#488 Specialist vs. Generalist:S&Cコーチとして特定の競技についての専門知識は必須か?

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Scott webb 22420

 

アスリートのトレーニング指導を専門とするS&Cコーチの中には、大きく分けて2つのタイプが存在します:

  • Specialist:ひとつの競技種目に特化してトレーニング指導をする人(例:野球専門S&Cコーチ)
  • Generalist:特定の専門種目を決めずに、あらゆる競技種目に対応してトレーニング指導をする人

ま〜、「私はSpecialistだ」「私はGeneralistだ」と決めないといけないわけではないので、自分がどちらのタイプなのかを意識する機会は少ないでしょう。

また、Specialistであっても専門競技以外のアスリートを指導することもあるでしょうから、それほど厳密に分かれるものでもありません。

 

 

まずはGeneralistとしてトレーニング指導力を身に付ける

たびたび本ブログでも書いていますが、私は競技特異性を意識してトレーニングにおけるエクササイズのやり方を変えることはしません。

たとえば、スクワットをやるにしても、しゃがむ深さや足幅を競技中の動きに合わせて変えるようなことはしません。

「健康的に、効率よく、最大限に」体力強化を達成することができるやり方でトレーニングを実施するのが重要だと考えているので、そのやり方は競技種目によらず共通したものになります。

つまり、バスケ選手であれ野球選手であれフェンシング選手であれ自転車選手であれスキー選手であれ、同じやり方でエクササイズをしてもらうということです。

バスケスクワット、野球スクワット、フェンシングスクワット・・・みたいなものは存在しないのです。

 

もちろん、どのエクササイズを選択するか、どの体力要素を優先・強調して鍛えるかetcは競技特性によって変わります。

しかし、エクササイズのやり方・フォームそのものを競技動作に合わせて変えたりはしないということです。

 

したがって、特定の競技を専門としてトレーニング指導をするSpecialistを目指すとしても、まずはGeneralistとしてしっかりとトレーニング指導ができる力を身に付ける必要があります。

逆に言うと、この基礎的なS&Cコーチとしての力さえ身につけておけば、あらゆる競技種目に対応することが可能になるのです。

 

SpecialistであるS&Cコーチの中には、その競技をやっていた元選手が引退をしてそのままトレーニング指導を開始するケースが多いと感じます。

そういう方々は、専門種目についての深い知識があり、自身も選手として活動してきた経験があるので、素晴らしいS&Cコーチになる「ポテンシャル」は高いと思います。

しかし、まずはGeneralistとしてトレーニングを教えるための勉強をして基礎的な力を身に付けておかないと、「健康的に、効率よく、最大限に」体力強化を達成することが難しいのではないかと感じます。

 

 

競技についての知識も大切

Generalistとしての能力が高いS&Cコーチから指導を受ければ、アスリートが「健康的に、効率よく、最大限に」体力を強化して、競技成績の向上に結びつける可能性は高くなるはずです。

しかし、だからと言って、S&Cコーチには競技種目についての専門的な知識が一切必要ないわけではありません。

特定の種目について、以下のような知識があると、トレーニング効果を競技成績の向上に結びつける可能性を高めることができます:

  • 競技のルール
  • 典型的なケガのタイプ
  • アスリートの身体の特徴(柔軟性、筋力、身体つき)
  • 競技でどのような動きをするか(バイオメカニクス、生理学)
  • 試合のフォーマット(1試合の時間、1日に何試合するか、何日間に渡って試合をするか、試合間のインターバルの長さ)
  • 競技の年間スケジュール(試合だけでなく、練習・合宿・遠征も含めて)
  • 典型的な練習内容

私自身はGeneralistとして、あらゆる競技種目のアスリートに対応してトレーニング指導を提供する自信があります。

しかし、まったく知らない競技のトレーニング指導を担当することになったら、その競技に関して上記のような情報をまずは集めて、その競技について知る作業が必要になります。

これには数ヶ月から数年間かかります。

 

トレーニング指導を担当し始める時は、どちらにしろ基礎的なエクササイズから導入するので、最初のうちは競技による違いはあまりなく、その競技について深く知らなくてもあまり問題はありません。

トレーニングに関して基礎的なことを習得してもらっている初期の間に、それと並行してその競技についての知識を深めていけばいいので。

その一方で、過去にトレーニング指導を担当したことがあり、すでにある程度知っている競技であれば、上記のような情報を集めるための数ヶ月から数年間の時間を省くことができるので、より短期間でトレーニング効果を競技力向上に結びつけることができる可能性はあるでしょう。

 

 

まとめ

トレーニング指導を受けるアスリートの立場から理想を言うと、Generalistとしてのトレーニング指導能力が高いS&Cコーチが、自分の競技についての知識や経験も持っているSpecialistであれば、ベストでしょう。

もし、そういう理想的な人がいない場合、以下の2つのタイプのS&Cコーチのうち、どちらを選ぶべきでしょうか?

  • Generalistとしての能力が高いけど、その競技については詳しくない人
  • その競技については詳しいSpecialistではあるけど(例:元選手)、Generalistとしてのトレーニング指導能力が低い人

個人的には前者をオススメします。

Generalistにトレーニングをしっかりと教えてもらいながら、自分の競技について知ってもらって少しずつSpecialistになってもらえばいいだけですから。

 

逆に、S&CコーチとしてGeneralistを目指すのであれば、武器であるトレーニング指導能力を磨きつつ、新しい競技を担当することになった場合に、できるだけ短期間で効率よくその競技についての知識を深めることができる能力も身に付けておくとよいでしょう。

Specialistを目指すかGeneralistを目指すかは人の好み次第だと思います。

特定のスポーツが好きで、そのスポーツに関わる仕事がしたいということでS&Cコーチの道を選んだのであればSpecialistになりたいはずですし、特に専門競技を絞らずアスリート全般にサービスを提供したいのであればGeneralistを目指せばいいだけです。

しかし、Generalistであっても、ひとたびトレーニング指導を担当することになれば、その競技についての専門知識は必須です。

それは間違いないです。

 

 

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【編集後記】

焼肉ジャンボを初体験。上品な焼肉を堪能しました。