#337 【論文レビュー】プレシーズンの練習やトレーニングを欠席せずにしっかり参加しておくと、シーズン中の傷害予防に繋がる!

公開日: : 論文レビュー


 

Lance hohaia running into the defence rugby league

 

久しぶりに論文レビューをします。 

 

 

論文の内容

Windt et al. (Epub ahead of print) Training load–injury paradox: is greater preseason participation associated with lower in-season injury risk in elite rugby league players?

 

研究プロトコル

ラグビーリーグのプレーヤーを17週間のプレシーズンと26週間のインシーズンに渡ってモニターした。モニターした項目は、傷害数、練習への参加日数、練習・試合中の総走行距離、high-speed (> 5 m/s)の走行距離、総走行距離に対するhigh-speedの割合などであった。

 

結果

特に重要な点だけ箇条書きします:

  • 参加したプレシーズンの練習セッション数と傷害のため欠場した試合数の間に有意な相関があった(r = -0.40)
  • シーズン中の1週間の総走行距離に対するhigh-speedの割合が増えると、傷害の発生率も高くなった
  • ただし、参加したプレシーズンの練習セッション数を考慮にいれると、シーズン中の1週間の総走行距離に対するhigh-speedの割合と傷害の発生率の間に有意な関係はなくなった(下図参照)
 
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考察

この研究の結果から、「シーズン中の傷害を予防するためには、プレシーズンにおける練習参加率を高めるのが重要である」ということが予想できます。※介在研究ではないので因果関係までは断言できませんが、それでも仮説を立てるには十分有用なデータだと思います。

ここで勘違いしないでほしいのは、「プレシーズンでガシガシトレーニングしておけば、シーズン中のケガを防げる」と言っているわけではないという点です。

あくまでもこの研究が示しているのは、ガシガシと(≒高い量や強度で)やったかどうかではなく、練習の参加率が重要であるということなんです。前のシーズンが終了後、数週間の休暇を過ごし、そこから返ってきてプレシーズンの練習を開始し、いきなりガシガシとトレーニングしたら、身体が準備できていないので傷害や痛みに繋がる可能性が高く、結果としてプレシーズンにおける練習参加率が下がってしまうことでしょう。

したがって、プレシーズンにおいては、いきなり二部・三部練習でフィジカルをいじめ抜くなんて馬鹿げたことはせずに、漸進性過負荷の原則にしたがって少しずつ練習やトレーニングの負荷を高めていくことで、高い練習参加率を保ちながら徐々に身体の適応をうながし、シーズン開始に向けて準備をしていくのが重要です。

 

 

まとめ

本ブログで、以前に「#69 シーズンオフのトレーニングだけで1年間戦えるカラダを作る事は不可能だっ!!」という記事を書きましたが、私は別にオフシーズンやプレシーズンにおけるトレーニングの重要性を否定しているわけではありません。今回紹介した研究でも示されているように、プレシーズンで練習に継続的に参加して心身ともに準備を整えることで、シーズン中における傷害リスクを低減させることは十分可能です。

しかし、だからと言って「プレシーズンでガシガシ死ぬほど練習やトレーニングをしておけば、シーズン中はトレーニングをそれほどしないでも体力をキープできてケガも防げる」という考えは間違いです。2つの意味で間違いです。1つは、ガシガシ死ぬほどやると痛みやケガに繋がり練習参加率が下がるので、ケガの発生率も上がるしパフォーマンスも下がるはずということ。もう1つは、シーズン中にトレーニングを怠ると、体力がドンドン低下してパフォーマンスに悪影響を及ぼし、さらにケガの発生率も増える可能性が高いということ。

なので、プレシーズンでは練習・トレーニング負荷をコントロールしながら漸進的に増やしていき、シーズンインした後も疲労のマネジメントに注意を払いつつトレーニングは継続する、ということが重要だと思います。

 

 

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【編集後記】

 小籠包はウマい・・・。

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  • 河森直紀(かわもり なおき) PhD, CSCS

    1979年10月17日 神奈川生まれ 埼玉育ち
    ストレングス&コンディショニング(S&C)コーチ。

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