#233 持久力トレーニングの運動様式で「ランニング」を取り入れるべきか?

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アスリートの持久力トレーニングを計画する際は、運動強度やレップ数・セット数、運動/休息比等、いろいろな変数を決定する必要があります。

そうした変数の1つに「運動様式」があります。運動様式の例としては、ランニング、バイク、ロウイング、水泳等が挙げられます。

その中でもランニングは特に器具が必要ないので、最も一般的に用いられている運動様式だと思います。

しかし、ランニングにおいては地面に接地をする時の着地衝撃が身体にとって負担となる可能性があり、それを避けながら持久力を鍛えるにはバイクやロウイングといった運動様式のほうが適しているかもしれません。

 

 

ランニングは運動様式として適切か?

ここで質問です。もしあなたがサッカーやラグビー、バスケットボールのように、試合中に走る必要のある競技のS&Cトレーニングを担当するとしたら、持久力トレーニングでランニングという運動様式を選択しますか?

考え方としては大きく分けて2つあると思います:

  • 競技練習で十分走っているのに、それに加えてさらにS&Cトレーニングでもランニングをさせると着地衝撃による身体への負担が大きくなり、ケガのリスクが増えたり疲労が過剰に蓄積する可能性があるから、持久力トレーニングの運動様式としてはバイクやロウイングを選択して、身体への負担を最小限に抑えつつエネルギー供給能力に刺激を入れよう。
  • 確かにランニングという運動様式は着地衝撃が大きいけど、身体への負担を怖がりすぎてS&Cトレーニングでランニングを全然やらないと着地衝撃に対して身体が準備できず、いざ練習や試合で走るとなった時に逆にケガのリスクが高まってしまう可能性がある。そういった状況を防ぐために、トレーニングにおいてもランニングという運動様式を積極的に活用していこう。その代わり、トレーニング量は漸進性過負荷の原則に基いて少しずつ増やすようにコントロールして、身体が徐々に適応するのを促そう。

今回のブログの主旨はどちらが正しいかという答えを出すことではありません。

そもそもこの質問に対する答えは「白か黒か?」といった明白なものではなく、どちらかが絶対的に正しい・間違っているということはないと思います。状況に応じて、適切だと思う選択をすれば良いでしょう。

例えば、オフシーズン中は後者の考えを採用してランニングを積極的に導入しつつ、シーズンに入って特に試合のスケジュールが密で疲労が溜まっている時期はランニングの代わりにバイクやロウイングを選択するとか(バイクやロウイングにも問題がないわけではありません→過去記事)。

また、利用可能な器具やスペースの関係で、選択できる運動様式が自動的に決まってしまう場合もあるでしょう。

 

 

まとめ 

S&Cコーチとして重要なのは、このような異なる考え方があることを認識した上で、目の前のアスリートにとって何がベストな選択なのかを常に考え続けることです。自分の脳ミソを使って「考える」ことができずに、馬鹿の一つ覚えみたいに「これが正しいんだ」と言い続けてその理屈を説明できないS&Cコーチには、アスリートを指導する資格はないと思います。常に考え続けましょう。

 

 

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【編集後記】

最近はプロ野球選手のオフシーズンの自主トレの記事が多いですね。ツッコむネタをどんどん提供してくれるので、ある意味ありがたいですが。ネットの記事にツッコむ時は衝動的にツッコむ場合が多いので、基本はTwitter上でつぶやいてます。ブログだけでなく、そちらも是非チェックしてみてください。