#580 使う機会は少ないかもしれないけど知っておいて損はない「Summated Microcycles」と呼ばれるピリオダイゼーションのモデル

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「Summated Microcycles」ってどういう意味?

今回は「Summated Microcycles」と呼ばれるウエイトトレーニングのピリオダイゼーションのモデルを紹介します。

まずは、それぞれの英単語の意味について説明すると:

  • Summated:「summate」の過去分詞形で、「summate」は「合計する」といった意味
  • Microcycle:一般的には1週間前後のトレーニング周期を指す

つまり、「Summated Microcycles」は、「1週間前後のトレーニング周囲を合計する」といった意味合いがあります。

ただし、これだけだと言葉の意味合いはなんとなく掴めるかもしれませんが、実際にどのような形のピリオダイゼーションなのかはわからないと思うので、もう少し具体的に説明します。

 

 

「伝統的なピリオダイゼーション」vs.「Summated Microcycles」

「Summated Microcycles」というピリオダイゼーションのモデルがどういうものなのか、一般的に知られている「伝統的なピリオダイゼーション」と比較しながら説明します。

 

伝統的なピリオダイゼーション

「伝統的なピリオダイゼーション」においては、量が多く強度の低いプログラムから始まり、徐々に量が少なく強度が高いプログラムに移行していくのが一般的です。

たとえば、以下のような形が例として考えられます:

  • ①1セットあたり10レップ前後の「筋肥大期(最近は筋持久力期と呼ぶことも)」
  • ②1セットあたり5レップ前後の「基礎筋力期」
  • ③1セットあたり3レップ前後の「最大筋力・パワー期」
  • ④1セットあたり1-3レップの「ピーキング期」

各トレーニングブロックは4週間前後続くのが一般的で、このトレーニングプロックを「mesocycle」と呼ぶことが多いです。

「伝統的なピリオダイゼーション」のイメージは下図のとおりです。

スクリーンショット 2018 11 04 9 57 48

ここで示しているのは「volume load」という変数のデータです。「挙上重量×レップ数×セット数×エクササイズ数」といった形で示される総トレーニング量のことを指します。

また、図では示されていませんが、強度に関しては、すでに説明したとおり、量が減っていくのとは逆に増えていくことになります。

 

上の図では、試合に向けての準備期間が15週間ほどあるパターンを想定しました。

実際には準備期間がこれよりも長かったり短かったりする場合があるはずなので:

  • 上の図のパターンを繰り返す(準備期間がさらに長い場合)
  • 各ブロック(mesocycle)の長さを短くしたり長くしたりする
  • 各ブロック(mesocycle)を複数回繰り返す

等の調整を加えながら、目の前の競技スケジュールに合わせてピリオダイゼーションを作り上げていくことになります。

 

 

Summated Microcycles

「Summated Microcycles」においても、量が多く強度の低いプログラムから始まり、徐々に量が少なく強度が高いプログラムに移行していくというコンセプトは「伝統的なピリオダイゼーション」と同じです。

では、何が異なるのかというと、プログラムの内容を移行していくペースが前者のほうが早いということです。

もっと具体的に言うと、「伝統的なピリオダイゼーション」においては、4週間ほどのmesocycle毎にプログラム内容を変化させていくところを、「Summated Microcycles」においては、1週間のmicrocycle毎にプログラム内容を変化させていくのです。

「Summated Microcycles」のイメージは下図のとおりです。

スクリーンショット 2018 11 04 9 58 42

つまり、「伝統的なピリオダイゼーション」をギュギュッとコンパクトにまとめて、(上図の例でいうと)15週間かかっていた内容を4週間で繰り返すイメージが「Summated Microcycles」ということです。

要するに、「筋肥大期(筋持久力期)→基礎筋力期→最大筋力・パワー期→ピーキング期」という形で、各期を1週間毎に繰り返す形になります。

さらには、この「Summated Microcycles」の1つのブロックが4週間ほどだとして、これをさらに繰り返すこともできます。

 

 

「Summated Microcycles」を使うシチュエーション

私が最初に「Summated Microcycles」というコンセプトに出会ったのは、2003年にNSCA機関紙で以下の記事を読んだ時でした。

参考記事Plisk & Stone (2003) Periodization Strategies. Strength Cond J. 25(6):19-37.

 

最初に読んだ時は「なんだコレ?こんなピリオダイゼーションのモデルいつ使うんだ?」と思ったものです。

少なくとも、オフシーズンがある程度長いケースにおいては、「伝統的なピリオダイゼーション」のほうが効果的なはずだと考えました。

あえて、オフシーズン中に「Summated Microcycles」を使おうとは思いません。

 

また、「Summated Microcycles」を使うとしたらシーズン中かな〜とも考えましたが、たとえば毎週末に試合があるようなプロスポーツのシーズン中において、4週間に1回だけとはいえ、筋肥大期(筋持久力期)のような量の多いウエイトトレーニングを実施すると、その週は疲労や筋肉痛がひどくなって試合に向けてのコンディション調整が難しくなります。

と考えると、オフシーズン中もシーズン中も使い勝手の悪い「Summated Microcycles」というモデルを使うシチュエーションはなさそうだと思っていました。

 

しかし、「Summated Microcycles」が使えるシチュエーションが1つ思いつきました!

それは、「1ヶ月に1回のペースで試合があるシーズン中」です。

たとえば、シーズンが数ヶ月間続き、試合が月に1回あるような状況においては、「Summated Microcycles」のモデルがバシッとハマります。

4週間に1回、筋肥大期(筋持久力期)のようなウエイトトレーニングを実施することで、シーズン中とはいえある程度の量を確保することができるので、筋力強化や筋肥大ができる可能性が高まります。

とくに、シーズン中だからといって量が少ないウエイトトレーニングしか実施せず、それが数ヶ月間も続く場合とくらべると、はるかに高い筋力レベルや筋量をキープすることが可能となるはずです。

その一方で、試合は月に1回しかないので、筋肥大期(筋持久力期)的なトレーニングを実施した週や次の週に一時的に疲労や筋肉痛の影響が残ったとしても、徐々にトレーニング量を減らしていけば次の試合までにはそうした影響はなくなるはずです。

 

 

まとめ

ピリオダイゼーションというのは、その原則やコンセプトを理解しておき、目の前のシチュエーションに合わせてプログラムデザインをするのが大切だと思います。

しかし、参考例として、いろいろなモデルを知っておくとS&Cコーチとしての引き出しが増えるはずです。

使う機会はあまり多くないかもしれませんが、「Summated Microcycles」というモデルを知っておくと、自分の引き出しを増やすことにつながります。

ピリオダイゼーションといえば「伝統的なピリオダイゼーション」という固定観念を崩し、自分の頭を柔らかくするという意味でも、いろいろなモデルを知って頭の片隅に留めておくことをオススメします。

 

 

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【編集後記】

そろそろ引退するかと思われていたMacBook Airの新型が発表されましたね。

もともとMacBook Airを使っていましたが、なかなかスペックがアップデートされないのでMacBook Proに乗り換えたのですが、ちょっとまたMacBook Airに戻りたい気持ちがふつふつと湧いてきています。

とりあえずアップルストアで触ってみよう。。。