#291 多関節エクササイズ中心にトレーニングするのが原則だけど、別に単関節エクササイズをやっちゃダメと言ってるわけじゃないんだから♡

公開日: : プログラムデザイン


 

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最近はブログ閲覧数も増えてきて、たくさんの人に読まれているプレッシャーが無意識にあり、ちょっとブログでの言葉遣いが優等生すぎて遊びがなくなっていたかもしれないと反省し、今日のブログタイトルは少し攻めてみました(もしかして、攻め方間違ってる?)。

 

原則と例外

ウエイトトレーニングにおいては、多関節エクササイズを中心にプログラムを組み立てるのが原則です。具体的には、クリーンやスナッチ等のクイックリフト、スクワット、デッドリフト、ランジ、腕立て伏せ、オーバーヘッドプレス、懸垂etcといったエクササイズが例に挙げられます。私が作るプログラムの場合、エクササイズ全体の8割程度がこうした多関節エクササイズで占められます。

運動愛好家が趣味で筋トレをするのであれば、多関節エクササイズであろうが単関節エクササイズであろうが、好きなことを好きな割合でやれば良いと思いますが、アスリートが競技力向上を見据えてウエイトトレーニングを手段として用いるのならば、多関節エクササイズをメインにプログラムを組み立てるのが原則だと思います(#273 「運動」と「トレーニング」の違い)。

しかし、別にアスリートが単関節エクササイズをやっちゃ絶対にダメと言っているわけではありません。そもそも「原則」という言葉を辞書で調べてみると「多くの場合にあてはまる基本的な規則や法則」とあります。「すべての場合」ではなく「多くの場合」なんです。100%ではないので、原則には例外がつきものです。だから、多関節エクササイズを中心にトレーニングするのが原則なんですが、その例外として単関節エクササイズをやるのはアリなのです。

 

単関節エクササイズを活用する場合

じゃあ、どのような場合に、例外である単関節エクササイズを活用すれば良いのでしょうか?

①多関節エクササイズ実施時に特定の筋群が弱点となっている場合

たとえば、デッドリフト実施時に臀部の筋群が弱くて重い重量を挙げられなかったり、お尻が先に上がってしまう不適切なフォームになったりするとします。そのような弱点を補うためのベストな方法は、適切なフォームを徹底的に意識して(お尻が先に上がらないように意識して)デッドリフトを実施することです(たとえ一時的に挙上重量を大幅に下げることになっても)。そうすることで臀部の筋力は向上するはずですし、そもそもそのようにして臀部の筋力を向上させるのがデッドリフトを実施する目的のはずです(少なくとも私がアスリートにデッドリフトをやらせる場合)。

一方で、それと並行して、臀部の筋群を強化するために別途、単関節エクササイズを導入するのはアリだと思います。この場合、臀部の最大筋力を強化するというよりも、臀部の筋群の肥大を図るという目的で、1セットあたりのレップ数は多めに実施することが多いです(そもそも単関節エクササイズは高重量・低レップに適していないという理由もあります)。

ただし、ここで注意が必要なのは、単関節エクササイズはあくまでも二次的な弱点克服手段にすぎないという点です。上の例で言うと、デッドリフト実施中に適切なフォームを徹底的に意識して実施するのがメインの弱点克服方法です。単関節エクササイズの導入は、あくまでもそれを補助するにすぎないのです。しかし、メインの方法をしっかりやったうえで単関節エクササイズを導入すれば、それは時間のムダにはならず、有効な方法となるでしょう。

 

②競技に特異的なケガのリスク低減

競技によって、頻繁に発生する傷害部位というものが異なります。その部位のケガのリスク低減を図るため、単関節エクササイズを導入して、その部位の筋群を強化しておくというやり方はアリだと思います。例えば、コンタクトスポーツにおいて首のケガや脳震盪のリスクを低減させるために、首周りの単関節エクササイズを導入するとか、野球のピッチャーの肩外旋筋群を鍛えておくとか。

私は常々(競技中の動作をマネただけの)競技特異的エクササイズやら競技特異的トレーニングというものを批判していますが、各競技において頻発するケガの情報をもとにして、単関節エクササイズを競技ごとに選択・導入するというやり方は、ある意味「適切な競技特異的なトレーニング」と呼べるのかもしれません。

ただし、トレーニングの8割程度を占める多関節エクササイズに関しては、競技によらずほぼ共通しています。したがって、あくまでも原則としてウエイトトレーニングの8割程度はgeneralであって、残りの例外部分において競技特異性を考慮に入れるという考え方になるのです。

 

③多関節エクササイズだけでは十分な刺激を与えられない筋群を鍛える場合

多くの場合、多関節エクササイズをバランス良く実施することで、全身の筋群をあますことなく十分に鍛えることが可能だと思います。しかし、競技によっては特定の筋群が特に重要になる場合があり、その場合は十分に鍛えるだけでは足りずに十二分くらい鍛える必要がでてきます。そういったケースにおいては、その筋群に対してさらなる刺激を与えるために単関節エクササイズを活用するのはアリだと思います。

たとえば、サイドステップ動作において足関節底屈筋力は重要だけど、スクワットやデッドリフト、ランジ等の多関節エクササイズを特にハム・ケツを使うことを意識してトレーニングする場合、腓腹筋やヒラメ筋へのトレーニング刺激はそれほど大きくないから、単関節エクササイズのカーフレイズを取り入れて鍛えるとか。あるいは、スプリントや自転車において股関節屈筋群は重要だけど、多関節エクササイズではそこを直接鍛えるのがなかなか難しいから、ケーブル等を用いた単関節エクササイズを導入するとか。

競技特異性に応じて導入する単関節エクササイズが変わるという点では、②のケースと同様に「適切な競技特異的なトレーニング」と呼べるのかもしれません。

 

まとめ

原則と例外という観点から、単関節エクササイズの導入の仕方について私の考え方を紹介しました。「原則」にあたる8割程度の部分では多関節エクササイズを採用し、そこは競技に関係なく共通した部分(つまりgeneral)が多いということ。そして「例外」にあたる残り2割程度の部分では単関節エクササイズを導入してもOKだし、そこの部分では競技特異性を意識しても良いというお話でした。

ただしここで言う競技特異性とは「競技のニーズ分析の結果を利用して単関節エクササイズを選択する」といった意味合いであり、別に競技動作をウエイトトレーニングにおいても真似するという意味合いではありません。後者は、従来から私が批判している「競技特異的トレーニング」であり、やはりその考え方を肯定することはできません。

 

 

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【編集後記】

セミナーで5時間もしゃべり続けた後遺症でしょうか。喉がイガイガします・・・。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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