シーズンが長期にわたる競技(プロテニス)におけるトレーニングに対する考え方に関して、面白いネット記事を見つけたので紹介します。まずは、下記リンク先で記事を読んでみてください。
プロテニスにおけるS&Cの難しさ(勝手な想像)
プロテニスは一年中試合をしている印象があり、「いったい、いつトレーニングしてるんだろう?」というのが疑問でした。
オフシーズンも非常に短いはずなので、そのオフシーズンの間だけにガシガシとトレーニングしたとしても、長いシーズンを戦い抜く身体を作ることは不可能です(コチラで説明したように)。
なので、シーズン中も継続してトレーニングに取り組む必要があるのは明白です。
しかし、プロテニスの場合、大会中は勝ち続けている間は毎日試合があるので、大会期間中は疲労回復がメインのはずで、恐らくガシガシとトレーニングはできないでしょう。
となると、大会と大会の間にトレーニングをガシガシとする期間を設けないといけないはずです。
しかし、錦織圭選手のニュースを観ていると、つい最近ある大会に出場していたな〜と思ったら、もう次の大会で戦っている!という印象を持つことが多く、次から次へと大会に出場していて、その間の期間にトレーニングするのも難しいのではないかと感じていました。
もし自分がプロテニス選手のS&Cコーチになったらという観点で考えると、「強化のためのトレーニング」と「試合に向けてのコンディション調整」のバランスを取るのが難しいやっかいな競技だな〜という印象です。
記事の共感できる点
上記の記事では、錦織選手やジョコビッチ選手が2~4週間の大会不出場期間を年間4~6回設けて、フィジカル強化に努めているとあります。
やはり、シーズン中に数多くの大会に次から次へと出場し、大会期間中&大会と大会の間は疲労回復に努めるだけ、ということではフィットネスを維持できないという考えが背景にあるのだと思います。
そして、そのような考え方をコーチやアスリートがしっかりと理解して、大会に出場せずにフィジカル強化に努める期間を定期的に設けるという決断を下しているというのは素晴らしいです!
私が担当している競技でも、シーズンが長かったり試合数が多かったりして、トレーニングをしっかりとできない時期があると、「それほど重要でない大会はキャンセルして、数週間はトレーニングをガシガシする期間を作ったほうが長期的に考えると良いのではないか?」とコーチや選手に提案することがあります。
しかし、最終的に決断するのはコーチやアスリートなので、その重要性を伝えて理解してもらうためには、S&Cコーチの説明能力・プレゼンテーション能力が重要であると感じます。
記事の「?」と思った点
シーズン中に複数回のトレーニング時期を設けることを「ピリオダイゼーション(期分け)」と呼んだり、ピリオダイゼーションを「トレーニングメソッド」と紹介したりしている点は、ちょっと違和感を感じました。
ピリオダイゼーションは特別なトレーニングメソッドではなく、長期的なトレーニング計画にすぎません。
今回の記事で紹介されている錦織選手やジョコビッチ選手の例については、長期に渡るシーズンや大会スケジュール等のプロテニスの特徴を考慮して、シーズン中も定期的にトレーニング時期を設けるという戦略をとっただけであり、それをピリオダイゼーションという特別な方法を採用したみたいに書かれているのは、ニュアンスがちょっと違うかなと思います。
もちろん、ピリオダイゼーションが長期的なトレーニング計画のことを指すのであれば、長期的なことを考えて戦略を立てたんだから、ピリオダイゼーションと呼べなくもないのですが、そんな特別なことのように扱うことないんじゃないの?というのが個人的な感想です。
まとめ
目の前の試合のことだけを考えるのではなく、長期的な視点を持って戦略的に大会不出場期間兼フィジカル強化期間を設けるという考え方に共感しました。
そして、その大切さをアスリートやコーチと共有できていることもステキやん!と思いました。
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【編集後記】
JSCRの査読を完了しました。
同じ論文の3度めの査読でした。
最初に投稿された原稿は、やっている研究内容は面白いものの、論文としての文章であったり考察の視点等においてクオリティーが欠けていましたが、校正を繰り返してかなり良くなりました。
もう一人の査読者のコメントも質が良く、私自身も勉強になりました。
でも、ここまで論文の質の向上に貢献したのに、無償っていうのはやはりどうにかならないものかと思ってしまいます・・・。