ちょっと珍しいタイプの論文を読みました。
なかなか面白い研究内容で、本ブログの読者の皆さんにも参考になりそうなので、レビューします。
論文の内容
研究プロトコル
研究デザインが少し複雑でわかりづらいので、文章で説明するより、以下の図をご覧いただいたほうがわかりやすいと思います。
「バックスクワットを3セット実施した後にスマホでSNSを30分間使ってからさらにバックスクワットを3セット実施する」という条件と「バックスクワットを3セット実施した後にドキュメンタリー動画を30分間視聴してからさらにバックスクワットを3セット実施する」という条件の2つを比較している研究になります。
- 条件①:スマートフォンでSNS(ツイッター、フェイスブック、インスタグラム)を30分間使用
- 条件②:ノートパソコンでドキュメンタリー動画を30分間視聴
各被験者は、間に1週間を空けて2つの条件を実施しており、その順序はランダムに決められました。
バックスクワットは15RMの80%の重量で、各セット限界まで(failure)実施されており、こなせたレップ数とそこから計算したvolume load(=総レップ数×重量)を筋トレのパフォーマンスの指標としました。
それ以外にも、精神疲労(mental fatigue)等の主観的な指標も記録されました。
結果
私がとくに興味深いと感じた結果にフォーカスしてお話をします(上記論文中の図2を引用)。
左が各セットで実施したレップ数のデータ、右がvolume loadのデータです。
「Pre-experiment」というのが前半の3セットのことを指していて、「Post-experiment」というのが後半の3セットのことを指しています。
また、黒丸と点線が条件①(スマートフォン)のデータで、黒四角と実践が条件②(ドキュメンタリー)のデータです。
前半の3セットについては、条件間で差は見られませんが、後半の3セットについては、4セット目と6セット目で条件①のほうがレップ数が有意に少なく、4〜6セット目の合計volume loadも条件①のほうが有意に少なくなっています。
つまり、レップ数やvolume loadといった「トレーニング量」に関しては、スマートフォンの使用によってパフォーマンスの低下が見られた、ということです。
また、精神疲労(mental fatigue)については、以下の図の通りで、スマートフォンを使用した後に、精神疲労のレベルが有意に高くなっています(上記論文中の図3から引用)。
考察
ちょっと研究デザインがわかりづらいですね。
個人的には前半の3セットはいらなかったのではないかと思うのですが・・・。
研究結果をシンプルにまとめると、スマホでSNSを使うと、直後の筋トレのパフォーマンスが低下する、ということになります。
ここでのパフォーマンスは「トレーニング量」のことを指しており、「トレーニング強度」つまり挙上重量が下がるかどうかまではわかりません。
また、このパフォーマンス(トレーニング量)の低下は、精神疲労の増加が伴っていることも確認されました。
とはいえ、この2つの間に因果関係があるかどうかまではわかりません。
つまり、この研究デザインからは、スマホでSNSを使ったことで精神疲労が増加し、それが原因で筋トレのパフォーマンスが低下した、とまでは言い切れないということです。
まとめ
この研究1つだけで確定的なことは言えません。
それでも、可能性としては、筋トレ直前にスマホでSNSを使うとパフォーマンスに悪影響がありそうなので、とりあえず控えたほうが良さそうです。
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【編集後記】
今年の確定申告は、freeeというオンライン会計ソフトを使って自力でやってみました(昨年までは、最終チェックだけ税理士さんにお願いをしていました)。
もしかしたら、小さなミスはあるかもしれませんが、なんとかできました。