#219 【S&Cのバイオメカニクス】安定性(スタビリティ)に貢献する要因を理解する

公開日: : 最終更新日:2016/02/06 バイオメカニクス


 

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安定性(スタビリティ)に貢献するバイオメカニクス的要因を紹介します:

  1. 支持基底面:身体を支えるために床と接している部分を結んだ範囲のことを支持基底面と呼び(上の図の白い線で囲まれた部分)、この面積が広いほど安定性は高い
  2. 物体の質量:質量が大きい物体は、その慣性の大きさにより安定性も高い
  3. 重心の高さ:重心の位置が高いほど安定性が低く、逆に重心の位置が低いと安定性は高くなる
  4. 支持基底面の縁に対する重心の位置:重心から垂直に線を下ろした時に床と交わる点が支持基底面の縁に近いと、その方向に対する安定性が低くなる

 

S&Cにおける安定性(スタビリティ)を考える

この知識をS&Cに応用して考えてみます。

例えば、ランジを実施する場合、負荷をどこで保持するかによって安定性が異なる(バーベルを肩に担ぐ > 頭上に保持する)ので、スタビリティを鍛えるのが目的ならオーバーヘッドランジを採用し、安定した姿勢でより重い重量を用いて筋力を鍛えたいのであればバーベルを肩で担いでランジを実施する、という選択ができます。

また、(オーバーヘッド)プレスを実施する場合、足幅を少し広げると支持基底面が大きくなるので、安定性が増してより重い重量を扱えます(上の図で言うと、一番上よりも真ん中の足幅のほうが安定性が高い)。

さらに、パワージャーク(上の図の真ん中のスタンスでバーをキャッチ)とスプリットジャーク(上の図の一番下のスタンスでバーをキャッチ)を比べた場合、足を前後に開いたスプリットスタンスのほうが前後方向への安定性が高いという特徴があります。

 

まとめ

安定性を決定するバイオメカニクス的因子を理解しておくと、トレーニングの目的に応じて(スタビリティ向上 vs. 筋力向上)適切なエクササイズを選択するのに役立ったりして便利です。

 

参考文献

Cardinale M, Newton R, Nosaka K. (2011) 「Strength and Conditioning: Biological Principles and Practical Applications

 

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【編集後記】

デッドリフトやクリーンで、バーが床から離れる前にお尻が先に上がってしまうのは、posterior chain筋群、特にお尻の筋力不足じゃないか、と考えてみました。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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