#67 一流アスリートの特徴

公開日: : 最終更新日:2015/08/07 S&Cコーチとしての思考


先日、とあるセミナーで講師・シンポジストを務めました。質疑応答の時間に「オリンピックでメダルを獲得するような一流アスリートとそれ以外のアスリートの違いは何か?」という趣旨の質問を頂きました。これまでの経験をもとに考えてみて思い浮かんだ事をお答えしたのですが、今思い返してみても非常に面白い質問だったと感じます。

私はこれまでシンガポールと日本でトップレベルのアスリートに接する機会を頂きました。また、それ以外にも大学生や州選抜レベル、プロ選手と様々なレベルのアスリートにも接してきました。そうした経験をもとに、いわゆる一流と呼ばれるアスリートは何が違うのかについて私なりの意見を今日はシェアしたいと思います。基本的にはセミナーでお答えしたのと同じ内容です。

 

1. 意識の高さ

練習に対する意識の高さ、体力トレーニングに対する意識の高さ、食事・栄養に対する意識の高さ、自分の身体のケアに対する意識の高さetc・・・。アスリートにとって重要なこれらの項目に対する意識の高さが、一流のアスリートはハンパではありません。ここに挙げた項目の重要性はアスリートなら誰でも知っているはずですが、頭でわかってるだけで実践できているアスリートは少ないです。一流のアスリートはこれらを一貫して実践できているというのが強く印象に残っています。練習後、他のアスリートが雑談している間も黙々とクールダウンを行う選手。トレーニング前に集合時間より早めに来て入念にウォームアップを行う選手。トレーニング後、意識的にできるだけ早く栄養を補給する選手。汗をかいたらタオルで拭きとってこまめにシャツを交換して風邪をひかないように注意できる選手。そういった選手が一流と呼ばれるレベルに到達するのだと思います。別に特別な事をしているわけでも、一流のアスリートだけが知っている秘密の何かがあるわけでもありません。当たり前の事を当たり前に一貫して継続する事で、毎日小さな差をコツコツ積み上げて、それが大きな差になって現れる。そんな気がします。ま、それが一番むずかしいんですけどね。私にはできません・・・。

 

2. フィルター付きの素直さ

人のアドバイスや話を聞ける素直さを持ったアスリートは伸びます。逆に変なこだわりがあって、まわりの意見を聞かずに自分のやり方を全く変えない選手は、よくも悪くも変化がありません。ただし、周りの人の言う事をなんでもかんでも受け入れてしまうのは素直さではありません。ただのバカです。あくまでも自分の意見を持った上で、素直に人の意見を聞けるというのが重要です。一流のアスリートは人を見ます。「この人の言う事を聞いても大丈夫か?この人の言ってる事は正しいのか?この人は自分を助けようと考えてくれているか?」という目でこちらを値踏みしてきます。そしてたくさん質問をしてきます。質問をたくさんするアスリートは自分の頭で考えているアスリートです。何も考えていないアスリートは質問しません。自分で考えて、たくさん質問をして、その上で適切なアドバイスだと判断したらそれを素直に受け入れる事ができるアスリートは一流です。

 

3. 自己プロデュース能力

一流のアスリートは自分に足りないものが何かを把握して、それを補うために周りの人の助けを使うのがうまいです。体力が不足していると感じたらS&Cコーチの指導を受ける、栄養に問題があると感じたら栄養士の指導を受ける、自分の身体のセルフケアに対する意識は高くても疲労が溜まっていてプロの力が必要だと感じた時はトレーナーにマッサージをお願いする、etc・・・。要するに自分が自分自身のプロデューサーとなって、自分のアスリートとしての能力を高めるために必要な事をまわりを巻き込みながら実施する事ができるのです。そして、まわりを巻き込むのがうまいです。良い意味で「人たらし」です。周りのコーチやサポートスタッフにお願いをするのがうまく、また上記2でも説明したように素直です。だから周りの人もそのアスリートを助けてあげたいという気持ちになります。コーチやスタッフも人間なので、「仕事だからやる」のと「助けてあげたいと思いながらやる」のでは気合の入れ方が違ってきます。また、コーチやスタッフだけでなくチームメイトを巻き込むのもうまいです。要するに、一流になるには良い意味で人たらしになる必要があります。自分ひとりの力だけでトップレベルに到達できる人なんて世の中にいません。

 

まとめ

セミナーでは他の方の考えを伺う事もできましたが、共通する意見としては、技術がどうとか体力がどうとかという事よりも(それらを有しているのは当たり前の前提条件で)、一人の人間としてきちんとしているかどうかが大切という点があったと思います。挨拶ができるとか、他の人の事を思いやれるかとか。一見、スポーツの世界で一流になるのにはあまり関係ない事のように思えますが、結局は一人で頂点にたどり着くことは不可能で、周りのいろいろな人の助けが必要であるという事に集約される気がします。そして、まわりの人から助けたいと思われるアスリートになる必要があります。そのためには、アスリート自身が意識を高く取り組んでいないと周りは助ける気にならないし、素直じゃなくても助ける気になれないし、人たらしであれば周りが自分から助けたいと思ってくれます。ま、そんなことなのかな〜と感じました。S&Cとは直接的に関係のないトピックかもしれませんが、良い機会だったのでいろいろ考えてみた事をブログという形で残そうと思いました。

 

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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