#154 高強度インターバルトレーニングの運動強度を規定する方法(個人の能力差を考慮に入れる)


 

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前回のブログに続き、職場内の勉強会でプレゼンした内容の一部を再利用してブログを書きます。

 

 

高強度インターバルトレーニングの運動強度の決め方

高強度インターバルトレーニングは比較的短時間でエネルギー供給系の能力(無酸素だけでなく有酸素能力も)を向上させる事のできるトレーニング方法です。以前のブログでも紹介しましたが、高強度インターバルトレーニングを処方する際に決定する必要のある変数は少なくとも9つあります。その中でも運動強度は非常に重要な変数です。

高強度インターバルトレーニングのように1回のインターバルの運動時間が比較的短い場合には、心拍数をモニターすることによって運動強度を規定する事は難しいです(コチラ)。したがって、ラン系インターバルトレーニングにおいては、運動強度は走速度によって規定するのがベストな方法だと思います(実際のトレーニング処方においては「何mを何秒で走るのか」を指定することによって平均の走速度をコントロールすることになります)。

 

 

走速度の規定方法

走速度を規定するには色々な方法があるでしょう。

 

①距離と時間で規定する

一番単純な方法は、例えば「100mを15秒で走る」という感じで決めるものです。これは簡単です。シンプルです。ラクチンです。でも、アスリート個人の能力差を考慮に入れていません。

スプリント能力と持久力の高いアスリートにとっては「100mを15秒で走る」のを例えば45秒の休息をはさんで繰り返すのはラクかもしれません。ラクすぎてトレーニング刺激が十分でなく、トレーニング効果がまったく見られない可能性すらあります。

しかしその一方で、スプリント能力や持久力の低いアスリートにとっては「100mを15秒で走る」のを繰り返すのはキツすぎるかもしれません。あまりにもキツすぎて、狙ったトレーニング効果を得られずに、逆にオーバートレーニングのような状態になったり、ケガをしたりする可能性があります。

そう考えると、個人の能力差を考慮せずに「100mを15秒で走れ」というのはちょっと無責任な気がします。

 

②テンポ走

走速度を規定するもう一つの方法が、例えば「100m走のベストタイムの70%の速度で100mを走る」といったものです。陸上界ではテンポ走という呼ばれ方をされていて、ベン・ジョンソンのコーチだったチャーリー・フランシスが広めたものです(人によってテンポ走の捉え方・定義が異なる可能性があるので、これをテンポ走と呼んでいいかわかりませんが)。

これだと個人のタイムによって走速度が規定されるため個人の能力差に応じて運動強度を処方できます。

 

③個別のvVO2maxにもとづいて規定する

もう一つの方法は、最大酸素摂取量に相当する走速度(vVO2maxとかMAS(=maximal aerobic speed)とか呼ばれます)を基準にするものです。例えば「vVO2maxの100%で15秒走る」とか。

これも個人のvVO2maxまたはMASを測定したうえで、それぞれの能力差に応じて運動強度を処方できるのでオススメです。

実際のvVO2maxを正確に測定するには研究で使うような特別な装置を使用して測定する必要があるので、あまり実用的ではありません。しかし、フィールドで簡易的に実施してvVO2maxを推定するような測定方法もあるので、それを利用するのが良いでしょう。

 

 

まとめ

ということで、次回のブログでは、vVO2maxを推定するためのフィールドテストについて紹介したいと思います。

 

 

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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