#854 【論文レビュー】朝練すると睡眠時間が短くなりがち

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Minnie zhou 0hiUWSi7jvs unsplash

 

だいぶ久しぶりに論文レビューをやります。

現在オンデマンド配信中のハイパフォーマンススポーツ・シンポジウムの講義を視聴していて、紹介されていた論文が面白そうだったので読んでみました。

睡眠に関する論文で、「まあ、そうだろうな〜」と予想できるような研究結果ではあるのですが、「まあ、そうだろうな〜」と思われていることをちゃんと科学的に調べて確認しているところが個人的には素晴らしいと思います。

 

 

論文の内容

Sargent C, Lastella M, Halson SL, Roach GD. The impact of training schedules on the sleep and fatigue of elite athletes. Chronobiol Int. 2014 Dec;31(10):1160-8. 

 

研究プロトコル

オーストラリア代表レベルのアスリート70名を対象に、2週間に渡って睡眠についての調査を実施した。

調査は、以下の2通りの方法で実施された:

  • ①アスリートに睡眠日誌を書いてもらう
  • ②手首に装着するタイプのアクティビティモニターを常につけてもらう

それらの方法で収集されたデータをもとに、睡眠時間等を計算した。

 

 

結果

私がとくに興味深いと感じた結果にフォーカスしてお話をします。

それは、「練習・トレーニングの開始時刻が朝早いアスリートは、睡眠時間が短い傾向にある」というデータです(上記論文中の図4を引用)。

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たとえば、朝の5時台に練習・トレーニングを開始しているアスリートの平均睡眠時間は、5時間を切っています。

逆に、10時台に練習・トレーニングを開始する場合は、平均睡眠時間が7時間を超えています。

 

 

考察

学生アスリートや昼間に仕事をしながら競技をしているアスリートの場合、練習やトレーニングに使える時間は限られています。

そのようなアスリートにとっては、練習・トレーニングの時間を確保するための手段として、学校や仕事が始まる前に「朝練をする」というのが選択肢の1つになりえます。

しかし、今回紹介した研究の結果によると、朝練をすると睡眠時間が短くなる可能性がある、ということです。

 

難しいことを言うと、今回の調査から「因果関係」を断定することはできません。

つまり、「練習・トレーニングの開始時刻が朝早いアスリートは、睡眠時間が短い」という傾向は観察されましたが、だからといって、練習・トレーニングの開始時刻を早めると睡眠時間が短くなる、とは言い切れないということです。

理屈としては、その逆、つまり睡眠時間を短くすると練習・トレーニングの開始時刻が早くなる、ということもありえます。

とはいえ、理屈としてはありえるものの、現実的にはそんなアホなことはないはずです。

だから、私は個人的に、このデータをみて「朝練すると睡眠時間が短くなりがち」ということが数字で示された、と解釈しました。

 

「朝練があって早起きしないといけないなら、そのぶん前の日の夜に早く寝ればいいじゃないか」と思われるかもしれません。

たしかに、それができれば睡眠時間は確保できるはずですが、現実的にはオーストラリア代表クラスのアスリートでさえもできていない、ということです。

 

アスリートにとっての睡眠の重要性を考えると、朝練をすることで睡眠時間が5時間を切ってしまうほど短くなるのは、あまりよろしくないでしょう。

とはいえ、だからといって朝練をやったら絶対にダメ、と言いたいわけではありません。

朝練をすることで「練習・トレーニングの時間を増やすことができる」というメリットは確実に存在するので、それと睡眠時間が減ることのデメリットを天秤にかけて、最終的な判断をすることが重要です。

メリットがデメリットを上回ると判断するのであれば、朝練をするのもアリです。

また、夜に早く寝ることができる珍しいタイプのアスリートであれば、朝練をしても睡眠時間が短くなることもないので、とくにデメリットも生じないでしょう。

 

個人的には、まだ成長段階にある中学生や高校生の部活生の場合は、しっかりと睡眠時間を確保することがめちゃくちゃ重要なので、朝練は基本的には避けたほうがいいんじゃないか、と思います。

仕事をしながら競技をしている大人のアスリートの場合は、ケースバイケースでの判断になります。

朝練をするかしないかは、時期によって変えるのもアリです。

たとえば、普段は朝練をするけど、試合が近づいてきたらやめるとか、仕事が忙しくなる時期はやめるとか、負荷が高い練習・トレーニングを計画している時期はやめるとか。

 

 

まとめ

論文を紹介して、朝練はやめましょう!と主張したかったわけではありません。

朝練をすると睡眠時間が短くなりがちだから、メリットとデメリットを天秤にかけて判断するようにしましょう!とお伝えしたかったのです。

その事実を知らなければ、天秤にかけて判断しよう、とさえ思えないので、まずは知っておくことが大切です。

そのうえで、睡眠時間を削ってでも練習・トレーニングの時間を確保したい、ということであれば朝練をやるのは全然アリです。

また、「私は、翌朝に早起きしないといけない場合、前の晩に早く寝ることができる」というタイプのアスリートであれば、朝練をすることのデメリットは避けることができるでしょう。

状況・目的・個人差etcを考慮に入れた上で、判断するための材料として、今回紹介した研究結果を活用していただければ。

 

 

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【編集後記】

先日、アバターの2作目を観てきました。

3時間の大作なので、朝から水分補給を控え、映画館でもドリンクを購入せずに臨み、なんとかトイレに行くことなく観ることができました。

いや〜、めちゃくちゃ良かったです。

3時間、途中一度も飽きることなく、ずーっとあの世界観に引き込まれていました。

没入感が半端ないです。

ハマりすぎて、もう1回映画館で観たいくらいです。オススメです!!