#330 【継続学習】「ムーブメント・トレーニング・ファンダメンタルズ Level 1」を受講した感想


  

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前回のブログでも書いたように、1月から3月にかけての毎週水曜日に「ムーブメント・トレーニング・ファンダメンタルズ Level 1」という全10回のセミナーを受講していました。講師はアメフトXリーグのLIXILディアーズでアスレチックパフォーマンスコーチを務められている朝倉全紀さんでした。

このセミナーの概要は、案内の文章から引用すると

パワフルにかつ効率的に移動することを状況に応じた適切なテクニックを用いて達成する技術を学んで行きます。Level 1では基本的概念と出力、それに伴う基本的移動テクニックの獲得に焦点をあてて、マルチディレクショナルなムーブメントスキルと、その段階的指導の基礎を学びます。

ということになります。

私なりに簡潔に説明すると、ジャンプ、スプリント、横方向の移動、方向転換、減速etcといった動きについて学ぶセミナーといった感じです。

講師の朝倉さんはアメフトチームの指導に携わっていらっしゃいますが、セミナーの内容はアメフトに特化したものではなく、あらゆる競技に応用可能な基本的なもの(=ファンダメンタルズ)でした。

 

 

受講しようと思ったキッカケ

①もともと興味があったから

もともと朝倉さんの書かれた雑誌記事等を読んでいて「ムーブメントスキル」なるものに興味があり、朝倉さんが講師の単発のセミナーを何度か受講しました。その経験を通して「このスキルを身に付ければ、S&CコーチとしてレベルUPできそうだ」という感触を得ることができたのですが、それと同時に「単発のセミナーを受講するだけでは、なかなか理解するのが難しいな」とも感じていました。

そんな中、全10回にわたって体系的に学べるセミナーを朝倉さんが始められると知り、「しばらく毎週水曜日はセミナー2つを受講する厳しいスケジュールになるな〜」とためらいつつも、自分の知識を高めるためと思い申し込んだのでした。

 

②なぜ興味を持ったか?

じゃあ、そもそもなぜ「ムーブメントスキル」なるものに興味を持ったのかというと、今年度いっぱいでJISSを辞めて、今後はバスケ等の球技系スポーツのチームを指導したいという気持ちがあったからです。

バスケ等の球技系スポーツでは、ジャンプ、スプリント、横方向の移動、方向転換、減速etcといった動きをパワフルかつ効率的に実施できる能力が、競技パフォーマンスに大きな影響を及ぼします。また、傷害リスクを低減させるという点でも、これらの動きを負担の少ない姿勢・フォームで実施できることは重要です。

自分としては、そういった動きの指導能力が足りないと感じていたので、できればJISSを辞めて独立する前にそういった能力を身に付けておきたいと考えていました。

 

 

セミナーで学んだこと

上述のようなさまざまな基本的な動きに関して以下のことを学ぶことができました:

  • それぞれの動きの効果的な実施方法
  • それらを身に付けるためのさまざまなドリル(とその分類法)
  • それらのドリルをどのようにProgressionまたはRegressionさせていくか

全10回をかけて学ぶ内容なので、ここでそれらを全てまとめることは不可能です。とりあえず、自分として特に印象に残った点をいくつか紹介したいと思います:

 

①Contextによって適切な動きが異なる

「方向転換や減速等の動きをする時に、ただ単にそれらの動きをできるだけ速く実施すれば良いというわけではなく、contextによって適切な動きは異なる」というコンセプトは目から鱗でした。ここで言うcontextは「状況・目的」といった意味合いの言葉です。

もう少し詳しく説明すると、もう次の動きが確定していて、それをできるだけ速く実行するのが必要なcontextにおいて選択するべき適切な動きと、次の動きが未確定なcontextにおいて外的な刺激等に応じていつでも動きを変えることができるように準備をしておく必要がある時に選択するべき適切な動きは異なるということです。

 

②すべての動きには共通点がある

前方へのスプリント、横方向の移動や方向転換、減速etcというのは一見まったく別の動きですが、身体の使い方という点では「下半身のpush(またはトリプルエクステンション)」という共通点があるという点が興味深かったです。

その共通の「下半身のpush」という動きを、力を発揮する方向、股関節の内・外旋や内・外転の程度、足関節の背屈・底屈の程度、ヒップヒンジの強さの程度etcという条件を少し操作してあげて上手に運用してあげることで、それぞれの動きに繋がるというのは、これもまた目から鱗でした。

 

③ムーブメントスキルの土台作りとしてベーシックなウエイトトレーニングがやっぱり重要

上記②と関連しますが、ムーブメントトレーニングはさまざまな動きを完全に別の独立した動きとしてそれぞれ身に付けるというよりは、共通した基本的な動きをいかにうまく運用するかのスキルを身に付けるトレーニングである、というのが私の感想です。

だからこそ、その基本的な動きの出力を高めるためのウエイトトレーニングにおいては、スプリントに特異的なエクササイズ、方向転換に特異的なエクササイズ、減速に特異的なエクササイズetcなんて考える必要はなく、スクワットやデッドリフト等のベーシックなエクササイズを実施するのが一番である、と改めて感じましたし、講師の朝倉さんもそのようにおっしゃっていました。

また、今回のセミナーで教わったパワフルかつ効率的な動きを実施しようと思っても、それを実施するための柔軟性や筋力が不足していると、どれだけがんばってもできません。練習を繰り返してもできるようになることもないでしょう。

したがって、それらの動きを実施するための土台作り・準備をするためにも、ウエイトトレーニングが重要になります。そして、そのウエイトトレーニングにおいては、筋力や柔軟性をもっとも安全に効率的に最大限に向上できるようなベーシックなエクササイズが有効になってくるのです。

動きの練習を繰り返してもできるようにならないのであれば、その動きを真似した「特異的なウエイトトレーニング」なんてものをやったって、状況が好転することはありえません。これについてはすでに書きましたのでそちらも読んでみてください。

#321 やっぱりウエイトトレーニングを競技の動きに近づける必要はない

 

 

まとめ

自分の身体に鞭打って受講して本当に良かったと思えるセミナーでしたし、新しい知識を学ぶという行為自体も純粋に楽しめました。

また、JISSを辞めて独立した後のことを見据えて受講したセミナーでしたが、現在主にトレーニング指導を担当しているフェンシングにおいても、今回学んだことを活かせそうだと感じました。これは嬉しいサプライズでした。

具体的に言うと、フェンシングにおける前脚は減速の動き、後脚はラテラルの動きなので、今回学んだことを直接的に活かすことが可能です。また、「フレッシュ」という技においては後脚が方向転換の動きにおけるback footで前脚がfront footだから、このセミナー受講前に思っていたよりも、front footである前脚のプッシュが重要であると認識を改めました。

恐らく、何を言っているか理解できる人はあまり多くないと思いますが、このセミナーを受講して動きのファンダメンタルズを理解しておけば、一見それらの動きとは関係なさそうなフェンシングという競技の動きを見る目も向上したという実例だとお考え下さい。実際に、セミナーを受講していた参加者の皆さんは、普段さまざまな競技のアスリートを指導されている方々でしたが、セミナーで学んだことを自分の指導している競技に応用されているはずです。

多分、今後も同じ内容のセミナーが開講されると思うので、 興味のある方は是非受講してみてください。オススメです!

 

 

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【編集後記】

MacのOSをEl Capitanにアップグレードしました。レビューがあまり良くなかったので、アップグレードを先送りしていましたが、ついに実行しました。今のところ、特に問題なく動いています。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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