#480 アスリートの不振の原因がウエイトトレーニングにあるかのような記事にツッコみます

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Spring tree flowers meadow 60006

 

プロ野球オフシーズンのネット記事

昨日、以下のような記事を読みました:

2019/11/8追記:リンク先のYahooの記事が削除されているようですが、東スポのサイトだと記事を読むことができます→https://www.tokyo-sports.co.jp/baseball/npb/854551/

 

内容をざっとまとめると、プロ野球中日ドラゴンズの吉見投手の昨シーズンの不振の原因の1つに「走り込み不足」があり、その走り込み不足の原因は、これまであまり積極的に取り組んでこなかった上半身のウエートトレーニングを重視した結果、走ることにあまり時間をかけなかったことらしいです。

さらには、1年間ウエイトトレーニングに励んだけど「効果がわからなかった」だけでなく、上半身が勝ちすぎてしまい下半身とのバランスが崩れたとのこと。

ピッチャーは下半身をしっかりさせないで上に頼るとダメになるらしく、その下半身をしっかりさせるために、今オフは走り込みを重視する予定らしいです。

 

この記事を読んだ私の正直な感想は「なんでやねん!」というものでした(エセ関西弁ですいません)。

メディアが真実を正確に伝えている可能性はあまり高くないと私は信じているので、この記事の内容を100%鵜呑みにすることはできません。

しかし、この記事を読んだアスリートやコーチが「ウエイトトレーニングはダメなのか」と勘違いしてしまうリスクはあります。

そこで、ウエイトトレーニングを教えることも仕事の1つであるS&Cコーチとして、この記事の内容にツッコんでおきます。

 

 

記事の内容のツッコミどころ

①ウエイトトレーニングを重視したからって、走ることに時間をかけられなくなるかしら?

記事の書かれ方によると、走り込み不足の原因がウエイトトレーニングを重視したことのように受け取ることができます。

しかし、ウエイトトレーニングも走り込みも、毎日5時間も6時間もやるようなものではありません。

だから、ウエイトトレーニングを重視したからといって、走り込みに費やす時間が無くなるとは思えません。

また、ウエイトトレーニングをやりすぎて疲れてしまい、走り込みに費やすエネルギーが残っていなかったなんてことも考えられません。

特に、記事のとおり上半身を重視してウエイトトレーニングをしていたのであれば・・・。

そう考えると、走り込み不足の原因をウエイトトレーニングに求めるのには無理があります。

ウエイトトレーニングとは関係なく、ただ走り込みをやらなかっただけでしょ?

 

②「上半身が勝ちすぎてしまい下半身とのバランスが崩れる原因になった」って・・・

吉見投手の具体的なウエイトトレーニングの内容はわかりませんが、記事によると上半身のみ、もしくは上半身中心に鍛えたものと推察されます。

これは野球のピッチャーのためのウエイトトレーニングのやり方としては、適切なものではありません。

私がピッチャーにウエイトトレーニングを指導するのであれば、全身をバランス良く鍛えるはずです。

もし、上と下のどちらかを重視するのであれば、間違いなく下半身です。

1年間ウエイトトレーニングに励んだけど「効果はわからなかった」と発言されているようですが、そもそも効果の出ないやり方でトレーニングしていたのであれば、効果なんて出るはずありません。

「やり方」の問題なのに、あたかもウエイトトレーニング全般がピッチャーにとって悪であるかのようにミスリードする記事の書き方に、怒りをおぼえます。

 

③下半身を鍛えるためにウエイトトレーニングやらないの?

仮にこの記事が正しいとして、上半身のみ、もしくは上半身中心にウエイトトレーニングを実施した結果、「上半身が勝ちすぎてしまい下半身とのバランスが崩れた」のであれば、少なくとも上半身のウエイトトレーニングをやることで、上半身の筋力は向上したものと考えられます。

「すぐに結果が出て満足感があるウエートトレ・・・」という記述もあるので、筋力向上という効果はあったのでしょう。

もし、上半身のウエイトトレーニングをやったら筋力は向上したけど、下半身とのバランスが崩れてしまいピッチングのメカニズムも崩れたというのであれば、バランスを取り戻すために下半身も鍛えようと考えるのは納得がいきます。

しかし、その下半身を鍛える手段として、あたかも走り込みが唯一正しい手段であるかのような記事の書き方には悪意さえ感じます。

上半身のウエイトトレーニングやったら結果(=筋力向上)が出たのであれば、下半身を鍛えるために下半身のウエイトトレーニングやればいいのに。そう考えるのが論理的ではないでしょうか?

しかし、この記事を書いた記者は、昨シーズンにウエイトトレーニングをやっても結果が出なかったから、今オフは原点回帰をして走り込みを重視するんだ!というストーリーを勝手に作り上げて、無理やりそのストーリーに当てはめるように記事を書いているとしか思えません。

もしかしたら、吉見選手は、走り込みを重視するだけでなく、下半身のウエイトトレーニングもやっているかもしれないけど、それについては一切書かれていません。

私は野球のピッチャーが「走り込み」をすることを否定しているわけではありません。

短い距離をスプリントするのは良いことだと思います。

スプリントもして、ウエイトトレーニングもやればいいんです。両方やれば。

それをあたかも「昨年ウエイト→不振。今年走り込み→期待できる」みたいな書き方するのはどうなんですかね?

ウエイトもスプリントも二者択一じゃないんですけど。プンプン。

 

 

まとめ

ただでさえ日本ではアスリートがウエイトトレーニングに取り組むことが当たり前ではない状況があり、アスリートだけでなくコーチでさえもウエイトトレーニングの有効性を正しく理解していない人が多いです。

そんな状況を少しでも変えたいと願いブログを書いたりTwitterでつぶやいたりしている立場としては、こういう浅はかな記事を読むと非常に腹が立ちます。

だから、ツッコんでやりました。

「東スポの記事にムキになるなよ」という声も聞こえてきそうですが・・・。

 

ちなみに、吉見選手を批判しているわけではありません。

あくまでも記事にツッコんでいます。

 

 

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【編集後記】

バルクスポーツのシェイカーを使うとサプリメントが溶けやすい・・・。