#617 トレーニングに関連する決定を下す時は、科学的知見に基づいているかよりも「継続できるか」のほうが重要

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トレーニングや栄養に関連して、「エビデンスに基づいているか否か」という議論をSNSで見かけました。

いまいち議論が噛み合っていないように見えたのは、「エビデンス=科学的知見」と考えてしまうのが原因ではないかと個人的に思いました。

以前にもブログで書きましたが、科学的知見はエビデンスを構成する3つの要素のうちの1つに過ぎない、と捉えておくと、いろいろとスッキリします。

» 参考:「エビデンスに基づくトレーニング指導」っていうのは難しいことではなく、当たり前のことです

 

具体的にエビデンスを構成する要素は以下の3つです:

  • 科学的知見
  • S&Cコーチの経験・知識・スキル
  • アスリートのニーズや好み

この3つをバランスよく考慮にいれたうえで、目の前のアスリートや状況においてベストと思われる選択をするのが、「エビデンスに基づいている」ということになるのだと私は考えています。

 

 

アスリートのニーズや好みを考慮して継続しやすくする

エビデンスを構成する3つの要素の中でも、「アスリートのニーズや好み」は思ったよりも重要だな〜と最近は感じています。

というのも、トレーニングにおいて成果を出すには「継続する」ことがとても重要だからです。

そして、どれだけ「科学的知見にもとづいて〇〇が効果的だ!」とアスリートに言っても、本人が続けられなければ意味がないからです。

» 参考:【アスリート向け】ブルース・リーの言葉「Long term consistency beats short term intensity」はトレーニングにも当てはまります。継続は力なり!アチョ〜!!

 

 

ウエイトトレーニングを実施する時間帯

たとえば、前回のブログで「試合の時間にあわせてウエイトトレーニングを実施するのがよい」という主旨の科学的知見を紹介しました。

もし試合が朝に実施されるのであれば、同じ時間帯にウエイトトレーニングも実施しましょう、ということです。

» 参考:論文レビュー】朝と夕方、どっちにウエイトトレーニングをしたほうが効果があるの?

 

しかし、学業や仕事etcの都合で朝にウエイトトレーニングを実施するのが難しい場合もあるでしょう。

あるいは、朝が苦手で、寝起きが悪くて、朝にウエイトトレーニングなんてやりたくないというアスリートもいるでしょう。

そういうケースにおいては、「科学的知見に基づいている」ことよりも「継続できる」ことを優先して、都合のよい時間帯にウエイトトレーニングをやればOKです。

 

チーム競技の場合、アスリート個人が朝が苦手であっても、チームの方針として朝にウエイトトレーニングのスケジュールが組まれることもありますが、それはそれで「継続する」ことに繋がるので問題ありません。

 

 

好みのプロテインの味

科学的知見に基づいて「筋トレ後にプロテインを補給しましょう!」とアスリートに伝えても、本人が面倒臭がってしまったら意味がありません。

そういう場合は、アスリートが好きなプロテインの味を見つけてあげるのも一つの方法です。

「筋トレの効果を最大にするためにプロテインを飲め!」とわざわざ言わなくても、本人が勝手に継続的に飲むようになるはずだからです。

 

病院で薬をもらっても、処方どおりにキチンと飲まない人が多いという話を聞いたことがあります。

人間は時として、不合理な選択をしてしまうということです。

自分の命や健康にかかわる薬であってもそうなのですから、「科学的にも効果があると言われているからプロテインを飲め」と伝えるだけで、すべてのアスリートが飲むはずだと信じるほうが危険です。

 

※2023年4月18日追記

「筋トレ後にプロテインを補給すること」について、最近の科学的知見をもとに考えると、そこまで重要ではないと今では考えています。

1日のトータルで十分な量のタンパク質を摂取できていれば、筋トレ直後というタイミングにそこまでこだわる必要はなさそうです。

しかし、「アスリートのニーズや好み」の重要性を説明するうえでわかりやすいエピソードとして、この話は削除せずに残しておきます。

 

 

まとめ

フリーランスとして活動を始めてから「値付け」に関する本を読むようになり、「行動経済学」なる学問分野に触れる機会がありました。

そして、「人間は常に合理的に行動するわけではない」という考え方を知るようになりました。

トレーニングに当てはめてみると、「科学的知見に基づいている」と説明したからといって、アスリートがそれを受け入れるとは限らないということになります。

むしろ「科学的知見に基づいている」点をゴリ押しするのは逆効果な場合もあります。

であるならば、「エビデンス」を構成する要素の1つである「アスリートのニーズや好み」にも注意をはらい、「継続できること」を優先してさまざまな決断を下すのが必要なのではないかと最近は考えています。

 

注意

べつに、「常にアスリートがやりたがることをやらせてあげましょう」と主張しているわけではありません。ときには、アスリートがやりたくなくても、やる必要があることをやらせるのが、アスリートへの愛です。結局のところ、バランスが重要ということでしょう。

 

 

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【編集後記】

インフルエンザが流行ってますね。

私は今のところ、徹底的に予防をしていて、かかっていません。

でも、どれだけ注意してもかかる時はかかるんでしょうね。

できればかからずに乗り切りたいです。