9/30(日) S&Cコーチとして押さえておきたい考え方セミナー

#565 「結婚して白髪が増えたけど、年齢的に白髪が増えるタイミングと結婚の時期が重なっただけかもしれない」という思考回路は、S&Cコーチにとって重要

 

Jd mason 128089 unsplash

 

先日、以下のようなツイートをしました。

 

一般的には、「俺、結婚してから白髪が増えたんだ」と言ったら「なんだよ、お前も苦労してんだな〜」「ハッハッハー!」みたいな会話になるのかもしれません。

日常会話レベルであれば、そんな他愛のないやり取りをするのもよいでしょう(パートナーにバレて怒られないように気をつけていれば)。

 

 

原因と結果(=因果関係)

しかし、S&Cコーチとしての観点で言えば、「◯◯したら△△が起きた」「だから△△は◯◯が原因だ」という単純な思考回路は大変危険です。

というのも、「◯◯したら△△が起きた」からと言って、◯◯と△△の間に因果関係(=原因と結果の関係)があるとは限らないからです。

たとえば、私が結婚してから白髪が増えたのも、たまたま年齢的に白髪が増える時期と重なったからかもしれません。

もし、そうなら、原因は「加齢」であって「結婚」ではないのです。

 

某TVコメンテーター(元プロ野球選手)が、「私が現役の時は走り込みをやって、ケガなんてしなかった」「大谷翔平選手が肘をケガしたのは、走り込みが足りないからだ」という発言をしていましたが、これも構図は同じです。

たしかに、この方は現役の時に走り込みをされていたのでしょうし、ケガをされなかったのかもしれません。

だからといって、走り込みをしたことがケガを予防した原因とは言い切れません。

タイムマシンで過去に戻って、他の条件を変えずに、走り込みをするかしないかだけを変えてみて、ケガが増えるかどうかを調べたりでもしないと、走り込みがケガの予防に繋がったかどうかなんてわからないのです。

もしかしたら、本人も気づいていない他の要因のおかげで、ケガをしなかっただけかもしれないですし。

このあたりの考え方は、以前にも書いているので、興味のある方はそちらを読んでみてください。

参考記事#559 「研究結果はグループの平均値に過ぎず、個人に当てはまるとは限らない。」とかいう指摘は、そもそも研究を理解していないから言えてしまうことです

 

 

個人の経験は重要だけど、S&Cスペシャリストはそれを超えねば

個人の経験というのは重要ですし、それを無視しろと主張しているわけではありません。

しかし、個人の経験には限界があるということを知っておくのは重要です。

現役のアスリートが、個人の経験をもとにして、自身が実施するトレーニングやら摂取するサプリメントやらを決めるのであれば、それは自己責任なので、外野としてとやかく言うつもりはありません。

たとえ、自分の経験を頑なに信じ込んで、手に入る科学的知見とは反することをやってしまい、結果としてパフォーマンスが低下したとしても、それはその人の人生ですし、ある意味それがその人の実力ということでもあるのでしょう。

もちろん、今回のブログで説明したような考え方を知った上で、自身の経験を活用するときには注意してもらうのが理想ですが。

 

しかし、S&Cコーチとしてアスリートに指導するのであれば、「俺が現役の時は、このトレーニングをやって成績良かったから、お前もやれ」というのはあまりにも無責任です。

個人の経験だけでは解明することのできない因果関係を調べる(推測する)ための手法として「研究」というものがあり、その結果である科学的知見が「学術論文」という形で発表されているわけですから、それを把握したうえで、ベストと思われるやり方を提供するのがS&Cコーチの責任です。

だからこそ、私はS&Cコーチも論文を読めるようになるべきだと以前から主張しているのです。

論文を読めば、因果関係を調べた結果(=科学的知見)を手に入れることができ、それにもとづいてトレーニングを提供することができれば、より高い確率で、求める「結果」を得ることができるようになります。

また、論文を読めるだけの科学的な素養を身につければ、「◯◯したら△△が起きた」「だから△△は◯◯が原因だ」という考え方がいかに危険であるかがわかるようになり、そのような個人の主張を鵜呑みにすることもなくなります。

 

 

まとめ

冒頭で紹介したツイートをした私の意図は、今回のブログで紹介したように「◯◯したら△△が起きた」「だから△△は◯◯が原因だ」という単純な思考回路が危険だと気づけるのが重要であるというものでしたが、それを見抜けた方はどのくらいいたでしょうか?

もしかしたら、「『結婚して苦労が増えたせいで白髪も増えた』なんて奥さんが傷つくようなことを言わない河森の優しさ」と受け取った方もいたのではないでしょうか。

もちろん、妻に対しての優しさを否定する気はありませんが、今回は、個人の経験と因果関係を安易に結びつけるのは危険であるという考え方の重要性を意図したツイートでした。

 

おそらく、大学院等でご自身で研究をされたことのある方は、今回紹介したような考え方は身についていると思います。

しかし、研究というものに触れたことがないと、このような物の考え方をするのは難しいのかもしれません。

先日開催した「論文の読み方入門セミナー」においては、このような考え方について、できるだけわかりやすく解説をしました。

大学院に進学して自身で研究をして、そのような考え方を身につけるのが現実的ではないという場合は、「論文の読み方入門セミナー」にご参加いただければと思います。

いつかまた、開催したいと考えています。

興味のある方は、本ブログのサイドバー等を随時チェックしていただくか、セミナー情報をお伝えするメルマガにご登録いただければ。

 

 

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【編集後記】 

Kindleで「オフサイド」というサッカー漫画を大人買いしました。学生の時にコミックを持っていてよく読んでいたので、とても懐かしい気持ちになりました。