先日、自分のトレーニングをした後の帰り道で、サッカーのゴールキーパー(GK)であろう服装でジョギングをしているお兄ちゃんとすれ違いました。
「こんなクソ暑い中、外を走るなんて大変だな・・・」
と心の中でつぶやきながら、残りの帰り道をトボトボと歩いていたのですが、だんだんと妄想が膨らんでいき、「自分がサッカーのGKのトレーニング指導を担当するとしたら、ああいう遅いペースでの走り込みをやらせるだろうか?」と考えてしまいました。
せっかくなので、私の妄想内容をブログ記事にしてみます。
ちなみに、私はサッカー経験者ではないし、サッカーGK選手のトレーニング指導を担当したこともないので、完全に妄想にもとづく分析であることをあらかじめお伝えしておきます。
サッカーGKに必要な持久力
私がすれ違ったお兄ちゃんは、おそらく「持久力」を高める目的でジョギングをしていたであろうと仮定して、ではそもそもサッカーGKに必要な「持久力」とはどのようなものかを考えてみます。
私はサッカーの専門家ではありませんが、普通に考えて、フィールドプレーヤーと比べると、試合中のGKの移動距離は短いはずです。
参考 林彰洋がノイアーより走る3つの理由。守備ラインの低い鳥栖でなぜ5km超?“Number
こちらのNumberの記事によると、GKの1試合平均走行距離は4000m前後とのこと。
一般的にウォーキングの速度が時速4kmと言われているので、サッカーの試合90分間で4kmを移動するということは、平均するとウォーキングよりも低強度ということになります。
ま、どんなことでも平均してしまうと埋もれてしまう情報が出てくるので注意が必要ですが・・・。
#126 持久力を向上するには試合での動きをトレーニングで真似(シミュレート)すれば良いのか?
実際の試合中には、スルーパスに反応してダッシュでペナルティーエリアから出てボールをクリアして、すぐにまたダッシュでペナルティーエリア内に戻るみたいに、ダッシュを繰り返す局面もあるはずです。
したがって、ウォーキングペースで移動するだけの持久力を養っておけばよいわけではなく、高強度の運動を繰り返すrepeated sprint abilityのような能力の向上も視野に入れる必要があります。
また、試合中の動きだけでなく、練習中の動きも考慮に入れないといけません。
私はサッカーのGKの練習がどのような内容か全然知らないので、妄想するしかできませんが、恐らく試合よりも長い時間の練習が多いのではないかと思います。
で、強度を平均すると試合中よりも低いのではないかと思います。
以上の情報を総合すると、サッカーのGKにとって、VO2maxに代表されるような有酸素能力を“最大限に”高める必要性は低そうです。
ただし、高強度の運動を繰り返す場合にも、高強度運動間のレスト中のリカバリーには有酸素能力が貢献すると言われているので、そこそこの有酸素能力は養っておきたいところ。
そのうえで、直接的に高強度運動を繰り返す能力をダイレクトに鍛えるのが良さそうです。
サッカーGKの持久力トレーニング
そこそこの有酸素能力のベースのうえに、高強度運動を繰り返す能力を鍛えるのがサッカーGKの持久力トレーニングの目標とします。
では、そのような目標を達成するための手段として、私がすれ違ったお兄ちゃんがやっていたジョギングのような遅いペースでの走り込みは適切なのでしょうか?
すでに述べたように、繰り返し高強度運動のレスト中のリカバリーには有酸素能力が貢献するので、ジョギングペースでの長距離走り込みによって有酸素能力を向上させておくことはアリと言えばアリです。
最近は高強度インターバルトレーニングが流行りで、低強度の走り込みの重要性が否定される傾向がありますが、Polarized Training Modelというコンセプトが広まるにつれて、低強度・多量のトレーニングの必要性が見直されている傾向がありますし。
参考 80/20ルール(Polarized Training モデル)に関する記事から。。。S&C Professional's Technic.
でも、サッカーGKにとって必要な有酸素能力は「そこそこ」程度だし、時間効率のことも考えると、やはり高強度インターバルトレーニングを優先するのが有効だと考えられます。
高強度インターバルトレーニングであれば、短時間で済むし、有酸素能力もそこそこ向上できるし、高強度運動を繰り返す能力を直接鍛えることもできます。一石二鳥です。
で、具体的には、もし私がサッカーGKの持久力向上トレーニングを考案するなら、30-15 Intermittent Fitness TestをやってVIFTを求めておいて、それに基づいて15秒ON15秒OFFのインターバル走を中心にプログラムを作ると思います。
#229 「30-15 Intermittent Fitness Test」の音源(mp3)やその他の資料
まとめ
サッカーGKが低強度・長距離のジョギングのような走り込みをやっちゃダメなのか?と問われればダメじゃないです。
やってもいいです。
でもやる必要があるか?と問われれば必要じゃありません。
時間効率も考慮すると他にベターな方法があるので、私だったら高強度インターバルトレーニングを中心に持久力トレーニングプログラムを組み立てるはずです。
そんな妄想を今回はシェアしてみました。
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【編集後記】
甲子園をテレビで観ていると、足腰がガッシリした高校球児が多いですね。
アスリートとしての身体能力が高い人材が野球界には揃っている気がします。
プロ野球選手になれない選手が他の競技に転向したらすごいことになりそうです。