#22 【論文レビュー】スクワットの深さがジャンプパフォーマンスに与える影響

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表題の疑問について調べた研究をThe Journal of Strength and Conditioning Researchで見つけたので読んでみました。

 

 

論文の内容

Hartmann (2012) Influence of squatting depth on jumping performance. J Strength Cond Res. 2012 ;26(12):3243-61.

 

内容を簡単にまとめると:

  • クウォータースクワット(膝角度120°)でのトレーニングを週2回の頻度で10週間続けたら、カウンタームーブメントジャンプ(CMJ)とスクワットジャンプ(SJ)高に有意な変化はなかった(CMJ: -0.01%, SJ: +2.68%)
  • フルバックスクワット(パラレル以下)でのトレーニングを週2回の頻度で10週間続けたら、CMJとSJ高が有意に増えた(CMJ: +7.79%, SJ: +5.83%)
  • フルフロントスクワット(パラレル以下)でのトレーニングを週2回の頻度で10週間続けたら、CMJとSJ高が有意に増えた(CMJ: +8.29%, SJ: +7.19%)
  • フルバックスクワットとフルフロントスクワットによるCMJ高の向上率は、クウォータースクワットによる向上率と比べて有意に大きい

といった感じです。

ちょっと簡単にまとめ過ぎた感があるので、詳しくは論文のPDFをダウンロードして全部(abstractだけじゃなくて)目を通してみてください。

 

 

論文の解釈

被験者のトレーニングレベルが低い点を考えると、この研究結果がトレーニングレベルの高いアスリートに当てはまるとは限りません。

また、フルスクワットの2つはフリーウエイトなのに、クウォータースクワットは特殊なマシン(矢状面、前額面はフリーに動く?)を用いてトレーニングしている点も気になるところです。

このようなlimitationを把握した上で、研究結果について理解する必要があるでしょう。

こうした点を踏まえて、この論文を読んだ私の個人的な感想を述べると、「スポーツ競技中のジャンプではそれほど深くしゃがまないから、クウォータースクワットの方が特異的で効果的なトレーニングができる」とか言っているS&Cコーチの発言が否定されたな〜という事です。

それに対して私はフルスクワット推奨派です。そもそも、「ウエイトルームで実施するエクササイズはあくまでもgeneralなものであり、競技にspecificではない」という考え方なので、エクササイズがスポーツ競技の動作に似ているかどうかといった基準でエクササイズを選択しようと思いません。

以前のブログでも述べたように、フルスクワットは重いウエイトを用いてより多くの筋をより大きな可動域でトレーニングできるエクササイズです。これにより、多くの筋を全可動域で鍛える事が可能になり、それがスポーツ競技のいろいろな動作のパフォーマンス向上に貢献するという考えです。

 

 

まとめ

見た目の特異性(specificity)よりも、トレーニング効果が競技パフォーマンス向上に結びつくかどうか(transfer of training effect)を重視してS&Cプログラムを作成・実施する必要があるのではないでしょうか?