
- ④競技についての知識は深いが、 トレーニング指導能力が低い人
それぞれのタイプの特徴について、詳しく見ていきます。
①競技についての知識が深く、トレーニング指導能力も兼ね備えている人
上記の四分割表で言うと、右上のエリアに分類されるタイプの人です。
あなたの競技についても詳しく知っていて(ルール、必要な体力要素、試合スケジュール、練習内容、ケガの頻発部位、etc)、なおかつトレーニング指導能力も高い(プログラム作成能力、エクササイズテクニックのコーチング能力、etc)というタイプです。
元アスリートで競技に精通している人が、引退後にトレーニング指導の専門家としての勉強もしっかりこなして指導能力を身に付けたパターンや、もともとトレーニング指導能力が高い専門家が特定の競技に長年関わってその競技についての知識を深めてきたというパターンが考えられます。
②競技についての知識は浅いが、トレーニング指導能力は高い人
上記の四分割表で言うと、左上のエリアに分類されるタイプの人です。
たとえば、どれだけトレーニング指導能力の高いパーソナルトレーナーやS&Cコーチであっても、過去にあなたの競技に関わった経験がない場合、競技についての知識は浅い可能性があります。
③競技についての知識が浅く、トレーニング指導能力も低い人
上記の四分割表で言うと、左下のエリアに分類されるタイプの人です。
言うまでもなく、このタイプの人は選んではいけません。
④競技についての知識は深いが、 トレーニング指導能力が低い人
上記の四分割表で言うと、右下のエリアに分類されるタイプの人です。
トレーニング指導能力はないけど、言葉巧みにすごそうにみせるプレゼン能力だけは高い人が、特定の競技に長年関わっていたりすると、このタイプになります。
あるいは、自身がアスリートとして長年プレーをしていて、引退後、パーソナルトレーナーやS&Cコーチとして勉強をし直すこともなく、そのままトレーニング指導の担当スタッフとしてチームに残る場合もこのタイプに当てはまります。
どのタイプを選べばいいか?
「競技についての知識」と「トレーニング指導能力」という観点で分析すると、大雑把に4つのタイプに分類できるというのがわかっていただけたと思います。
では、どのタイプのパーソナルトレーナーやS&Cコーチを選べば良いのでしょうか?
まず、①のタイプの人が周りにいて選べるのであれば、間違いなく①を選ぶべきです。
あなたにとってはベストなチョイスです。
ただ、このタイプの専門家は見つけるのがなかなか難しいでしょう。
S&Cトレーニングに対するニーズが多いラグビーやアメフト業界では、このタイプのパーソナルトレーナーやS&Cコーチはそこそこの数がいるのかもしれません。
しかし、あなたの競技がマイナー競技であったり、トレーニングをするという習慣がまだまだ一般的ではない競技の場合、①のタイプのパーソナルトレーナーやS&Cコーチは絶対数が少ないはずです。
そもそも需要のないマーケットなので、そこで活動しようと思う専門家は少ないはずだし、そこで食っていくのも難しいからです。
したがって、多くの場合、①のタイプの専門家は非常にレアキャラです。
はぐれメタル級です。
もし見つけることができたら、迷わずゲットしておきましょう。
あなたのレベルアップに役立つはずです。
はぐれメタル級の①のタイプの専門家が周りにいない場合は、他のタイプから選ばざるをえません。
で、迷うとしたら②のタイプと④のタイプのどちらかでしょう。
③のタイプは論外です。
アスリートの立場としては、自分の競技を知ってくれている④のタイプに安心感をおぼえるかもしれません。
しかし、私は②のタイプを推したいと思います。
そもそもパーソナルトレーナーやS&Cコーチをわざわざ雇って、競技練習とは別にトレーニングを実施するわけですから、あなたは競技練習だけでは身に付けることのできないものを求めているはずです。
そして、その「競技練習だけでは身に付けることのできないもの」とは体力向上のはずです。
したがって、パーソナルトレーナーやS&Cコーチを選ぶ時の基準の優先順位としては、「トレーニング指導能力 > 競技についての知識」となります。
②のタイプの人はトレーニング指導能力は高いので、あなたの体力を向上してくれるのは間違いないです。
また、②のタイプの専門家にトレーニング指導をしてもらいながら、自分の競技についても説明を続けていれば、いずれはその②のタイプの専門家も①のタイプに近づいていくはずです。
競技についての知識については、アスリートであるあなた自身が教えることができるのです。
一方、④のタイプの専門家のトレーニング指導能力を高めることは、アスリートであるあなたにはできません。
もしできるのであれば、わざわざ専門家を雇う必要なんてないはずですから。
つまり、④のタイプの専門家をアスリートであるあなた自身の手で①のタイプに変えることはできないのです。
まとめ
パーソナルトレーナーやS&Cコーチという専門家を「競技についての知識」と「トレーニング指導能力」という2つの視点から4つのタイプに分類して分析をしてみました。
理想は①のタイプの専門家に指導を受けることですが、多くの競技においては①のタイプははぐれメタル級のレアキャラなので、もし見つけたら逃げられる前にさっさと倒しちゃったほうが指導契約を申し込んじゃったほうがいいです。
残念ながら周りに①のタイプの専門家がいない場合は、「競技についての知識」よりも「トレーニング指導能力」を重要視して、②のタイプの専門家を選び、徐々に競技の知識を教えこんでいって①のタイプに近づけて行くのがオススメです。
で、おそらくこのブログを読んだアスリートの気持ちとしては「言っていることはわかったけど、じゃあ、トレーニング指導能力の高い・低いはどう見分ければいいんだ?」というところでしょう。
気持ちは痛いほどわかりますが、ここの見極めはなかなか難しく、ブログ記事で簡単に紹介できるようなものではありません。
なにか簡単に見極められる方法が見つかったら、本ブログでお伝えします。
2019/4/7追記:パーソナルトレーナーの選び方に関するブログを書いたので、そちらも参考にしてみてください↓
要注意!こういったパーソナルトレーナーは選んではいけません!避けるべきパーソナルトレーナーの8つの特徴
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