体幹スタビリティのトレーニングの基本的なエクササイズと言えば、フロントプランク・サイドプランク・Pallofプレス等があります。
これらのエクササイズを実施する時に私がよく使うコーチングキューは「お尻に力を入れて!!」です。
なぜお尻に力を入れるか?
体幹スタビリティエクササイズでよく見かけるフォームの間違いは下の写真のように股関節が伸展されていない、あるいは骨盤が前傾して腰椎が過伸展している状態です。
この状態がなぜダメなのかというと、体幹周りの筋肉ではなく、骨や靭帯等によってスタビリティが作り出されてしまうからです。筋肉によってactiveにスタビリティを獲得する事をforce closureと呼び、骨や靭帯等によりpassiveにスタビリティを獲得する事をform closureと呼んだりもします。
体幹のスタビリティを考えた場合になぜform closureが問題なのかというと、以下の2つの理由があります:
- 腰椎(周りの組織)に負担がかかる
- 体幹スタビリティのための筋肉のトレーニングにならない
こうした事を防ぐためのキューが「お尻に力を入れて!!」なのです。
このキューによりお尻の筋群がしっかりと動員されると、骨盤が後傾(posterior pelvic tilting)されて、下の写真のようにニュートラルな状態になります。
この状態では、骨盤が前傾している時とくらべて、エクササイズのキツさが何倍にも増えると思います。骨や靭帯によるform closureに頼らずに、筋肉を使って体幹を安定させているからです。
このように正しいフォームでトレーニングをする事によって、体幹スタビリティUPの効果は倍増するはずです。
まとめ
最近は「体幹トレーニング」という言葉が1つのブームになっていて、一般のメディアでもこの言葉をよく目にします。関連書籍も多く出版されています。
フロントプランクやサイドプランクのような基本的エクササイズの存在は、多くのアスリートやコーチが知っているはずですし、実際にそれらのエクササイズらしきものを実施しているのを目にする機会も多いです。しかし、今回紹介したような細かいポイントについては守られていないことが多く、フロントプランクではなくてフロントプランクらしきものを実施しているにすぎないな〜と思うことが多いです。
しかも、フロントプランクのような基本的エクササイズをしっかりとできていないにもかかわらず、片腕を上げたり片脚を上げたりという上級レベルに挑戦しちゃってるケースも多いです。そういう場合は大抵、「体幹スタビリティのためのトレーニングのはずなのに体幹が全然安定してないやないか〜い!!」と心の中でツッコミを入れざるを得ないような光景が繰り広げられています・・・。
トレーニングはただ形を真似するだけでは効果がないどころか逆にカラダに負担をかける可能性もあります。正しいやり方を身につけて、適切なフォームでトレーニングをする事で、安全に体力向上をしてほしいものです。このブログも微力ながらそれに貢献出来ればと思います。
写真:http://mattsiniscalchi.wordpress.com/2011/08/29/core-exercises-are-glute-activation-exercises/
※もし記事がお役に立てたら、facebookで「いいね」を押したりtwitterでつぶやいたりして頂けるとうれしいです(^_^)